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ドミニカのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、2022年のドミニカにおけるトウモロコシの生産量は192トンでした。1961年以降、生産量は一貫した増加傾向ではなく、特定の時期に減少も見られました。最も高い生産量となったのは1983年の250トンで、これに対して最も低い生産量は1990年の150トンでした。近年は2012年以降、おおむね安定した数字が続いていることが特徴です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 193
0.79% ↑
2022年 192
0.17% ↑
2021年 191
0.17% ↑
2020年 191
-0.12% ↓
2019年 191
0.39% ↑
2018年 190
0.47% ↑
2017年 190
0.69% ↑
2016年 188
-0.35% ↓
2015年 189
-2.55% ↓
2014年 194
-3.06% ↓
2013年 200 -
2012年 200
42.86% ↑
2011年 140
-17.65% ↓
2010年 170
-7.72% ↓
2009年 184
-3.14% ↓
2008年 190
-9.42% ↓
2007年 210
5% ↑
2006年 200
5.26% ↑
2005年 190
4.38% ↑
2004年 182
1.12% ↑
2003年 180
2.19% ↑
2002年 176
1.35% ↑
2001年 174
-0.8% ↓
2000年 175
0.56% ↑
1999年 174
3.62% ↑
1998年 168
-3.23% ↓
1997年 174
0.68% ↑
1996年 173
1.52% ↑
1995年 170
-2.51% ↓
1994年 174
8.98% ↑
1993年 160
-1.1% ↓
1992年 162
1.49% ↑
1991年 159
6.27% ↑
1990年 150
-6.25% ↓
1989年 160 -
1988年 160
-11.11% ↓
1987年 180 -
1986年 180
-10% ↓
1985年 200
-13.04% ↓
1984年 230
-8% ↓
1983年 250
4.17% ↑
1982年 240
2.13% ↑
1981年 235
2.17% ↑
1980年 230
4.55% ↑
1979年 220
10% ↑
1978年 200 -
1977年 200 -
1976年 200
5.26% ↑
1975年 190
5.56% ↑
1974年 180 -
1973年 180
5.88% ↑
1972年 170 -
1971年 170
6.25% ↑
1970年 160 -
1969年 160 -
1968年 160 -
1967年 160
6.67% ↑
1966年 150 -
1965年 150
7.14% ↑
1964年 140 -
1963年 140
7.69% ↑
1962年 130 -
1961年 130 -

1961年から2022年までのドミニカにおけるトウモロコシ生産量の推移を見ると、初期の130トンから1980年代前半の250トン台まで徐々に増加し、その後、需要の変化や外部的要因の影響を受けて減少、さらには再び安定するという複雑な動きを見せてきました。生産量が伸びた1960~1970年代は農業部門への技術的な投資や人口増加に伴う国内需要の高まりが背景として考えられます。一方、1984年以降に見られる顕著な生産量の低下は、土壌の劣化や気候変動による影響、輸入トウモロコシの増加に起因している可能性があります。

特に1984年から1990年にかけては、生産量が250トンから150トンへと大幅に縮小しました。この時期は地政学的リスクや地域経済の停滞、さらには国際市場における価格競争の激化が影響を及ぼしたと考えられます。また、トウモロコシの栽培には肥沃な土壌や安定した水供給が必要ですが、これらの条件が劣化した地域では収量の悪化が進んだと推測されます。

1990年代半ばから2000年代にかけては、灌漑技術の改良や農業政策の改革によってわずかな回復が見られました。しかし、国内消費よりも輸入品が優位な環境が続いたため、大規模な増産には至りませんでした。2010~2012年には大きな変動があり、2010年に140トンまで落ち込んだものの、2012年には200トンに回復しました。この背景には、国際市場の価格変動や政府の補助金政策が関与している可能性が高いです。

2022年現在の生産量192トンは、過去と比較すると高度成長期ほどの勢いはありませんが、安定した推移を保っています。ただし、この現状が持続可能であるかどうかを考える際には、いくつかの課題を指摘する必要があります。地球温暖化による気候変動や耕作地の縮小は、中長期的にドミニカの農業セクターに大きな打撃を与える可能性があります。具体的には、干ばつや洪水などの頻発する気象現象が、収穫量の不規則な変動を引き起こし、農民の生活と国内の食糧安全保障に影響を与えることが予測されます。

今後を見据えた具体的な対策として、まずは農業分野における災害リスク軽減策を強化することが重要です。これには、気候に強いトウモロコシ品種の開発や普及、また防災型インフラの整備が含まれます。次に、地域的な対策として、中南米の近隣諸国との協力を活かし、種子や技術、知識の共有プログラムを推進することが考えられます。これにより、比較的規模の小さい農地しか持たないドミニカの農業基盤を強化することが可能となります。

また、地政学的リスクや国際市場の動向を念頭に置いた戦略的政策が不可欠です。特に、ドミニカを含む中南米諸国+国際団体を中心とした「地域食料アライアンス」を検討し、輸入依存を減らす一方で、輸出の可能性も探るべきでしょう。持続可能な農業生産を実現するには、それを支える農民への金融支援や教育プログラムの整備が鍵を握ります。

以上を踏まえると、ドミニカのトウモロコシ生産量の今後の課題は気候変動と国際市場への柔軟な対応です。同国は過去からの知見を活用しつつ、新技術を取り入れた持続可能な食料システムの再構築を目指していく必要があります。この取り組みが実現できれば、国内経済の安定や地域の食料安全保障に大きく寄与できることでしょう。