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ドミニカのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータに基づくと、ドミニカのコーヒー豆生産量は1979年以降、変動を見せてきました。特に1990年代には急増し、1998年には370トンに達しましたが、その後の数十年で一時は2000年代中頃に大幅な減少を記録しました。その後2011年の急増を経て、2014年以降は安定的に370トン前後を記録しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 361
-2.28% ↓
2022年 370
-0.01% ↓
2021年 370
0.02% ↑
2020年 370
-0.01% ↓
2019年 370
-0.04% ↓
2018年 370
0.09% ↑
2017年 369
-0.07% ↓
2016年 370
-0.13% ↓
2015年 370
-0.05% ↓
2014年 370
-0.07% ↓
2013年 371
-0.07% ↓
2012年 371
-25.54% ↓
2011年 498
1006.67% ↑
2010年 45
-22.41% ↓
2009年 58
-13.43% ↓
2008年 67
-18.29% ↓
2007年 82
-58.97% ↓
2006年 200
-8.25% ↓
2005年 218
-7.62% ↓
2004年 236
-7.09% ↓
2003年 254
-6.62% ↓
2002年 272
-6.21% ↓
2001年 290
-5.85% ↓
2000年 308
-16.84% ↓
1999年 370
2.1% ↑
1998年 362
0.77% ↑
1997年 360
-0.11% ↓
1996年 360
3.21% ↑
1995年 349
-0.35% ↓
1994年 350
2.94% ↑
1993年 340
66.67% ↑
1992年 204
-0.49% ↓
1991年 205
15.17% ↑
1990年 178
-7.77% ↓
1989年 193
-1.53% ↓
1988年 196
2.08% ↑
1987年 192
-1.54% ↓
1986年 195
1.56% ↑
1985年 192
2.67% ↑
1984年 187
6.86% ↑
1983年 175
2.34% ↑
1982年 171
1.79% ↑
1981年 168
2.44% ↑
1980年 164
-4.09% ↓
1979年 171 -

ドミニカのコーヒー豆生産量のデータを年代を追って分析すると、いくつかの重要な特徴と背景を見て取ることができます。1979年から1980年代にかけての生産量は比較的安定して推移しており、当時は164トンから195トンの範囲内での変化を示しました。しかし、この時期の生産量はまだ低水準であり、国がコーヒー生産の集中的な拡大政策を進める以前の段階でした。

1990年代には顕著な増加が記録されています。1993年の340トンから1999年の370トンまで一貫した増加傾向をたどり、この時期は国内外の需要の高まりや、政府主導の農業支援政策が影響したと考えられます。この増加期には新しい品種の導入や、輸出に向けたインフラの整備が進められ、コーヒー産業における投資が拡大していました。

しかしながら2000年以降に突入すると、生産量は驚くべき速度で落ち込む局面を迎えました。2000年には308トンと過去最高に近い数値を記録したものの、2007年には82トン、さらに2010年には45トンと急激に低下しました。この背景には、主要輸出先での需要低迷や、サビ病(コーヒー葉さび)と呼ばれる深刻な植物病害の流行が挙げられます。この病害は中南米全域に広がり、多くの小規模農家が打撃を受けました。その結果、生産基盤が一時的に崩壊し、多くの農家がコーヒー栽培から撤退したことも影響しています。

予想外の展開としては、2011年の498トンへの急増が挙げられます。しかし、この一時的な増加もその後安定せず、再び370トン付近へと戻りました。このデータは、国内市場の需要、供給チェーンの再編、あるいは気候条件といった複数の要因が短期的な変動をもたらした可能性を示しています。

現在、2014年以降のデータを見ると、ドミニカのコーヒー豆生産量は370トン前後で安定しています。これは非常に特異的な傾向であり、気候条件の克服や効率的な農業技術導入の結果として主に説明することが可能です。また、主要な輸出市場である北米や欧州への輸出拡大も、安定維持に寄与していると考えられます。

一方で、この安定性には課題も潜んでいます。まずサビ病などによる影響が再び顕在化するリスクや、気候変動の進行による天候不順の影響は無視できません。また、生産量が一定を保ったままでは、コーヒー豆の品質向上や付加価値の創出に取り組まなければ、国際市場での競争力を維持することが難しくなるでしょう。さらに、農家の高齢化や若い世代が農業離れを続けている点も、今後の生産力維持における根本的な課題です。

これらの課題に対する解決策としては、まずサビ病をはじめとする農業病害への監視体制を強化し、病害耐性品種の普及を進める必要があります。加えて、農家が長期的な収益を見込めるよう、金融支援や技術研修を通じた農家支援策を強化することが求められます。さらに、持続可能な農業のために、気候変動に強い農法や灌漑技術の導入を推進することも欠かせません。地域間で連携を深め、コーヒーの付加価値向上を図るためのブランド戦略の策定も必要です。

ドミニカがコーヒー豆生産量をさらなる成長へと導くためには、国際市場の動向や国内政策、技術革新の活用を通じて、常に柔軟な対応を取ることが重要です。生産量の安定を維持しつつ、品質の向上や市場の多様化に取り組むことで、ドミニカのコーヒー産業は持続的な発展を果たすことが期待されます。