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ドミニカのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が更新した2024年7月時点の最新データによると、ドミニカのサトウキビ生産量は1960年代初頭には6,000トン台を維持していましたが、1970年代に大きく減少し、その後は1970年代から2006年にかけてほぼ4,000トン台で安定して推移しています。2007年以降はわずかですが上昇傾向を示し、2023年には4,877トンとなっています。ただし、この成長率は緩やかで、他のサトウキビ生産国と比べると限られた増加幅に留まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,877
0.02% ↑
2022年 4,876
0.11% ↑
2021年 4,871
0.11% ↑
2020年 4,865
0.07% ↑
2019年 4,862
-0.15% ↓
2018年 4,869
0.03% ↑
2017年 4,868
0.31% ↑
2016年 4,853
0.34% ↑
2015年 4,836
0.71% ↑
2014年 4,802
0.04% ↑
2013年 4,800 -
2012年 4,800 -
2011年 4,800 -
2010年 4,800 -
2009年 4,800 -
2008年 4,800 -
2007年 4,800
9.09% ↑
2006年 4,400 -
2005年 4,400 -
2004年 4,400 -
2003年 4,400 -
2002年 4,400 -
2001年 4,400 -
2000年 4,400 -
1999年 4,400
2.33% ↑
1998年 4,300
-6.52% ↓
1997年 4,600 -
1996年 4,600 -
1995年 4,600 -
1994年 4,600
2.22% ↑
1993年 4,500
2.27% ↑
1992年 4,400 -
1991年 4,400
-2.22% ↓
1990年 4,500
2.27% ↑
1989年 4,400
-6.38% ↓
1988年 4,700
-2.08% ↓
1987年 4,800
-2.04% ↓
1986年 4,900
-2% ↓
1985年 5,000 -
1984年 5,000 -
1983年 5,000
4.17% ↑
1982年 4,800
4.35% ↑
1981年 4,600 -
1980年 4,600
4.55% ↑
1979年 4,400
7.32% ↑
1978年 4,100
2.5% ↑
1977年 4,000 -
1976年 4,000 -
1975年 4,000 -
1974年 4,000 -
1973年 4,000 -
1972年 4,000 -
1971年 4,000
-6.98% ↓
1970年 4,300
-7.92% ↓
1969年 4,670
-8.07% ↓
1968年 5,080
2.01% ↑
1967年 4,980
-9.45% ↓
1966年 5,500
-15.38% ↓
1965年 6,500
-11.14% ↓
1964年 7,315 -
1963年 7,315
14.3% ↑
1962年 6,400 -
1961年 6,400 -

ドミニカ共和国のサトウキビ生産量推移を分析すると、1960年代には6,000トン以上で安定していましたが、1966年以後急速に減少し、1970年代には約4,000トン前後で横ばいの状態となりました。1978年にはやや持ち直し、1980年代には若干の上下動はありつつも4,000トンを超える生産量を維持しています。その後2007年以降、緩やかではありますが増加傾向に入り、2023年現在にかけて若干ながら上昇が続いています。

この変動の背景にはいくつかの要因が存在すると考えられます。まず、1960年代の高い生産量から1970年代の減少に転じた理由として、農業政策の変化や世界的な砂糖需要の変動が挙げられます。この時期、砂糖価格が低下したことや、大規模な干ばつなどの環境要因が灌漑に影響を与えた可能性があります。また、1980年代以降は農地面積の縮小や、輸出を目的とした作付面積の再配分により、生産量が平坦化しました。

近年、緩やかに生産量が増加している背景には、農業技術の改善や少量多品種生産への転換が考えられます。例えば、新品種の導入や灌漑手法の向上が生産効率を高めた可能性があります。しかし、依然としてドミニカ共和国のサトウキビ生産は国際的な基準から見ると生産性が低く、特に主要生産国であるブラジルやインドに比べると競争力に乏しい状況です。

ドミニカのサトウキビ産業は、他国との競争に加えて、気候変動によるリスクにも直面しています。サトウキビは水分を多く必要とする作物であり、気温上昇や干ばつの頻発が作物の成長を阻害する可能性があります。また、地政学的な背景として、カリブ諸国間での貿易政策や輸出拡大に向けた課題も取り組むべきポイントです。たとえば、協定に基づく関税の引き下げや流通インフラの整備が求められます。

これらの課題を解決するために、まず気候変動に柔軟に対応できる耐性品種の研究開発が必要です。加えて、農家への支援策として技術指導や金融サービスを充実させる必要があります。また、国内外での需要増加を目指し、砂糖加工品市場の拡大や観光産業と連携した地産品の普及も新しい収益源となり得るでしょう。

結論として、ドミニカのサトウキビ生産量は近年緩やかな伸びを記録していますが、その成長は未だ限られており、多くの課題が存在します。持続的な成長を目指すためには、多面的な取組みが不可欠であり、地元政府や農業関係者、国際機関の連携が一層重要となるでしょう。これらの課題を乗り越えることで、ドミニカはカリブ地域におけるサトウキビ産業の強化を果たす可能性を秘めています。