FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ドミニカのレモン・ライムの生産量は、1961年の初期値である9,000トンから、2023年には1,813トンに減少しています。特に1970年代後半から1990年代初頭にかけて生産量が急減したことが特徴的です。その後、2000年代初頭から回復の兆しを見せており、過去数年(2018年以降)では1,700〜1,800トン台で安定しています。
ドミニカのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,813 |
0.02% ↑
|
2022年 | 1,813 |
-1.53% ↓
|
2021年 | 1,841 |
1.36% ↑
|
2020年 | 1,816 |
1.98% ↑
|
2019年 | 1,781 |
1.22% ↑
|
2018年 | 1,759 |
0.31% ↑
|
2017年 | 1,754 |
-0.78% ↓
|
2016年 | 1,768 |
1.21% ↑
|
2015年 | 1,747 |
-3.61% ↓
|
2014年 | 1,812 |
-1.2% ↓
|
2013年 | 1,834 |
22.84% ↑
|
2012年 | 1,493 |
5.89% ↑
|
2011年 | 1,410 |
10.24% ↑
|
2010年 | 1,279 |
-17.91% ↓
|
2009年 | 1,558 |
25.85% ↑
|
2008年 | 1,238 |
10.73% ↑
|
2007年 | 1,118 |
1.82% ↑
|
2006年 | 1,098 |
2.52% ↑
|
2005年 | 1,071 |
-1.47% ↓
|
2004年 | 1,087 |
-3.63% ↓
|
2003年 | 1,128 |
-10.62% ↓
|
2002年 | 1,262 |
-1.79% ↓
|
2001年 | 1,285 |
-5.24% ↓
|
2000年 | 1,356 |
40.14% ↑
|
1999年 | 968 |
0.68% ↑
|
1998年 | 961 |
-0.2% ↓
|
1997年 | 963 |
-0.57% ↓
|
1996年 | 968 |
-1.43% ↓
|
1995年 | 983 |
-1.75% ↓
|
1994年 | 1,000 |
1.01% ↑
|
1993年 | 990 |
1.02% ↑
|
1992年 | 980 |
-42.89% ↓
|
1991年 | 1,716 |
-33.62% ↓
|
1990年 | 2,585 |
-41.28% ↓
|
1989年 | 4,402 |
-25.01% ↓
|
1988年 | 5,870 |
5.5% ↑
|
1987年 | 5,564 |
-4.63% ↓
|
1986年 | 5,834 |
-8.23% ↓
|
1985年 | 6,357 |
1.58% ↑
|
1984年 | 6,258 |
2.96% ↑
|
1983年 | 6,078 |
-6.68% ↓
|
1982年 | 6,513 |
2.08% ↑
|
1981年 | 6,380 |
3.1% ↑
|
1980年 | 6,188 |
16.62% ↑
|
1979年 | 5,306 |
-37.67% ↓
|
1978年 | 8,513 |
-10.62% ↓
|
1977年 | 9,525 |
4.17% ↑
|
1976年 | 9,144 | - |
1975年 | 9,144 |
14.3% ↑
|
1974年 | 8,000 | - |
1973年 | 8,000 | - |
1972年 | 8,000 | - |
1971年 | 8,000 | - |
1970年 | 8,000 | - |
1969年 | 8,000 | - |
1968年 | 8,000 |
4.99% ↑
|
1967年 | 7,620 |
-2.23% ↓
|
1966年 | 7,794 |
-22.06% ↓
|
1965年 | 10,000 |
25% ↑
|
1964年 | 8,000 |
14.29% ↑
|
1963年 | 7,000 |
-12.5% ↓
|
1962年 | 8,000 |
-11.11% ↓
|
1961年 | 9,000 | - |
1961年から2023年までのドミニカのレモン・ライム生産量の推移は、多くの変動とその背景にある内的・外的要因の影響を示しています。このデータは、国内農業の発展や気候条件、国際市場の需要の変動などの影響を詳しく解読するうえで重要な指標となっています。
ドミニカのレモン・ライム生産量は、1961年に9,000トンから始まりましたが、その後の10年間で8,000トン前後の比較的安定した生産量を示しました。しかし、1979年以降、著しい減少が始まりました。この減少は、おそらく当時の国内経済の混乱や農業政策の停滞、さらに自然災害(例えばハリケーン)による広範な被害によるものと考えられます。また、1990年代初頭には生産量が1,000トンを下回る危機的な数字を記録しました。これは、商品作物としての経済的魅力の低下や、主要農業資源の転用が生産に深刻な影響を与えた可能性があります。
特に注目すべきは、2000年代初頭以降の生産量の回復です。2000年には1,356トンまで回復し、その後徐々に数字を積み重ねてきました。2013年からは1,800トン台に近づき、近年では持続的にその生産量を維持しています。このような回復傾向は、農業技術の改善、インフラへの投資の増加、政府の支援策などが影響しているものと推測されます。
一方で、ドミニカの生産量は他の産地と比較して非常に小規模です。例えば、メキシコやインドなどの主要なレモン・ライム生産国では、年間生産量が数百万トンに達しています。こうした他国との大きな差は、気候条件や土地利用計画の差だけでなく、国際市場における競争力や経営の効率性の違いも影響していると考えられます。
今後の課題として、安定した農作物の供給を維持するためには気候変動への適応が必要不可欠です。特に、ドミニカはカリブ海地域特有の地政学的リスクや自然災害(例えばハリケーン、洪水)に対する脆弱性を抱えています。これらは、今後の生産へのリスクを高める要因です。
また、新型コロナウイルスの流行も農業に影響を与えた可能性があります。2020年以降の生産データに大きな変動は見られませんでしたが、パンデミックによる国際物流の混乱や労働力の減少が生産活動の効率性に影響を与えた可能性も否めません。
対策として、農業従事者への支援を強化し、最新の農業技術を導入することが考えられます。また、地域内での協力を深め、生産者間の情報共有や灌漑計画の整備など、長期的なインフラの充実も必要です。さらに、国際市場を視野に入れた品質向上策や有機農業認証の取得も、生産量の回復と輸出拡大につながる可能性があります。
結論として、ドミニカのレモン・ライム生産量は、困難な時期を乗り越え、着実に安定基調に向かっていますが、国際競争力の向上と気候変動への対応は不可欠です。今後は、国際機関や近隣諸国との協調をさらに強化しつつ、持続可能な農業戦略を策定することが求められます。ドミニカには、豊かな農業資産を最大限に活かし、地域社会の発展に寄与する可能性があるのです。