国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、フィジーの鶏卵生産量は長期的に増加傾向にあり、2023年には18,340トンの過去最高生産量を記録しました。1960年代の700トン程度から始まり、特に近年、急激な増加が見られました。一時的な減少や生産量の乱高下もありましたが、全体としては成長基調を保っています。
フィジーの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 18,340 |
100.04% ↑
|
2022年 | 9,168 |
3% ↑
|
2021年 | 8,901 |
9.13% ↑
|
2020年 | 8,156 |
-28.01% ↓
|
2019年 | 11,329 |
23.84% ↑
|
2018年 | 9,148 |
12.34% ↑
|
2017年 | 8,143 |
67.31% ↑
|
2016年 | 4,867 |
-27.43% ↓
|
2015年 | 6,707 |
-5.71% ↓
|
2014年 | 7,113 |
5.86% ↑
|
2013年 | 6,719 |
77.19% ↑
|
2012年 | 3,792 |
-30.71% ↓
|
2011年 | 5,473 |
-4.1% ↓
|
2010年 | 5,707 |
64.42% ↑
|
2009年 | 3,471 |
2.06% ↑
|
2008年 | 3,401 |
-1.08% ↓
|
2007年 | 3,438 |
-2.39% ↓
|
2006年 | 3,522 |
-7.1% ↓
|
2005年 | 3,791 |
30.36% ↑
|
2004年 | 2,908 |
2.43% ↑
|
2003年 | 2,839 |
2.45% ↑
|
2002年 | 2,771 |
3.86% ↑
|
2001年 | 2,668 |
-16.65% ↓
|
2000年 | 3,201 |
2.04% ↑
|
1999年 | 3,137 |
-23.54% ↓
|
1998年 | 4,103 |
56.07% ↑
|
1997年 | 2,629 |
-7.56% ↓
|
1996年 | 2,844 |
10.4% ↑
|
1995年 | 2,576 |
1.98% ↑
|
1994年 | 2,526 |
3.19% ↑
|
1993年 | 2,448 |
-1.09% ↓
|
1992年 | 2,475 |
12.96% ↑
|
1991年 | 2,191 |
-11.4% ↓
|
1990年 | 2,473 |
2.27% ↑
|
1989年 | 2,418 |
7.99% ↑
|
1988年 | 2,239 |
4.38% ↑
|
1987年 | 2,145 |
-5.34% ↓
|
1986年 | 2,266 |
3% ↑
|
1985年 | 2,200 |
-9.65% ↓
|
1984年 | 2,435 |
4.96% ↑
|
1983年 | 2,320 |
7.51% ↑
|
1982年 | 2,158 |
7.52% ↑
|
1981年 | 2,007 |
1.83% ↑
|
1980年 | 1,971 |
1.13% ↑
|
1979年 | 1,949 |
0.93% ↑
|
1978年 | 1,931 |
43.89% ↑
|
1977年 | 1,342 |
3.23% ↑
|
1976年 | 1,300 |
1.33% ↑
|
1975年 | 1,283 |
12.15% ↑
|
1974年 | 1,144 |
6.42% ↑
|
1973年 | 1,075 |
2.58% ↑
|
1972年 | 1,048 |
3.87% ↑
|
1971年 | 1,009 |
13.88% ↑
|
1970年 | 886 |
5.85% ↑
|
1969年 | 837 |
5.42% ↑
|
1968年 | 794 |
-16.42% ↓
|
1967年 | 950 |
2.7% ↑
|
1966年 | 925 |
-9.31% ↓
|
1965年 | 1,020 |
6.25% ↑
|
1964年 | 960 |
6.67% ↑
|
1963年 | 900 |
12.5% ↑
|
1962年 | 800 |
14.29% ↑
|
1961年 | 700 | - |
鶏卵生産は食料安全保障の観点で重要であり、特に栄養価の高さから多くの国で重要視されています。フィジーにおいても鶏卵生産は国内食料供給の一端を担ってきました。データを見ると、1960年代からのスタート時の生産量は比較的少なく、初期段階の生産構造だったことがうかがえます。しかし、1970年代後半から1980年代にかけて持続可能な成長が見られ、生産量は徐々に増加を続けました。1998年には4,103トンという大幅な増加が見られましたが、その後の数年間で減少し、生産量には一時的な波がありました。2010年代に入ると、6,719トンや7,113トンと比較的顕著な拡大が見られ、2023年には18,340トンの記録的な数値に到達しています。
このような増加傾向の背景として、いくつかの要因が指摘されます。まず、畜産技術の向上による生産効率化が挙げられます。これには、より栄養価の高い飼料の活用や厳格な衛生管理の実施が含まれます。また、鶏卵需要の高まりが生産を拡大させる主要因と考えられます。都市化が進む中で、生活スタイルの変化に伴い、手軽で栄養価の高い食品への需要が増加していることが背景にあります。このように、内需増加や輸出市場への進出が相まって、フィジーの鶏卵産業は近年で大幅な成長を遂げました。
一方で、年間ごとの乱高下や一時的な減少が示すように、安定した生産を持続するにはいくつかの課題が存在します。フィジーは地理的に大規模なサイクロンや自然災害が発生しやすい地域であり、気候変動による生産インフラへの影響が大きい可能性があります。また、2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がサプライチェーンに影響を与え、一部の年で生産量の低下が見られました。これらの要因は鶏卵産業全体への潜在的リスクとして考慮されるべきです。
今後の課題として、まず持続可能な生産への転換が挙げられます。具体的な対策としては、災害耐性を備えた畜産施設の整備、効率的な飼料利用技術の導入、農業分野への政府補助の継続が必要です。さらに、国際的な市場における競争力を高めるために、鶏卵の品質標準を向上させることも求められます。また、輸出を拡大することで、国内市場の需要不安定に対処し、産業基盤全体を強化することも実現可能です。
地域間の比較では、先進工業地域である日本やアメリカと比較すると、フィジーの生産量は依然として限られています。例として、2023年の日本の鶏卵生産量は約250万トンであり、フィジーの18,340トンを大きく上回っています。この格差を埋めるには、フィジーが持つ地理的な制約を克服するための革新的な解決策が必要です。
結論として、フィジーの鶏卵生産量の推移は、生産効率化と内需増加が影響し、長期的な増加を示しています。しかし、災害リスクや市場の不確実性を軽減するための政策対応が重要であり、農業技術の革新や地域間協力が必要不可欠です。これらを達成することで、フィジーは持続可能な食品供給の実現と経済的な繁栄を目指すことができます。