Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、バハマにおけるトウモロコシの生産量は1960年代に急激な増加を見せた後、1970年代から1980年代にかけて安定した成長を遂げました。しかし1990年代に大きく減少し、その後低迷した状態が続きました。2000年代以降は徐々に回復傾向を見せたものの、2020年以降横ばいの状態にあります。2022年には608トンで、過去のピークであった1985年の820トンには及ばず、生産の停滞が続いています。
バハマのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 616 |
1.38% ↑
|
2022年 | 608 |
-0.03% ↓
|
2021年 | 608 |
-0.03% ↓
|
2020年 | 608 |
-1.02% ↓
|
2019年 | 615 |
-1.88% ↓
|
2018年 | 626 |
-3.29% ↓
|
2017年 | 648 |
-1.63% ↓
|
2016年 | 659 |
10.27% ↑
|
2015年 | 597 |
-13.15% ↓
|
2014年 | 688 |
-0.46% ↓
|
2013年 | 691 |
0.12% ↑
|
2012年 | 690 |
0.44% ↑
|
2011年 | 687 |
1.33% ↑
|
2010年 | 678 |
13% ↑
|
2009年 | 600 |
20% ↑
|
2008年 | 500 |
25% ↑
|
2007年 | 400 |
5.26% ↑
|
2006年 | 380 |
5.56% ↑
|
2005年 | 360 |
1.41% ↑
|
2004年 | 355 |
4.41% ↑
|
2003年 | 340 |
11.48% ↑
|
2002年 | 305 |
1.67% ↑
|
2001年 | 300 |
-3.85% ↓
|
2000年 | 312 |
-17.68% ↓
|
1999年 | 379 |
0.53% ↑
|
1998年 | 377 |
8.33% ↑
|
1997年 | 348 |
11.54% ↑
|
1996年 | 312 | - |
1995年 | 312 | - |
1994年 | 312 |
-22% ↓
|
1993年 | 400 |
-20% ↓
|
1992年 | 500 |
-33.33% ↓
|
1991年 | 750 | - |
1990年 | 750 |
7.14% ↑
|
1989年 | 700 | - |
1988年 | 700 |
-6.67% ↓
|
1987年 | 750 |
-8.54% ↓
|
1986年 | 820 | - |
1985年 | 820 |
2.5% ↑
|
1984年 | 800 |
6.67% ↑
|
1983年 | 750 |
1.35% ↑
|
1982年 | 740 |
2.78% ↑
|
1981年 | 720 |
0.14% ↑
|
1980年 | 719 |
-0.14% ↓
|
1979年 | 720 |
-1.37% ↓
|
1978年 | 730 |
14.06% ↑
|
1977年 | 640 |
2.4% ↑
|
1976年 | 625 |
2.46% ↑
|
1975年 | 610 |
2.52% ↑
|
1974年 | 595 |
2.59% ↑
|
1973年 | 580 |
5.45% ↑
|
1972年 | 550 |
3.77% ↑
|
1971年 | 530 |
3.92% ↑
|
1970年 | 510 |
4.08% ↑
|
1969年 | 490 |
4.26% ↑
|
1968年 | 470 |
4.44% ↑
|
1967年 | 450 |
4.65% ↑
|
1966年 | 430 |
43.33% ↑
|
1965年 | 300 |
20% ↑
|
1964年 | 250 |
25% ↑
|
1963年 | 200 |
33.33% ↑
|
1962年 | 150 |
50% ↑
|
1961年 | 100 | - |
バハマのトウモロコシ生産は、地政学的要因や気候条件、農業技術の発展に影響されて、複雑な推移をたどっています。1961年に100トンから始まり、その後10年以上にわたり生産量が着実に増加しました。これは農地の拡大や、トウモロコシの需要増加が主な要因です。特に1966年から1975年にかけて、年平均成長率は約20%と非常に高い数値を記録しています。
しかし、1980年代中盤以降、停滞と減少が見られるようになりました。この時期の背景には、世界的な食糧市場の変動や、バハマ国内における土地利用政策の変化が挙げられます。特に1990年代は生産量が急減し、1992年には生産量が500トンまで落ち込みました。さらに、1993年以降は300トン前後で推移し、1996年からほぼ横ばいの状態が続きます。この低迷の原因として、国内での農業技術革新の遅れや、輸入品への依存度の増加などが考えられます。
2008年以降、トウモロコシ産業は徐々に回復し始めました。600トンを超えた2009年以降の成長には、農業生産性の向上や、農地管理技術の改善が関与しています。しかし、2020年から2022年にかけて再び停滞が見られ、生産量は608トンで横ばいとなっています。この停滞の一因として、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響が挙げられます。人員の移動制限や物流の停滞が農業生産に与えた影響は小さくありませんでした。
バハマの地域特性や気候を考えると、トウモロコシの生産にはいくつかの地政学的課題が伴います。まず、気候変動による天候の不安定さが挙げられます。たとえば、頻発するハリケーンは農地や作物に甚大な被害をもたらす可能性があり、これがトウモロコシ生産量の低迷原因の一つと考えられます。また、バハマは多くの島々からなる国であるため、物流や輸送コストが高く、これが農業の収益性に影響を及ぼしています。
今後の課題としては、生産性向上に向けた農業技術の導入が急務です。他国の事例を参考にすると、インドでは近代農業技術の導入により、生産性が向上し、トウモロコシを含む穀物の収穫量が急増しました。また、中国では政府の農業支援政策により、生産者が必要な資源へのアクセスを容易にしています。このような成功例をバハマで取り入れることで、生産量の向上が期待されます。
具体的な提案としては、灌漑技術の改善や気候変動に強い品種の研究・導入の支援が重要です。また、島国特有の物流課題に対応するため、輸送インフラの改善や、生産物の加工をバハマ国内で行う取り組みが鍵となるでしょう。さらに地域紛争や自然災害への対応策として、農業団体や国際機関との協力を通じたリスクマネジメント計画の策定が必要です。
これらの施策を通じて、気候変動や地政学的リスクに強い農業体系を構築することで、バハマのトウモロコシ生産量は長期的に安定し、将来的には現状を上回る成長が見込まれるでしょう。バハマ政府や国際機関、農業生産者が連携を深め、持続的な農業振興に向けた一歩を進めることが期待されます。