Food and Agriculture Organization(FAO)最新データによると、ドミニカのスイカ生産量は1983年の50トンから2023年の281トンまでおよそ5倍以上の増加を遂げています。特に1980年代後半から1990年代にかけて段階的な成長を見せ、その後2000年代初頭から一定の安定期に入りつつ、近年では再び生産量が緩やかに増加しています。この推移を背景に、国内需要の拡大や輸出の取り組み、気候条件の影響がうかがえます。
ドミニカのスイカ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 281 |
1.46% ↑
|
2022年 | 277 |
0.73% ↑
|
2021年 | 275 |
0.64% ↑
|
2020年 | 273 |
-0.5% ↓
|
2019年 | 274 |
0.2% ↑
|
2018年 | 274 |
-2.42% ↓
|
2017年 | 281 |
4.29% ↑
|
2016年 | 269 |
2.81% ↑
|
2015年 | 262 |
18.98% ↑
|
2014年 | 220 | - |
2013年 | 220 | - |
2012年 | 220 |
-39.73% ↓
|
2011年 | 365 |
42.02% ↑
|
2010年 | 257 |
-8.21% ↓
|
2009年 | 280 |
27.27% ↑
|
2008年 | 220 |
-1.79% ↓
|
2007年 | 224 |
1.82% ↑
|
2006年 | 220 | - |
2005年 | 220 | - |
2004年 | 220 | - |
2003年 | 220 |
10% ↑
|
2002年 | 200 | - |
2001年 | 200 | - |
2000年 | 200 | - |
1999年 | 200 | - |
1998年 | 200 | - |
1997年 | 200 |
5.26% ↑
|
1996年 | 190 | - |
1995年 | 190 |
5.56% ↑
|
1994年 | 180 | - |
1993年 | 180 |
-4.76% ↓
|
1992年 | 189 |
26.85% ↑
|
1991年 | 149 |
-8.02% ↓
|
1990年 | 162 |
2.53% ↑
|
1989年 | 158 |
-4.82% ↓
|
1988年 | 166 |
-19.02% ↓
|
1987年 | 205 |
36.67% ↑
|
1986年 | 150 |
50% ↑
|
1985年 | 100 |
25% ↑
|
1984年 | 80 |
60% ↑
|
1983年 | 50 | - |
ドミニカのスイカ生産量は、1983年の50トンという小規模な水準から始まり、その後およそ40年間で大きな成長を遂げてきました。1983年から1987年までは急激な上昇が見られ、わずか4年間で50トンから205トンへと成長しました。この成長は、政府による農業振興策や耕地拡大が要因と考えられます。しかし、1988年から1991年にかけては生産量が下降傾向になり、166トンから149トンまで減少しています。この減少については、多雨や干ばつなどの気候変動の影響、または農業インフラの整備状況が関係していると推測されます。
1990年代中盤以降、ドミニカのスイカ生産量は再び増加基調に入り、2000年には200トンという一定の水準に到達しました。この200トン前後の生産規模はその後10年以上にわたってほぼ安定しました。この期間は、スイカが国内市場で需要を満たす程度の生産量を維持した時期と見られます。一方で、2009年には280トンという大幅な増加が記録されていますが、その後の2010年には257トンに減少しており、天候や国際市場の動向による一時的な変動が影響を及ぼした可能性があります。
2010年代後半以降、ドミニカのスイカ生産量は再び安定的な増加傾向を示しています。2023年には281トンに達し、過去40年間で最大量を記録しました。この背景には、より効率的な農業技術の導入や、輸出拡大を目的とした政府の支援策があると考えられます。また、近年の統計では、スイカが健康志向の高まりとともに海外市場での需要を増大させており、これが生産量の伸びにも貢献している可能性があります。
一方で課題も残っています。例えば、2020年から2023年にかけての生産量は緩やかではあるものの、横ばいとも取れる推移を見せています。これは、気候変動の継続的な影響や、農地の拡大が限界に近づいていることが関係しているかもしれません。隣国のスイカ輸出国、特にアメリカやメキシコと比較すると、ドミニカの生産量は依然として小規模であり、国際競争力を高めるための取り組みが必要です。
具体的な対策として、最新の灌漑(かんがい)技術を導入し、気候リスクを緩和する手段が有効です。また、農家教育プログラムを強化して高密度栽培や有機農業技術を普及させることで、単位面積あたりの収穫量を向上させることが期待されます。さらに、スイカの加工品(ジュース、ピューレ)の製造を促進し、新たな販路の開拓を狙うことで、生産量の増加と合わせた収益の多角化を図れます。
ドミニカが今後、持続可能な農業モデルを確立しつつスイカ生産量を増やしていくためには、地域間協力や技術交流を積極的に進めることも重要です。特に、中米地域の農業研究機関との連携により、共有されたデータや技術は、ドミニカの農業成長をさらに後押しするでしょう。