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フィジーのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)

フィジーのマンゴー・マンゴスチン・グアバの生産量は、長期的な視点で見ると大幅に変動しており、近年は増加傾向にあります。1961年から1990年までは徐々に増加し、最高で500トンに達しました。しかし1990年代には大きな変動が見られ、特に1993年と1996年はそれぞれ42トン、6トンという極端な低水準に落ち込みました。その後、2000年代以降は生産量は不安定ながらも徐々に回復し、2023年には699トンに達しました。2020年代に入ってから安定した増加が確認されており、特に2022年からの著しい成長が注目されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 699
13.63% ↑
2022年 615
48.65% ↑
2021年 414
1.16% ↑
2020年 409
-1.04% ↓
2019年 413
29.55% ↑
2018年 319
32.92% ↑
2017年 240
-7.69% ↓
2016年 260
80.56% ↑
2015年 144
-24.21% ↓
2014年 190
29.25% ↑
2013年 147
4.26% ↑
2012年 141
0.71% ↑
2011年 140
-16.32% ↓
2010年 167
39.43% ↑
2009年 120
-40% ↓
2008年 200
-4.76% ↓
2007年 210
-13.58% ↓
2006年 243
15.71% ↑
2005年 210
-69.16% ↓
2004年 681
200% ↑
2003年 227
682.76% ↑
2002年 29
-40.82% ↓
2001年 49
2.08% ↑
2000年 48
50% ↑
1999年 32
-86.99% ↓
1998年 246
446.67% ↑
1997年 45
650% ↑
1996年 6
-89.29% ↓
1995年 56
-92.21% ↓
1994年 719
1611.9% ↑
1993年 42
-95.8% ↓
1992年 1,000
100% ↑
1991年 500 -
1990年 500
25% ↑
1989年 400
60% ↑
1988年 250 -
1987年 250 -
1986年 250
-28.57% ↓
1985年 350
-18.79% ↓
1984年 431
7.75% ↑
1983年 400
33.33% ↑
1982年 300 -
1981年 300
50% ↑
1980年 200 -
1979年 200
100% ↑
1978年 100 -
1977年 100
33.33% ↑
1976年 75 -
1975年 75 -
1974年 75 -
1973年 75 -
1972年 75 -
1971年 75 -
1970年 75 -
1969年 75
50% ↑
1968年 50 -
1967年 50 -
1966年 50 -
1965年 50 -
1964年 50 -
1963年 50 -
1962年 50 -
1961年 50 -

フィジーのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量の推移を示すデータからは、国内の農業生産が特有の課題を抱えつつも成長の兆しを見せていることが分かります。1960年代から1970年代にかけては一定の停滞期を経て、その後1979年に初めて200トンを記録し、大幅な生産量の増加が見られるようになりました。1992年には1,000トンというピークに達しましたが、翌年には再び42トンという急激な減少を経験しました。このような大幅な変動は、気候変動や災害、栽培環境の変化、政策的な支援の不足、あるいは市場条件の不安定性など、複合的な要因が背景にあると考えられます。

特に1990年代中盤の激しい変動は、フィジーの農業システムが持続可能性において課題を抱えていたことを示唆しています。この時期の生産量の異常な低下は、作物への病害虫の大発生や、農業への投資不足、自然災害などが影響していた可能性があります。一方で2000年代に入り、生産量はおおむね安定し、小規模ながら成長を見せています。そして、2020年代に入ってからは、特に2022年の615トン、2023年の699トンと、安定した回復基調が見られることは非常にポジティブな兆候です。

この大幅な成長の背景には、世界的な需要増や商品価値の向上があると考えられます。マンゴーやグアバを中心とするトロピカルフルーツは、健康志向の高まりや観光客の増加によって需要が拡大しており、これはフィジーの生産者にも追い風となっています。また、地政学的に安定した地域に位置するフィジーでは、農産物の輸出拡大に向けたインフラの整備が進んでいる可能性も考えられます。それに触発され、現地農業の効率性や収益性が向上したことが、データに表れているのでしょう。

しかしながら、課題も依然として残されています。具体的には、天候に依存する農業構造、農業技術やインフラ整備の不十分さ、市場輸出の課題が挙げられます。また、フィジーを襲う台風や豪雨といった気象リスクが、トロピカルフルーツ生産に悪影響を与えるリスクは無視できません。これに加え、過去の生産量の大幅な上下動が示している通り、農業経済が外的要因の変化に対して非常に脆弱であることも無視できません。

これらの課題を克服するために、技術的および政策的な対策が必要です。まず、災害リスクを軽減するために、耐性のある作物品種の導入や灌漑設備の強化を進めるべきです。また、農業従事者への技術研修や、教育プログラムの提供による人材開発は、持続可能な農業の基盤を強化する上で重要です。さらに、地場産業の活性化と輸出拡大を促進するために、効率的な輸送ネットワークや冷蔵保存施設などのインフラ整備を支援する必要もあるでしょう。

国際的な視野で見ても、たとえばインドや中国といった国々で同様の農業復興計画が成功を収めている事例があり、これらの事例を学びながらフィジーの事情に合わせた独自の農業政策を立案することが期待されます。近隣諸国や国際機関との協力体制を築くことで、農業技術だけでなく、販路拡大や気象データの共有といった分野でも支援を受けることが可能となるでしょう。

最後に、気候変動によるリスク増加や国際市場の競争激化を考慮するなら、早急かつ持続的な対策が求められます。この先、フィジー政府や国際機関が協力して生産基盤の強化と市場環境の安定化を図ることが、同国農業の長期的成功には不可欠と言えるでしょう。