国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ドミニカ共和国のニンジン・カブ類生産量は、1979年の466トンから2023年の577トンへ、長期間にわたって緩やかな増加を示しています。特に2009年には614トンというピークを記録し、その後一時的に減少しましたが、2011年以降は再び安定した成長基調にあります。この生産量の推移は、農業技術や気候条件の変化だけでなく、地元需要や輸出の影響も反映しています。
ドミニカのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 577 |
0.09% ↑
|
2022年 | 576 |
0.54% ↑
|
2021年 | 573 |
0.54% ↑
|
2020年 | 570 |
0.78% ↑
|
2019年 | 566 |
0.68% ↑
|
2018年 | 562 |
-0.55% ↓
|
2017年 | 565 |
0.32% ↑
|
2016年 | 563 |
-1.42% ↓
|
2015年 | 571 |
1.69% ↑
|
2014年 | 562 |
0.6% ↑
|
2013年 | 559 |
0.61% ↑
|
2012年 | 555 |
-6.83% ↓
|
2011年 | 596 |
12.88% ↑
|
2010年 | 528 |
-14.01% ↓
|
2009年 | 614 |
61.15% ↑
|
2008年 | 381 |
-21.6% ↓
|
2007年 | 486 |
-6.57% ↓
|
2006年 | 520 |
0.12% ↑
|
2005年 | 520 |
-1.96% ↓
|
2004年 | 530 |
2.56% ↑
|
2003年 | 517 |
0.19% ↑
|
2002年 | 516 |
0.46% ↑
|
2001年 | 513 |
0.47% ↑
|
2000年 | 511 |
0.71% ↑
|
1999年 | 507 |
1.32% ↑
|
1998年 | 501 |
1.82% ↑
|
1997年 | 492 |
0.05% ↑
|
1996年 | 492 |
-0.68% ↓
|
1995年 | 495 |
-1.02% ↓
|
1994年 | 500 |
-5.66% ↓
|
1993年 | 530 |
2.91% ↑
|
1992年 | 515 | - |
1991年 | 515 |
12.45% ↑
|
1990年 | 458 |
15.08% ↑
|
1989年 | 398 |
-5.01% ↓
|
1988年 | 419 |
-9.89% ↓
|
1987年 | 465 |
-18.28% ↓
|
1986年 | 569 |
11.57% ↑
|
1985年 | 510 |
2.2% ↑
|
1984年 | 499 |
1.63% ↑
|
1983年 | 491 |
-7.18% ↓
|
1982年 | 529 |
-7.03% ↓
|
1981年 | 569 |
4.02% ↑
|
1980年 | 547 |
17.38% ↑
|
1979年 | 466 | - |
ドミニカ共和国では、ニンジンやカブ類の生産は地元の野菜需要に答える重要な産業の一つです。1979年から2023年のデータを見ると、累計的な生産量は増加していますが、その推移にはいくつかの特徴的な変化があります。1979年から1986年までの間はおおむね増加しつつも、生産量の変動が見られ、例えば1986年には569トンと高い数値を記録した一方で、1989年には398トンまで減少しました。このような変動は気候的な要因や農業技術の不確実性、さらには地元市場の需要の変化が影響している可能性があります。
2009年は、614トンというピークを迎えた年です。これは近年の最大生産量を記録した年で、天候や病害虫対策の成功、あるいは市場のニンジン需要の高まりが寄与したと推察されます。しかし2007年から2008年にかけては486トンから381トンへの大幅な減少が見られ、自然災害や不利な農業条件が影響していた可能性が考えられます。特にドミニカ共和国はハリケーンが頻発する地域であり、悪天候が農作物に打撃を与えることは過去のデータからも明確です。
2011年以降のデータを観察すると、緩やかな生産量増加が続いていますが、2022年から2023年にかけてはわずか1トンの増加にとどまるなど、成長のペースは鈍化しています。この背景には、農地拡大の限界、土壌の肥沃度の低下、水資源の不足、さらには国際的な肥料価格の上昇などが影響していると考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年以降、世界的に農業供給チェーンが混乱したことも無視できません。
ドミニカ共和国のニンジン・カブ類生産における課題の一つは競争力の向上です。同地域は土壌の質や気候条件に恵まれているため、本来的には優れた農作物生産地です。しかし、隣国ハイチや近隣カリブ海諸国と比較して、効率的な農業技術の普及やインフラ整備が遅れている点が強調されています。例えば、韓国や中国では最新の灌漑技術やスマート農業を積極的に導入しており、生産の効率や質の向上を実現しています。一方、ドミニカ共和国においてそのような技術の導入は、限定的にとどまっています。
今後の展望としては、技術革新と持続可能な農業政策が鍵を握ると考えられます。生産効率を上げるための新しい作付け技術、水資源の効率的利用、そして農薬や肥料の適切な使用が重要です。また、土壌保全のための取り組みを公的機関や国際協力によって推進することにも期待が寄せられます。地域内輸出の拡大や農業支援基金の設立も有効な手段となるでしょう。さらに、自然災害の多発地域であることを踏まえ、気候変動に適応した品種の開発や農業保険の導入を検討すべきです。
全体として、長期的な視野に立って農業セクターの改善に取り組むことで、ドミニカ共和国のニンジン・カブ類生産はさらなる成長を遂げる可能性があります。これにより、地域社会の安定と食糧安全保障の確立にも貢献できるでしょう。国際機関もまた、この取り組みに支援の手を差し伸べることが期待されます。