国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、フィジーのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は近年安定した推移を見せています。1989年の1,056トンから2023年の1,979トンまで増加傾向にありましたが、2010年代後半以降は1,900トン台での推移が続いています。一時期の急増(2006年)と比べると成長は緩やかですが、一定の生産量を維持していることが伺えます。
フィジーのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,979 |
0.13% ↑
|
2022年 | 1,976 |
-0.03% ↓
|
2021年 | 1,977 |
-0.32% ↓
|
2020年 | 1,983 |
0.73% ↑
|
2019年 | 1,969 |
-0.49% ↓
|
2018年 | 1,979 |
-1.18% ↓
|
2017年 | 2,002 |
3.98% ↑
|
2016年 | 1,926 |
-4.1% ↓
|
2015年 | 2,008 |
3.49% ↑
|
2014年 | 1,940 |
6.09% ↑
|
2013年 | 1,829 |
7.57% ↑
|
2012年 | 1,700 |
-2.38% ↓
|
2011年 | 1,741 |
1.59% ↑
|
2010年 | 1,714 |
1.64% ↑
|
2009年 | 1,687 |
1.68% ↑
|
2008年 | 1,659 |
1.69% ↑
|
2007年 | 1,631 |
-18.45% ↓
|
2006年 | 2,000 |
43.61% ↑
|
2005年 | 1,393 |
28.35% ↑
|
2004年 | 1,085 |
3.02% ↑
|
2003年 | 1,053 |
-12.23% ↓
|
2002年 | 1,200 |
2.14% ↑
|
2001年 | 1,175 |
6.8% ↑
|
2000年 | 1,100 |
-8.33% ↓
|
1999年 | 1,200 |
15.36% ↑
|
1998年 | 1,040 |
-5.43% ↓
|
1997年 | 1,100 |
11.09% ↑
|
1996年 | 990 |
-0.98% ↓
|
1995年 | 1,000 |
14.94% ↑
|
1994年 | 870 |
65.09% ↑
|
1993年 | 527 |
104.26% ↑
|
1992年 | 258 |
-63.66% ↓
|
1991年 | 710 |
81.12% ↑
|
1990年 | 392 |
-62.88% ↓
|
1989年 | 1,056 | - |
フィジーのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量推移は、約30年以上にわたりデータに基づいて観察されており、農業の発展や災害の影響、国際的な需要動向による影響が確認できます。このデータは、フィジーの農業生産が時間とともにどのような変化を遂げたかを示す重要な指標です。
1989年から1993年にかけてのデータでは、1,000トン前後であった生産量が短期間で減少し、258トンに落ち込む年も見られました。これは、農業技術の発展が遅れていたことや、災害など地理的・気象的条件が影響した可能性があります。その後、1994年から1999年にかけては生産量が回復し、1,200トンに達するまで増加しました。この時期の改善は、政府や地域コミュニティの農業支援政策の強化や、輸出の需要拡大が影響した可能性があります。
2000年代には、フィジーの農産物輸出が拡大したと言われています。2006年にはついに生産量が2,000トンに達しましたが、その後は安定期に入り、緩やかな増減が続きました。この背景には、市場需要の変化や労働力不足の問題、自然災害の影響が考えられます。特に小規模農家が中心となっているフィジーの農業構造においては、気候変動による台風や豪雨が一度生産量に大きな打撃を与えやすい点が課題です。
2010年代後半に入ると、1,900トン台で比較的安定した生産量が維持されています。これは、技術の進歩や農業従事者への支援が進み、持続可能な生産方法が徐々に実装されたことを示していると考えられます。しかし、長期的には生産の停滞や頭打ちの傾向が見られるため、さらなる成長のための工夫が必要です。
課題として、競争市場における需要不足や価格低下、さらに気候変動リスクの影響が挙げられます。過去には大型の台風がフィジー諸島に甚大な被害を与えた記録もあり、この地域の農業経済にとって自然災害は重大なリスク要因です。また、新型コロナウイルスの流行による労働力不足や物流の混乱も影響している可能性があります。
提言としては、第一に気候変動対策としての災害に強い農業システムの構築が求められます。具体的には、干ばつや大雨に対応できる耐性作物の導入や、農家が利用できる灌漑技術の改善が例として挙げられます。第二に、国際市場をターゲットにした輸出促進に向けて、品質向上と認証取得を支援すべきです。特にオーガニック認証を受けた作物は国際市場で高い需要があります。第三に、農家の収益向上を狙った教育や技術支援が重要です。例えば、スマート農業(IT技術やデータ解析を活用した効率的な農業)を導入することで、生産性を高めつつコスト削減が期待できます。
フィジーの地政学的な位置は太平洋の中心にあることで輸送ルートの活用が可能であり、成長には地域間協力も有効です。近隣諸国であるオーストラリアやニュージーランドなどとの農業貿易協定を活性化し、安定的な市場供給先を確保することが未来の課題解決に寄与すると考えられます。
全体として、フィジーのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産の現状は安定していますが、自然災害や国際市場の影響を受けやすいため、さらなる進化と教育・技術支援が不可欠です。今後も同様の重点対策を続けることで、持続可能な農業の実現と経済的な成長が見込まれます。