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ラオス人民民主共和国のサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新されたデータによると、ラオス人民民主共和国では、サトウキビの生産量が大きな変動を経て推移してきました。特に1960年代からの数十年間では、生産量が年間4,500トンという小規模な規模から、2000年以降に劇的な拡大を見せ、2015年には初めて約200万トンを超える水準に達しています。ただし、2019年以降は明らかな減少傾向が観察されており、2023年では回復の兆しが見えるものの、全盛期と比べると依然として低い値にとどまっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,660,726
10.55% ↑
2022年 1,502,200
31.63% ↑
2021年 1,141,200
-14.21% ↓
2020年 1,330,232
-10.75% ↓
2019年 1,490,470
-18.75% ↓
2018年 1,834,525
3.98% ↑
2017年 1,764,390
-12.61% ↓
2016年 2,019,000
0.02% ↑
2015年 2,018,655
9.68% ↑
2014年 1,840,465
112.74% ↑
2013年 865,130
-18.05% ↓
2012年 1,055,675
-13.61% ↓
2011年 1,222,000
49.27% ↑
2010年 818,675
88.85% ↑
2009年 433,500
4.02% ↑
2008年 416,730
28.67% ↑
2007年 323,875
48.27% ↑
2006年 218,430
11.39% ↑
2005年 196,100
-12.18% ↓
2004年 223,300
-27.6% ↓
2003年 308,417
38.9% ↑
2002年 222,036
6.31% ↑
2001年 208,850
-29.67% ↓
2000年 296,960
71.06% ↑
1999年 173,600
2% ↑
1998年 170,200
79.16% ↑
1997年 95,000
9.12% ↑
1996年 87,060
39.68% ↑
1995年 62,327
-4.32% ↓
1994年 65,141
-27.26% ↓
1993年 89,555
-5.15% ↓
1992年 94,416
17.3% ↑
1991年 80,491
-16.47% ↓
1990年 96,360
-23.55% ↓
1989年 126,047
17.7% ↑
1988年 107,091
-5.11% ↓
1987年 112,853
53.9% ↑
1986年 73,328
0.45% ↑
1985年 73,000
33.88% ↑
1984年 54,525
79.67% ↑
1983年 30,348
18.32% ↑
1982年 25,650
6.43% ↑
1981年 24,100
0.07% ↑
1980年 24,083
-7.76% ↓
1979年 26,108
33.28% ↑
1978年 19,589
9.8% ↑
1977年 17,840
5.16% ↑
1976年 16,965
142.36% ↑
1975年 7,000
-12.5% ↓
1974年 8,000 -
1973年 8,000
2.56% ↑
1972年 7,800
4% ↑
1971年 7,500
7.14% ↑
1970年 7,000
-12.5% ↓
1969年 8,000
6.67% ↑
1968年 7,500
-6.25% ↓
1967年 8,000
-3.61% ↓
1966年 8,300
-2.35% ↓
1965年 8,500
-5.56% ↓
1964年 9,000
100% ↑
1963年 4,500 -
1962年 4,500 -
1961年 4,500 -

ラオス人民民主共和国におけるサトウキビ生産量の動向は、過去数十年間で大きく変貌を遂げました。1960年代では4,500トン程度の小規模な生産量の域を出ず、1970年代から1980年代前半にかけて徐々に増加しましたが、2万~8万トン台という中規模な生産水準が続いていました。しかし、1980年代後半になると、ラオス経済の開放とともに農業生産が重要視され、生産量は飛躍的に増加しました。例えば、1987年には初めて10万トンを超え、1998年には17万トン、2000年には約30万トンに達しています。

さらに、2000年代には商業的な農業生産の加速や外国直接投資の影響が明らかとなり、生産は急激に拡大しました。2011年には初めて年間生産量が100万トンを突破、2015年には約200万トンという過去最高を記録しました。この期間、ラオスのサトウキビ生産は主に中国やタイなどの周辺諸国への輸出を背景に成長しました。これは、東南アジア全体で砂糖やエタノール需要の高まりによるものと考えられます。ほかにも、気候や土壌の適合性が生産拡大に寄与しました。

しかし、2019年以降に生産量の減少が目立つようになります。この要因として考えられるのは、まず気候変動による異常気象の影響です。ラオスはモンスーン気候に属し、降雨量の変動が農作物に大きく影響します。一方で、土地の肥沃度の低下や農業用水の供給の制約も問題として浮かび上がっています。さらに、経済的視点からは、国際市場の価格変動や輸出国での規制変更などが農家や事業者に不安定な環境をもたらしたと考えられます。例えば、タイやベトナムなどの大規模な砂糖輸出国と比較してラオスの生産コストは高く、競争力の維持が課題となっています。

2023年のデータを見ると、生産量は1,660,726トンと回復傾向が示されていますが、供給チェーンの改善や農業インフラの整備が依然として求められています。また、サトウキビは労働集約型の作物の一つであり、労働力不足が持続的な課題となっています。

この状況を受けて、いくつかの対策が提案できます。まず、農家に対して技術支援を強化し、育苗や新たな品種の導入に資源を投下することが重要です。また、気候変動の影響を受けにくい農業技術や灌漑設備の普及も鍵となります。さらに、輸出先の多様化を図り、タイや中国市場への依存を軽減することで、国際市場での競争力向上を目指すべきです。これに加えて、地域間での協力体制や国際機関の支援を受けることで、持続可能な生産システムを構築することも有効です。

ラオスにおけるサトウキビ生産は、国全体の経済振興と農村開発において依然として重要な位置を占めています。しかし、その成長を持続可能にするためには、農業生産の効率化や市場競争力の向上、そして環境への配慮が必要です。今後、ラオス政府や国際機関が共同でこれらの課題に取り組むことで、新たな可能性が開かれると考えられます。