国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年7月更新)によると、バハマの羊肉生産量は、1960年代からの長い期間にわたり継続的な低下を見せていましたが、2000年代以降に生産の安定化が見られました。特に近年は、2013年以降約29~30トンで安定しており、大きな変化は見られていません。
バハマの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 30 |
0.63% ↑
|
2022年 | 30 |
0.74% ↑
|
2021年 | 30 |
0.77% ↑
|
2020年 | 30 |
0.81% ↑
|
2019年 | 29 |
0.96% ↑
|
2018年 | 29 |
0.52% ↑
|
2017年 | 29 |
0.24% ↑
|
2016年 | 29 |
0.21% ↑
|
2015年 | 29 |
0.91% ↑
|
2014年 | 29 |
0.17% ↑
|
2013年 | 29 |
0.88% ↑
|
2012年 | 28 |
1.18% ↑
|
2011年 | 28 | - |
2010年 | 28 | - |
2009年 | 28 | - |
2008年 | 28 | - |
2007年 | 28 |
17.65% ↑
|
2006年 | 24 |
-15% ↓
|
2005年 | 28 | - |
2004年 | 28 |
2.56% ↑
|
2003年 | 27 |
6.56% ↑
|
2002年 | 26 |
14.38% ↑
|
2001年 | 22 | - |
2000年 | 22 |
14.29% ↑
|
1999年 | 20 |
-9.68% ↓
|
1998年 | 22 |
-3.13% ↓
|
1997年 | 22 | - |
1996年 | 22 |
-5.88% ↓
|
1995年 | 24 |
5.08% ↑
|
1994年 | 23 |
-3.7% ↓
|
1993年 | 24 |
-1.18% ↓
|
1992年 | 24 |
-2.86% ↓
|
1991年 | 25 |
-5.41% ↓
|
1990年 | 26 |
-2.63% ↓
|
1989年 | 27 | - |
1988年 | 27 | - |
1987年 | 27 |
-5% ↓
|
1986年 | 28 | - |
1985年 | 28 |
-4.76% ↓
|
1984年 | 29 |
-8.7% ↓
|
1983年 | 32 |
-8% ↓
|
1982年 | 35 |
-7.41% ↓
|
1981年 | 38 |
-6.9% ↓
|
1980年 | 41 | - |
1979年 | 41 |
-3.33% ↓
|
1978年 | 42 |
-11.76% ↓
|
1977年 | 48 |
-5.56% ↓
|
1976年 | 50 |
-7.69% ↓
|
1975年 | 55 |
-7.14% ↓
|
1974年 | 59 |
-6.67% ↓
|
1973年 | 63 |
-10% ↓
|
1972年 | 70 |
-5.66% ↓
|
1971年 | 74 |
-8.62% ↓
|
1970年 | 81 | - |
1969年 | 81 |
-10.77% ↓
|
1968年 | 91 |
-7.14% ↓
|
1967年 | 98 |
1.45% ↑
|
1966年 | 97 |
1.47% ↑
|
1965年 | 95 |
-1.45% ↓
|
1964年 | 97 |
2.99% ↑
|
1963年 | 94 |
1.52% ↑
|
1962年 | 92 |
1.54% ↑
|
1961年 | 91 | - |
バハマの羊肉生産量に関するデータを見ると、1960年代はおよそ90トン台から80トン台を維持していたものの、1970年代から1980年代にかけて急速に減少し、1990年代には20トン台へと縮小しました。これには、農業における多様化の進展や輸入への依存拡大、気候変動による影響が重なっていると考えられます。地理的に小さな島国であるバハマは、農地利用の制限や気候条件の変動による影響を受けやすい特徴を持っています。
一方、2000年代以降はおおむね20トン台後半の水準を維持し始め、2013年以降にはおよそ29~30トンで安定しています。羊肉の生産に関するこの安定期は、国内の需要が特定の限られた水準で維持されていることや、輸入品との競争が生産量の増減に影響を及ぼしていないことを示唆しています。小規模な国内市場での需要がある程度決まっている場合、生産量がこのように一定の範囲内にとどまる傾向はよく見られる現象です。さらに近年では、小規模ながら農業技術の進歩による生産性向上や、気候変動に対する対策の効果も寄与している可能性があります。
ただし、羊肉の生産量が一定水準に留まる一方で、バハマは一般的に食品輸入への依存度が高い国であり、羊肉も例外ではありません。これは、国内での持続可能な農業にとって大きな課題として挙げられるでしょう。特に気候変動が激化する中、食糧安全保障を強化するためにも、家畜管理や牧草地の効率的な整備に向けた取り組みを進める必要性があります。また、生産コストを削減し、他国からの輸入品との競争力を高めることも重要です。
この傾向をさらに広い地理的な観点で見ると、例えば日本やアメリカ、中国など食品消費量が比較的大規模な国々では、羊肉は通常他の畜産物ほど需要が高くないため、国内生産の補完として活発な輸入市場が形成されています。一方で、大規模輸出国であるオーストラリアやニュージーランドのような国々は、このような需要に応じた輸出事業を展開しています。バハマの場合、自国の限られた生産基準がこれら輸出大国からの輸入品に依存する構造となっています。
今後の持続可能な農業を目指すための提案としては、地域ごとの小規模農場を整備し、輸入依存を減らしながら生産の多様化を図る取り組みが考えられます。また、地元コミュニティの教育支援や技術研修を通じて、畜産業への関与を高めることが必要です。さらに、観光業が主力産業であるバハマでは、観光客向けに地産地消を推進する形で、現地生産の羊肉の需要を創出することも、ひとつの有効な選択肢です。
結論として、バハマの羊肉生産は近年一定の規模で安定しているものの、長期的には輸入依存を減らすための農業基盤の強化が不可欠です。政府や国際機関による農業支援策を活用し、持続可能で気候変動に強い生産体制を構築することが、将来世代への重要な投資となるでしょう。