世界のサトウキビ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2020年度のサトウキビ生産量ランキングによると、1位はブラジルで約7億5600万トンと圧倒的な生産量を記録しています。2位のインドが約3億7050万トン、続いて3位の中国が約1億800万トンと続きます。一方、日本は世界51位で約133万トンを生産しています。上位5カ国で全体の生産量の約70%を占める一方、生産量が少ない国々も数多く存在し、地域によって大きな生産格差が見られます。このデータは、サトウキビの主要生産国に関する現状と課題を理解し、食糧とエネルギー資源としてのサトウキビの役割を考える上で重要な指標となります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	ブラジル	南アメリカ	756,070,576
2	インド	アジア	370,500,300
3	中国	アジア	108,121,000
4	パキスタン	アジア	81,009,261
5	タイ	アジア	74,968,070
6	メキシコ	南アメリカ	53,841,557
7	コロンビア	南アメリカ	36,364,744
8	アメリカ合衆国	北アメリカ	32,749,370
9	オーストラリア	オセアニア	30,283,457
10	インドネシア	アジア	29,300,000
11	グアテマラ	南アメリカ	27,669,110
12	フィリピン	アジア	24,398,941
13	南アフリカ	アフリカ	18,220,000
14	アルゼンチン	南アメリカ	17,500,000
15	エジプト	アフリカ	15,860,450
16	キューバ	南アメリカ	13,871,764
17	ミャンマー	アジア	11,551,111
18	ベトナム	アジア	11,534,589
19	エクアドル	南アメリカ	11,016,167
20	ペルー	南アメリカ	10,465,212
21	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	10,094,423
22	イラン（イスラム共和国）	アジア	7,840,012
23	エルサルバドル	南アメリカ	7,508,773
24	パラグアイ	南アメリカ	7,430,975
25	ニカラグア	南アメリカ	6,992,541
26	ケニア	アフリカ	6,810,898
27	エスワティニ	アフリカ	5,833,080
28	ウガンダ	アフリカ	5,360,000
29	ドミニカ共和国	南アメリカ	5,317,273
30	スーダン	アフリカ	5,135,336
31	ホンジュラス	南アメリカ	5,030,354
32	ザンビア	アフリカ	4,786,656
33	コスタリカ	南アメリカ	4,194,597
34	バングラデシュ	アジア	3,682,951
35	タンザニア連合共和国	アフリカ	3,613,551
36	ジンバブエ	アフリカ	3,543,771
37	ネパール	アジア	3,400,176
38	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	3,335,090
39	マダガスカル	アフリカ	3,139,375
40	マラウイ	アフリカ	3,045,645
41	モザンビーク	アフリカ	2,737,556
42	コンゴ民主共和国	アフリカ	2,700,000
43	モーリシャス	アフリカ	2,620,874
44	パナマ	南アメリカ	2,521,268
45	コートジボワール	アフリカ	1,970,000
46	フィジー	オセアニア	1,726,000
47	ベリーズ	南アメリカ	1,536,864
48	ナイジェリア	アフリカ	1,524,038
49	ハイチ	南アメリカ	1,475,016
50	エチオピア	アフリカ	1,345,431
51	日本	アジア	1,336,000
52	ラオス人民民主共和国	アジア	1,330,232
53	セネガル	アフリカ	1,300,000
54	ガイアナ	南アメリカ	1,217,154
55	カメルーン	アフリカ	1,208,788
56	アンゴラ	アフリカ	865,000
57	スリランカ	アジア	855,045
58	モロッコ	アフリカ	792,492
59	コンゴ	アフリカ	688,163
60	カンボジア	アジア	661,618
61	マリ	アフリカ	660,000
62	中国、台湾 中国省	アジア	530,796
63	ジャマイカ	南アメリカ	522,503
64	ブルキナファソ	アフリカ	498,696
65	ニジェール	アフリカ	436,995
66	チャド	アフリカ	427,600
67	ウルグアイ	南アメリカ	417,000
68	パプアニューギニア	オセアニア	351,317
69	ギニア	アフリカ	317,123
70	ガボン	アフリカ	290,005
71	リベリア	アフリカ	275,787
72	ソマリア	アフリカ	213,000
73	ブルンジ	アフリカ	190,000
74	ガーナ	アフリカ	154,339
75	中央アフリカ共和国	アフリカ	128,407
76	ルワンダ	アフリカ	98,283
77	バルバドス	南アメリカ	91,389
78	シエラレオネ	アフリカ	80,989
79	ベナン	アフリカ	75,500
80	スリナム	南アメリカ	75,000
81	バハマ	南アメリカ	61,559
82	アフガニスタン	アジア	40,292
83	マレーシア	アジア	23,519
84	カーボベルデ	アフリカ	22,940
85	ギニアビサウ	アフリカ	6,885
86	ドミニカ	南アメリカ	4,865
87	フランス領ポリネシア	オセアニア	3,523
88	グレナダ	南アメリカ	3,282
89	オマーン	アジア	1,500
90	ブータン	アジア	363
91	ブルネイ ダルサラーム	アジア	102
92	ジブチ	アフリカ	54
93	サモア	オセアニア	12
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2020年度のFAOデータによれば、サトウキビの世界生産量は特定の地域や国に集中しています。ブラジルが7億5600万トン以上を生産し、全体の約40%を占めています。この背景には、広大な耕地面積、温暖な気候、高度な農業技術、さらにはエタノール燃料の需要拡大があり、同国の農業政策もこれを支えています。インドは約3億7000万トンで2位に位置し、約20%のシェアを持っています。インドもまた広大な農地を活用していますが、一部地域での水不足や効率的な農法の導入の遅れが生産に課題を与えています。3位の中国は約1億トンで、急速な工業発展の中でも農業生産が一定の水準を維持している点は注目すべきです。

アジア地域ではインド、タイ、フィリピンなどが上位に入っていますが、これらの国々では主に食糧および輸出収益のためにサトウキビが栽培されています。一方、アフリカ諸国や中南米の一部では、天候の不安定さ、灌漑設備の不足、インフラ未整備といった課題が依然として根強いです。サトウキビ生産は高い収益を見込める一方で、水資源の大量消費が問題となることもあります。この点で、持続可能な灌漑技術や省資源型の栽培技術の導入が急務と言えるでしょう。

また、日本では約133万トンを生産し、主に沖縄県や鹿児島県で栽培されています。国内生産の大部分は精糖および黒糖製品に利用されており、地域の特色産業となっています。しかし、国内生産量は世界規模に比べて小規模であり、高齢化や労働力不足、ならびに外国産糖との価格競争が課題となっています。日本としては、地元ブランド化や付加価値の高い製品開発に注力し、生産効率を高める方針が必要です。

地政学的な観点では、一部地域のサトウキビ生産が紛争や自然災害といった不安定要因の影響を受けています。特に中南米の国々では、気候変動が生産に与える影響が顕著となりつつあります。洪水や干ばつに対する適応策や、国際的な協力による効率的な水管理システムの共有が求められます。また、一部アフリカ諸国では、政治的不安定さが収穫量の大幅な低下を引き起こしており、農業基盤強化のための支援が重要です。

将来的には、サトウキビはバイオエタノールの原料としての需要がさらに高まることが予測されています。エネルギー資源の多様化を目指す世界の動きとともに、サトウキビの生産力を高めるための技術革新が一層求められます。これには、遺伝子編集技術を活用した高収量品種の開発や、AIを活用した耕地管理の導入が含まれます。国際的な取り組みとしては、生産量の少ない国々への技術移転や、気候変動対策を視野に入れた農業支援プロジェクトの拡大が効果的でしょう。

結論として、2020年度のデータはサトウキビ生産の世界的な偏在性を示し、各地域ごとの特色と課題を浮き彫りにしています。この問題を解消し、より持続可能な生産体制を構築するためには、一国だけでなく国際協力による包括的な支援体制の構築と、持続可能な農法の普及がますます求められるでしょう。