Skip to main content

フィジーの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

FAO(国連食糧農業機関)が発表した2024年最新データによると、フィジーの牛乳生産量は、1960年代から1970年代にかけて増加傾向を示していました。しかし、2000年代後半以降急激に低下し、特に2009年以降は長期的な低生産量が続いています。2022年の牛乳生産量は12,767トンで、1961年の20,000トンを下回る水準に留まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 12,767
12% ↑
2021年 11,399
-8.02% ↓
2020年 12,393
15.1% ↑
2019年 10,767
-8.5% ↓
2018年 11,767
-9.36% ↓
2017年 12,982
-8.4% ↓
2016年 14,172
12.17% ↑
2015年 12,634
-24.27% ↓
2014年 16,684
23.45% ↑
2013年 13,515
6.87% ↑
2012年 12,646
-9.11% ↓
2011年 13,914
1.08% ↑
2010年 13,766
10.89% ↑
2009年 12,414
-78.78% ↓
2008年 58,500
0.86% ↑
2007年 58,000
0.87% ↑
2006年 57,500
0.88% ↑
2005年 57,000
14% ↑
2004年 50,000
29.21% ↑
2003年 38,696
-32.7% ↓
2002年 57,500
0.88% ↑
2001年 57,000
1.79% ↑
2000年 56,000
1.82% ↑
1999年 55,000
-3.51% ↓
1998年 57,000
-1.38% ↓
1997年 57,800
-4.78% ↓
1996年 60,700
-8.03% ↓
1995年 66,000
1.13% ↑
1994年 65,261
3.59% ↑
1993年 63,000
60.23% ↑
1992年 39,317
-36.58% ↓
1991年 62,000
6.9% ↑
1990年 58,000
9.43% ↑
1989年 53,000
7.14% ↑
1988年 49,470
-3% ↓
1987年 51,000 -
1986年 51,000
15.91% ↑
1985年 44,000
29.41% ↑
1984年 34,000
-2.86% ↓
1983年 35,000
-12.5% ↓
1982年 40,000
-20% ↓
1981年 50,000
-11.19% ↓
1980年 56,300
1.62% ↑
1979年 55,400
2.88% ↑
1978年 53,850
-3.84% ↓
1977年 56,000
12% ↑
1976年 50,000
-3.85% ↓
1975年 52,000
1.96% ↑
1974年 51,000
2% ↑
1973年 50,000
13.64% ↑
1972年 44,000 -
1971年 44,000
7.07% ↑
1970年 41,094
17.41% ↑
1969年 35,000
13.75% ↑
1968年 30,770
-20.57% ↓
1967年 38,740
0.1% ↑
1966年 38,700
0.08% ↑
1965年 38,668 -
1964年 38,668
61.12% ↑
1963年 24,000
9.09% ↑
1962年 22,000
10% ↑
1961年 20,000 -

フィジーの牛乳生産量の推移データからは、同国の乳業の発展とその後の衰退の両面が見て取れます。1961年の20,000トンから1970年代にかけて順調に生産量が増加し、1990年代にはピークを迎えました。1995年には66,000トンに達し、国内畜産業の発展が反映されていました。しかし、その後2000年代後半には大幅な減少が見られ、2009年には12,414トンと極端に生産量が低下しました。この急激な減少は、当時の農業政策の変更、気候変動による影響、そして乳牛の飼育条件の悪化など、多くの要因が絡み合った結果と考えられます。

特に注目すべきは、近年に至るまで牛乳生産量が低迷していることです。2022年の12,767トンという最新の数値は、最も高かった1995年の3分の1未満です。このような長期間にわたる生産量の低迷は、気候変動による干ばつや洪水の影響、また農業インフラの老朽化や経済的な困難を反映している可能性があります。さらに、牛乳の生産において重要な労働力の不足も大きな課題となっていると言えます。

フィジーは小規模な島国であるため、地政学的なリスクも生産量の動向に影響を及ぼしている可能性があります。例えば、国際市場へのアクセスが制約されやすい状況は、乳製品の国際価格の変動や輸入原料の供給障害に敏感な影響を受けることを意味します。また、近年の新型コロナウイルスの大流行による経済的な打撃も、畜産業全体に間接的な影響を与えていると推測されます。

フィジーの牛乳生産回復のためには、具体的で持続可能な対策が不可欠です。栄養価の高い専用飼料の導入や、乳牛の健康を維持するための獣医療の拡充は不可欠です。また、気候変動の影響を軽減するため、灌漑設備の最新化や牧草地の管理強化が求められます。特に小規模農家への補助金支給や技術支援を通じて、生産の効率化と品質の向上を図ることが重要です。

さらに、政策の側面では地域間での協力体制の強化が挙げられます。たとえば、周辺太平洋諸国との農業技術共有や、乳製品輸出入における自由貿易協定の強化などが検討に値します。デジタル技術を活用した効率的な生産管理システムの導入も、農業の近代化を推進する上で重要な選択肢となるでしょう。

結論として、フィジーの牛乳生産量の低迷は、歴史的背景や地政学的要因、気候変動を含む複数の課題が重なった結果です。しかし、適切な政策や技術革新、地域間協力を通じて、今後の回復と持続的発展に向けた道筋を見いだすことが可能です。そのためには、政府だけでなく国際協力や民間企業の役割も重要です。フィジーの乳業再生は、同様の課題を抱える他地域のモデルケースになる可能性も秘めています。