国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、バハマのレモン・ライム生産量は1961年以降、長期的には増加傾向が見られましたが、2000年代初頭をピークに減少傾向が顕著になっています。特に1997年には8,007トンという最高記録を記録しましたが、その後は急激に減少し、2023年には2,312トンまで落ち込みました。このデータは、地政学的要因や農業政策の変化、環境的要因が影響している可能性を示唆しています。
バハマのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 2,312 |
-0.75% ↓
|
2022年 | 2,329 |
-0.85% ↓
|
2021年 | 2,349 |
1.06% ↑
|
2020年 | 2,324 |
0.44% ↑
|
2019年 | 2,314 |
-3.92% ↓
|
2018年 | 2,408 |
7.04% ↑
|
2017年 | 2,250 |
-5.87% ↓
|
2016年 | 2,390 |
-7.54% ↓
|
2015年 | 2,585 |
-7.56% ↓
|
2014年 | 2,797 |
-6.77% ↓
|
2013年 | 3,000 |
-3.52% ↓
|
2012年 | 3,109 |
0.52% ↑
|
2011年 | 3,093 |
3.69% ↑
|
2010年 | 2,983 |
-14.77% ↓
|
2009年 | 3,500 |
-30% ↓
|
2008年 | 5,000 |
-23.08% ↓
|
2007年 | 6,500 |
-13.33% ↓
|
2006年 | 7,500 |
-13.79% ↓
|
2005年 | 8,700 | - |
2004年 | 8,700 |
2.35% ↑
|
2003年 | 8,500 |
6.25% ↑
|
2002年 | 8,000 |
2.56% ↑
|
2001年 | 7,800 |
-4.26% ↓
|
2000年 | 8,147 |
8.63% ↑
|
1999年 | 7,500 |
-3.34% ↓
|
1998年 | 7,759 |
-3.1% ↓
|
1997年 | 8,007 |
182.33% ↑
|
1996年 | 2,836 |
-9.1% ↓
|
1995年 | 3,120 |
10.05% ↑
|
1994年 | 2,835 |
41.75% ↑
|
1993年 | 2,000 |
17.65% ↑
|
1992年 | 1,700 |
13.33% ↑
|
1991年 | 1,500 |
7.14% ↑
|
1990年 | 1,400 | - |
1989年 | 1,400 |
100% ↑
|
1988年 | 700 |
40% ↑
|
1987年 | 500 |
25% ↑
|
1986年 | 400 |
33.33% ↑
|
1985年 | 300 |
3.45% ↑
|
1984年 | 290 | - |
1983年 | 290 |
3.57% ↑
|
1982年 | 280 | - |
1981年 | 280 |
0.36% ↑
|
1980年 | 279 |
-20.29% ↓
|
1979年 | 350 |
-16.07% ↓
|
1978年 | 417 |
1.71% ↑
|
1977年 | 410 |
1.23% ↑
|
1976年 | 405 |
1.25% ↑
|
1975年 | 400 |
1.27% ↑
|
1974年 | 395 |
1.28% ↑
|
1973年 | 390 |
1.3% ↑
|
1972年 | 385 |
1.32% ↑
|
1971年 | 380 |
1.33% ↑
|
1970年 | 375 |
1.35% ↑
|
1969年 | 370 |
1.37% ↑
|
1968年 | 365 |
1.39% ↑
|
1967年 | 360 |
1.41% ↑
|
1966年 | 355 |
4.41% ↑
|
1965年 | 340 |
6.25% ↑
|
1964年 | 320 |
6.67% ↑
|
1963年 | 300 |
7.14% ↑
|
1962年 | 280 |
12% ↑
|
1961年 | 250 | - |
バハマのレモン・ライム生産量の推移を見ると、1961年から1978年まで徐々に生産量が増加し、1980年代後半に急激な成長を遂げています。この増加傾向は、レモン・ライムの需要増加や、輸出産業としての農業政策の重点化が背景にあると考えられます。1988年の700トンから1989年の1,400トン、1995年には3,120トンへと急成長を遂げました。その後、1997年には8,007トンに達し、史上最高の生産量を記録しましたが、それを境に徐々に生産量が減少に転じています。
2000年代初頭は依然として高い水準を維持していましたが、2006年以降は顕著な下降傾向が現れました。これは気候変動の影響、農地の減少、あるいは農業従事者の減少が影響している可能性があります。また、世界的な果物の市場競争や、バハマ以外の主要生産国(例:メキシコ、インド)の低コスト大量生産が価格を低下させ、バハマの輸出競争力に悪影響を与えたことも考えられます。
さらに、2009年から2017年にかけての持続的な減少(3,500トンから2,250トンへ)は、ハリケーンなどの自然災害も一因となっていると思われます。ハリケーンはこの地域の主要な脅威であり、農地に直接被害を与えるだけでなく、農業インフラや灌漑システムにも大きな影響を与えます。また、2008年以降のリーマンショックといった世界的な経済危機の影響により、農業分野への投資が減少した可能性も指摘されます。
2020年には新型コロナウイルスのパンデミックがグローバルなサプライチェーンに混乱をもたらし、輸出産業全体に厳しい状況を強いたことで、農業にも悪影響を与えました。この状況下での生産量はやや横ばい傾向にあり、2023年は2,312トンと最盛期の約4分の1程度にまで縮小しています。
現在の課題は、生産量の低下を食い止め、持続可能な農業基盤を築くことです。対策として、気候変動に対応するための耐病性や耐寒性を持つ新品種の開発が効果的と考えられます。また、輸出市場の多様化や、地域市場での需要の促進も重要でしょう。例えば、日本や他のアジア諸国では、健康志向の高まりとともにレモンやライムの需要が増えています。このような海外市場へのアプローチを強化することは、増収への可能性を広げます。
さらに、農業従事者の高齢化や次世代の農業労働力確保に向けた取り組みが求められています。若者が農業に参加しやすい環境を整えるために、教育プログラムや技術支援を充実させることが必要です。さらに、地理的な位置を活かし、カリブ海諸国間での農業協力を進めることも将来的な解決策として考えられます。
結論として、バハマのレモン・ライム生産量を増加させるためには、現地の気候と市場の需要に適応した持続可能な農業技術の導入が欠かせません。また、国際機関や周辺国との連携を強化することで、資源分配や技術移転の面での前進を図るべきです。それにより、バハマは再びレモン・ライム生産国としての地位を強化できるでしょう。この取り組みは、農業従事者の生活向上や経済基盤の強化にもつながるため、国全体の発展にも寄与します。