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セーシェルの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、セーシェルの牛乳生産量は1961年の270トンから1980年の505トンまで着実に増加しました。しかし、1981年以降は激しい変動が見られ、その後減少傾向が続いています。2023年には149トンと、記録された歴史のうちでは低い水準に達しています。近年(2018年以降)には回復の兆しも見られていますが、依然として生産量はピーク時の約3分の1にとどまっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 149
-11.7% ↓
2022年 168
3.06% ↑
2021年 163
11.43% ↑
2020年 146
10.35% ↑
2019年 133
9.71% ↑
2018年 121
41.2% ↑
2017年 86
7.09% ↑
2016年 80
-5.88% ↓
2015年 85
-5.56% ↓
2014年 90
-10% ↓
2013年 100
14.94% ↑
2012年 87
33.85% ↑
2011年 65
-55.17% ↓
2010年 145
-3.33% ↓
2009年 150
-1.32% ↓
2008年 152
2.01% ↑
2007年 149
-3.87% ↓
2006年 155
-13.41% ↓
2005年 179
-28.4% ↓
2004年 250
-10.71% ↓
2003年 280
-9.68% ↓
2002年 310
21.45% ↑
2001年 255
-12.57% ↓
2000年 292
3.24% ↑
1999年 283
-8.77% ↓
1998年 310
10.71% ↑
1997年 280
-9.68% ↓
1996年 310
-20.51% ↓
1995年 390
2.53% ↑
1994年 380
-5.36% ↓
1993年 402
-10.68% ↓
1992年 450
-2.17% ↓
1991年 460
2.22% ↑
1990年 450
-3.23% ↓
1989年 465
1.09% ↑
1988年 460
4.55% ↑
1987年 440 -
1986年 440
4.76% ↑
1985年 420
16.67% ↑
1984年 360
-10% ↓
1983年 400
-13.04% ↓
1982年 460
-14.5% ↓
1981年 538
6.53% ↑
1980年 505
6.32% ↑
1979年 475
6.03% ↑
1978年 448
4.43% ↑
1977年 429
4.63% ↑
1976年 410
4.59% ↑
1975年 392
4.81% ↑
1974年 374
5.06% ↑
1973年 356
3.79% ↑
1972年 343
4.57% ↑
1971年 328
0.92% ↑
1970年 325
3.17% ↑
1969年 315
3.28% ↑
1968年 305
1.67% ↑
1967年 300
1.69% ↑
1966年 295
1.72% ↑
1965年 290
3.57% ↑
1964年 280 -
1963年 280
1.82% ↑
1962年 275
1.85% ↑
1961年 270 -

セーシェルの牛乳生産推移を分析すると、1960年代から1980年にかけては安定した増加が見られます。この増加は主に農業技術の進歩や、畜産業への政策的支援が要因と考えられます。1970年代後半から1980年にかけて生産量は年平均20~30トンのペースで増加し、1980年にはピークの505トンに達しました。

一方で、1981年以降のデータには大きな変動があり、1982年には460トン、1983年には400トンまで急激に減少しています。この急減の要因としては、地政学的背景やセーシェルの農村部を取り巻く社会的、経済的な構造変化の影響が考えられます。その後1990年代中ごろまでは400トン前後を維持していましたが、それ以降はさらに減少し、徐々にはるかに低い水準に安定してしまいました。

特に2000年代以降は、一貫して牛乳の生産量が低迷しています。2023年の生産量は149トンであり、長期的視点で見るとピーク時(1980年)の約30%にとどまります。この低迷要因としては、気候変動による家畜への影響、畜産業に従事する人口の減少、農業の近代化が遅れていること、さらには観光業に重きを置いたセーシェルの経済政策転換が背景にあると推察されます。

近年、生産量がやや増加傾向にあったにもかかわらず、2023年に再び減少した点にも注目すべきです。これは新型コロナウイルス感染症による社会的・経済的な影響が少なくとも部分的に関係していると思われます。パンデミックの影響で観光業の停滞が見られた一方で、畜産業の再注目が進んだ地域もありましたが、セーシェルでは持続可能な政策にはつながらなかった可能性があります。

セーシェルの牛乳生産が回復しない根本的な理由は、地理的条件、畜産に適した土地の限界、輸入依存の増加などにあります。輸入の方がコストや安定供給の面で優位性があるため、国内での生産拡大が停滞している状況が続いています。

今後改善が期待される分野としては、まず、環境に配慮した畜産業の再構築が挙げられます。例えば、小規模農家への技術支援、気候変動に強い牛種の導入、飼料の自給率向上などが有効です。また、地域協力を通じた畜産ノウハウの共有も重要です。例えば、近隣諸国との協力により輸出入のバランスや市場拡大を狙うことも選択肢のひとつになります。さらに、セーシェル政府や国際機関が持続可能な農業政策を推進し、地元の農民を経済的および技術的に支援することが求められます。

結論として、セーシェルの牛乳生産量は過去70年以上の歴史を振り返ると増加と減少を繰り返してきましたが、現在は深刻な低迷期にあります。将来的な回復に向けては、効率的かつ環境適応型の生産体制の整備、優先的な政策支援、そして持続可能な農業形態の採用が急務とされています。