国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ドミニカのパイナップル生産量は、2007年の765トンから始まり、その後急激な増加期を経て、2011年には2,439トンに到達しました。その後、2012年以降の生産量は2,000トン台を維持していますが、2015年以降はおおむね横ばいの状態が続いています。2023年の生産量は2,350トンで、過去の最大値と比較して安定的ではあるものの、顕著な成長が見られなくなっています。
ドミニカのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,350 |
0.36% ↑
|
2022年 | 2,342 |
-1.01% ↓
|
2021年 | 2,366 |
0.94% ↑
|
2020年 | 2,344 |
1.17% ↑
|
2019年 | 2,317 |
-4.95% ↓
|
2018年 | 2,437 |
7.02% ↑
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2017年 | 2,277 |
1.88% ↑
|
2016年 | 2,235 |
-18.24% ↓
|
2015年 | 2,734 |
13.33% ↑
|
2014年 | 2,412 |
7.93% ↑
|
2013年 | 2,235 |
9.48% ↑
|
2012年 | 2,042 |
-16.3% ↓
|
2011年 | 2,439 |
141.49% ↑
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2010年 | 1,010 |
-6.83% ↓
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2009年 | 1,084 |
29.36% ↑
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2008年 | 838 |
9.54% ↑
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2007年 | 765 | - |
ドミニカのパイナップル生産量は、およそ20年弱の間に大きな変化を経てきました。データによると、2007年から2011年にかけて生産量が約3倍に急増し、短期間で生産拡大が図られたことを示しています。この期間の成長は、新しい栽培技術の導入や国内外の需要増加、輸出産業への進出が主な要因であると考えられます。しかし、2011年以降、その急成長のペースは鈍化し、2012年から2023年までの間、生産量は2,000トンから2,400トン台で推移し、成長速度が停滞しています。
この停滞は、いくつかの要因が影響していると推定されます。一つは、農業における気候変動の影響です。例えば、干ばつや豪雨といった極端な気象現象が農作物に与える影響で、パイナップル生産地帯も例外なく被害を受けた可能性が高いです。また、栽培面積や農業従事者の減少が生産量の限界となる場合もあり、農業インフラの整備が進まないことが大きな課題となります。
さらに、他国の生産状況や競争の影響も無視できません。たとえば、パイナップルの主要輸出国であるコスタリカやフィリピンでは、生産規模がドミニカより格段に大きく、輸出市場での競争が激化しています。2023年現在、ドミニカのパイナップル生産量は国際市場において経済的に重要な役割を果たしているとは言えませんが、地域経済維持の一環として依然として重要です。
ドミニカの将来の課題として、気象リスクへの対応や生産効率向上が挙げられます。具体的には、パイナップル栽培の灌漑設備を強化し、水の管理を徹底することが必要です。また、気候条件に強い品種の開発や、病害虫対策のプログラムの導入も重要です。次に、複数国間で連携する農業協定の枠組み作りも提案できます。他のカリブ諸国や中南米の主要産地と協力することで、技術移転や市場戦略の共有が図れるでしょう。
生産量が横ばいを続けていることを踏まえると、安定した生産以上に付加価値の高い製品化が戦略として有効です。これには、加工食品の製造やパイナップルを用いた高品質な製品の輸出拡大が含まれます。また、観光との連携で地元産パイナップルの需要を高める地域ブランド戦略も注目です。
地政学的観点から見ると、カリブ地域が持つ輸送の利便性は、アメリカ大陸やヨーロッパ諸国への輸出における優位性を示しています。しかし、気候変動や時折発生する地域紛争、経済的混乱がこれに影響を与えるリスクは常に存在します。こうした背景から、国際的な支援や災害対策に基づいた長期的な政策の必要性が求められています。
総じて、データからはドミニカのパイナップル産業が一定の成熟期にあり、次の発展のためには、品質向上や持続可能な農業の確立といった具体的な課題解決が必要であると考えられます。今後、政府や国際機関が協力し、技術支援や資金援助を行うことで、国内生産の強化や産業の競争力向上を目指すべきです。