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ドミニカのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点のデータによると、ドミニカのキュウリ類生産量は1979年から徐々に変動しており、長期的な傾向としては顕著な増減期を繰り返しています。初期の1980年代では比較的安定的な生産量を維持していたものの、1990年代と2000年代初頭には急激な減少期が見られます。その後、2011年から再び安定した増加傾向が続き、2020年代にかけて年間2,200トン以上を維持しています。最新の2023年のデータでは2,214トンとわずかに減少しているものの、近年の傾向から見ると全体的には底堅い成長を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,214
-5.73% ↓
2022年 2,349
1.5% ↑
2021年 2,314
-3.84% ↓
2020年 2,406
3.47% ↑
2019年 2,326
5.23% ↑
2018年 2,210
2.9% ↑
2017年 2,148
-0.94% ↓
2016年 2,168
-16.88% ↓
2015年 2,609
9.85% ↑
2014年 2,375
5.36% ↑
2013年 2,254
7.23% ↑
2012年 2,102
-8.37% ↓
2011年 2,294
119.1% ↑
2010年 1,047
-15.9% ↓
2009年 1,245
-16.72% ↓
2008年 1,495
59.72% ↑
2007年 936
-30.5% ↓
2006年 1,347
2.48% ↑
2005年 1,314
0.87% ↑
2004年 1,303
-10.17% ↓
2003年 1,450
-5.54% ↓
2002年 1,535
-2.16% ↓
2001年 1,569
-1.91% ↓
2000年 1,600
-3.05% ↓
1999年 1,650
3.13% ↑
1998年 1,600
0.7% ↑
1997年 1,589
2.51% ↑
1996年 1,550
-1.14% ↓
1995年 1,568
4.53% ↑
1994年 1,500
6.84% ↑
1993年 1,404
-21.08% ↓
1992年 1,779
-9.51% ↓
1991年 1,966
0.25% ↑
1990年 1,961
3.32% ↑
1989年 1,898
11.65% ↑
1988年 1,700
-9.57% ↓
1987年 1,880
-9.35% ↓
1986年 2,074 -
1985年 2,074
2.37% ↑
1984年 2,026
1.6% ↑
1983年 1,994
-23.98% ↓
1982年 2,623
4.54% ↑
1981年 2,509
10.09% ↑
1980年 2,279
20.01% ↑
1979年 1,899 -

ドミニカのキュウリ類生産量推移を見ると、1970年代後半から始まり1980年代前半までの生産増加期と、1990年代から2000年代前半にかけての減少期、さらには2010年代以降の増加期という、三つの主要なトレンドを確認することができます。こうした変動は、主に農業技術の進展、気候条件、ならびに輸出需要の変化に連動している可能性があります。

1980年代には2,000トン台前半での生産量を維持し、その安定性は当時の農業基盤の強化と内需とのバランスによるものと推測されます。一方、1990年代から2000年代前半にかけての減少は、災害や経済的な揺らぎが影響を与えた可能性があります。この時期には、熱帯性気候の特性上台風や干ばつが繰り返し発生しており、農作物全般に深刻な被害をもたらした記録も残されています。また、インフラ整備の遅れや主要農地の劣化も、全体的な生産力低下につながったと考えられます。

一方で、2010年代以降には明確な生産回復が見られ、2011年には2,294トンとほぼ1980年代のピークに近い水準に達しました。その背景には、政府や国際機関による農業振興政策の強化と、持続可能な農業技術の普及が影響している可能性があります。また、観光業の拡大に伴うホテルやレストランでの地元産野菜の需要増加が、生産回復を支えた可能性も指摘できます。2020年以降には新型コロナウイルス感染症の世界的流行も起こりましたが、ドミニカのキュウリ類生産は大きく打撃を受けることなく、概ね安定した生産を続けています。

しかし、2023年には前年の2,349トンから2,214トンへとわずかな減少が見られます。この微減については、気候や農地条件における変化の影響を分析する必要があります。特に気候変動の影響は無視できません。近年、異常気象による降雨パターンの変化や気温上昇が報告されており、それが農作業サイクルに混乱をもたらしている可能性があります。

今後の課題として、これらの気象変動への適応策としての農業技術のさらなる進展が挙げられます。また、輸出拡大を視野に入れた国際市場へのアプローチとしては、無農薬・有機栽培の推進や品質管理の強化が大きな鍵となるでしょう。さらに、災害リスクを軽減するための水資源管理や農地のインフラ整備も重要です。他国の事例として、アメリカや中国では先進的な灌漑技術やデジタル農業が活用されており、ドミニカでもこうした技術を積極的に取り入れることで気候変動のリスクを低減できる可能性があります。

また、地政学的な要因として、地域間貿易協定の活用や近隣諸国との連携も考慮すべきです。たとえばカリブ共同体(CARICOM)の枠組み内での農産物の取引促進は、ドミニカにとって重要な機会となり得ます。他国や国際機関との共同研究プロジェクトを通じて、持続可能な農業実現のための新しいアイデアや知識の共有を進めることも有用です。

結論として、ドミニカのキュウリ類生産は、過去の変動を乗り越え、一貫した成長基調に入ったとみることができます。しかし、未来への持続可能な発展を実現するためには、気候や市場環境の変化に柔軟に対応するための具体的な措置を引き続き講じる必要があります。そのため、国内外の助成制度や技術援助を活用しつつ、生産者が直面する課題に対処する総合的なアプローチが求められます。

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