Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、フィジーのオクラ生産量は1961年から長期間にわたり停滞していましたが、1980年以降急激に増加しました。特に2018年以降は急速な成長が見られ、2021年には6,014トンという過去最高値を記録しました。しかし、その後2022年、2023年にはやや減少し、それぞれ5,106トン、4,724トンとなっています。この推移には、多様な要因が影響していると考えられます。
フィジーのオクラ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 4,724 |
-7.48% ↓
|
2022年 | 5,106 |
-15.09% ↓
|
2021年 | 6,014 |
32.48% ↑
|
2020年 | 4,540 |
64.42% ↑
|
2019年 | 2,761 |
79.87% ↑
|
2018年 | 1,535 |
73.64% ↑
|
2017年 | 884 |
1100.92% ↑
|
2016年 | 74 |
-57.69% ↓
|
2015年 | 174 |
64.14% ↑
|
2014年 | 106 |
-86.57% ↓
|
2013年 | 789 |
-12.28% ↓
|
2012年 | 900 |
-1.55% ↓
|
2011年 | 914 |
-2.12% ↓
|
2010年 | 934 |
-0.42% ↓
|
2009年 | 938 |
0.01% ↑
|
2008年 | 938 |
-14.75% ↓
|
2007年 | 1,100 |
4.76% ↑
|
2006年 | 1,050 |
13.65% ↑
|
2005年 | 924 |
0.62% ↑
|
2004年 | 918 |
0.54% ↑
|
2003年 | 913 |
0.37% ↑
|
2002年 | 910 |
0.63% ↑
|
2001年 | 904 |
-9.58% ↓
|
2000年 | 1,000 |
7.87% ↑
|
1999年 | 927 |
-15.72% ↓
|
1998年 | 1,100 |
2.8% ↑
|
1997年 | 1,070 |
-2.73% ↓
|
1996年 | 1,100 |
10% ↑
|
1995年 | 1,000 |
2.88% ↑
|
1994年 | 972 |
119.41% ↑
|
1993年 | 443 |
-33.84% ↓
|
1992年 | 670 |
100.77% ↑
|
1991年 | 334 |
83.25% ↑
|
1990年 | 182 |
-9% ↓
|
1989年 | 200 | - |
1988年 | 200 | - |
1987年 | 200 | - |
1986年 | 200 |
100% ↑
|
1985年 | 100 | - |
1984年 | 100 | - |
1983年 | 100 | - |
1982年 | 100 | - |
1981年 | 100 | - |
1980年 | 100 |
100% ↑
|
1979年 | 50 | - |
1978年 | 50 | - |
1977年 | 50 | - |
1976年 | 50 | - |
1975年 | 50 | - |
1974年 | 50 | - |
1973年 | 50 | - |
1972年 | 50 | - |
1971年 | 50 | - |
1970年 | 50 | - |
1969年 | 50 | - |
1968年 | 50 | - |
1967年 | 50 | - |
1966年 | 50 | - |
1965年 | 50 | - |
1964年 | 50 | - |
1963年 | 50 | - |
1962年 | 50 | - |
1961年 | 50 | - |
フィジーのオクラ生産は、1961年から1979年までの約20年間、年間50トンで横ばい状態が続きました。この期間は、オクラ生産が国内的にも農業政策上の優先事項でなかったことを示していると考えられます。しかし、1980年に生産量が初めて100トンに到達し、その後1986年には200トンと倍増しました。この時期は、農業改革や技術導入の開始、そして地域市場への供給拡大の努力が進められたと推測されます。
1990年以降オクラ生産はさらに多様な動きを見せ、特に1992年の670トン、1994年の972トンといった急増が見られます。このような急激な増加は、天候条件や輸出市場の需要増加が影響した可能性がありますが、その後の数年間は数値の変動が激しく、年間900トンから1,100トンの間で推移しました。この間の不安定さは、フィジーの農業インフラや市場への依存度がまだ高かったことを表しています。
2013年から2016年までの生産量減少(2013年の789トンから2016年の74トン)においては、気候変動や農業従事者の高齢化、外的要因による労働力不足が影響した可能性があります。しかし2017年には一転して884トンに回復し、消費市場や政府の政策改善が影響を与えたことが考えられます。さらに2018年以降、技術革新や輸出市場拡大の結果と見られる目覚ましい成長が始まりました。2018年に1,535トンだった生産量は、2020年に4,540トン、2021年にはついに6,014トンとなりました。このような急増は、農業生産性の向上や輸出入に対する地政学的リスクの低下が寄与した可能性が高いと言えます。
一方で2022年と2023年には、それぞれ5,106トンと4,724トンと減少が見られ、安定した増加傾向が鈍化しました。この現象は、天候の不安定化、新型コロナウイルスの影響による労働力不足、あるいは市場需要の変動によるものと見られます。また、地政学的には資源争奪や地域的対立が輸出市場に影響を与える可能性も排除できません。
今後の課題として、まず安定的な生産のための農業インフラの整備が必要です。農業灌漑技術の改善だけでなく、気候変動に強い品種の開発などが効果的です。また、国内の労働力不足に対応するためには、若年層に農業を魅力的にする教育プログラムや、外部からの労働力確保に向けた移民政策の整備も重要です。さらに、輸出市場の多様化によって単一市場依存を避ける努力が求められます。
結論として、フィジーのオクラ生産はこの数十年で長足の進歩を遂げましたが、最近の減少傾向に対応するためには、持続可能な農業体制の構築が急務です。国際機関や政府が連携し、長期的かつ実効性のある政策を推進することで、フィジーのオクラ産業がさらなる成長を遂げ、地域社会にも恩恵をもたらすでしょう。