国際連合食糧農業機関(FAO)が最新データを発表した2024年7月現在、ギニアビサウのサトウキビ生産量は1961年の3,500トンから着実に増加しており、2022年には7,009トンという記録を達成しました。一方、2023年には前年の水準をわずかに下回り6,946トンへ減少しています。このデータは、長期的に見れば成長を維持しているものの、近年の生産の伸び率が鈍化している可能性を示唆しています。
ギニアビサウのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 6,946 |
-0.89% ↓
|
2022年 | 7,009 |
0.89% ↑
|
2021年 | 6,947 |
0.89% ↑
|
2020年 | 6,885 |
0.98% ↑
|
2019年 | 6,818 |
0.41% ↑
|
2018年 | 6,790 |
0.52% ↑
|
2017年 | 6,756 |
1.17% ↑
|
2016年 | 6,678 |
0.96% ↑
|
2015年 | 6,614 |
2.64% ↑
|
2014年 | 6,444 |
1.48% ↑
|
2013年 | 6,350 | - |
2012年 | 6,350 |
0.79% ↑
|
2011年 | 6,300 | - |
2010年 | 6,300 |
5% ↑
|
2009年 | 6,000 | - |
2008年 | 6,000 |
9.09% ↑
|
2007年 | 5,500 | - |
2006年 | 5,500 | - |
2005年 | 5,500 | - |
2004年 | 5,500 | - |
2003年 | 5,500 | - |
2002年 | 5,500 | - |
2001年 | 5,500 | - |
2000年 | 5,500 | - |
1999年 | 5,500 | - |
1998年 | 5,500 | - |
1997年 | 5,500 | - |
1996年 | 5,500 | - |
1995年 | 5,500 | - |
1994年 | 5,500 | - |
1993年 | 5,500 | - |
1992年 | 5,500 | - |
1991年 | 5,500 | - |
1990年 | 5,500 | - |
1989年 | 5,500 | - |
1988年 | 5,500 | - |
1987年 | 5,500 |
1.85% ↑
|
1986年 | 5,400 |
1.89% ↑
|
1985年 | 5,300 | - |
1984年 | 5,300 | - |
1983年 | 5,300 | - |
1982年 | 5,300 | - |
1981年 | 5,300 | - |
1980年 | 5,300 | - |
1979年 | 5,300 | - |
1978年 | 5,300 |
1.92% ↑
|
1977年 | 5,200 |
4% ↑
|
1976年 | 5,000 | - |
1975年 | 5,000 |
8.7% ↑
|
1974年 | 4,600 |
-31.34% ↓
|
1973年 | 6,700 |
59.52% ↑
|
1972年 | 4,200 |
-6.67% ↓
|
1971年 | 4,500 | - |
1970年 | 4,500 | - |
1969年 | 4,500 |
-5.26% ↓
|
1968年 | 4,750 | - |
1967年 | 4,750 |
5.56% ↑
|
1966年 | 4,500 | - |
1965年 | 4,500 |
5.88% ↑
|
1964年 | 4,250 |
6.25% ↑
|
1963年 | 4,000 |
6.67% ↑
|
1962年 | 3,750 |
7.14% ↑
|
1961年 | 3,500 | - |
ギニアビサウのサトウキビ生産量の推移をみると、1960年代から1980年代にかけて緩やかに増加した後、1990年代から2000年代初頭にかけては横ばい状態が続き、6,000トン以下の生産が固定化されていました。しかし、2008年を境に改善が見られ、2015年以降は毎年生産量が増加し、2022年には7,009トンという過去最高を記録しました。一方、2023年には6,946トンと減少に転じており、これに注目が必要です。
この長期的な増加の背景には、国内外の農業支援政策や技術的な進歩が影響していると考えられます。特に輸出主導型経済を目指して農業インフラが一部整備されたことや、新しい品種や灌漑技術の導入が果たした役割が大きいといえます。ただし、このような成長にもかかわらず、2023年に見られた減少は、いくつかの課題に光を当てています。例えば、気候変動による降水量の変動、生産における人手不足、地域的な治安の不安定さが直接的な要因となる可能性があります。
また、ギニアビサウのサトウキビ生産量を他国と比較すると、インドやブラジル、中国などの主要サトウキビ生産国が百万トン単位での生産を誇る中、ギニアビサウの規模は非常に小さいものです。この小規模な生産体制では、特に世界市場への輸出や国際競争力を確保することが難しく、国内消費向けに限定された状況に留まっていると考えられます。さらに、近年の世界的なパンデミックや食糧価格の高騰も、輸送コストなどを通じて間接的に影響を与えた可能性があります。
これに対抗するためには、農業分野における技術革新を促進することが必要です。たとえば、気候変動に強い品種の開発や、大規模な灌漑技術の利用効率の向上が挙げられます。さらに、農家への教育やファイナンス支援を実施し、より多くの人々が農業生産に参加できる環境を整備することも重要です。地域の経済協力を進めることも、課題の解決に寄与するでしょう。この具体例として、近隣国と共同で農業インフラを開発し、生産から輸出までのサプライチェーンを改善することが考えられます。
地政学的に見ても、西アフリカ地域の経済的不安定さや政治的リスクが影響を及ぼしており、ギニアビサウの農業成長の足かせとなっています。このような背景により、資源争奪や地域間の衝突が引き起こされる可能性が排除できず、これが農業生産の中断や減少を招くリスクとなります。より安定した政治基盤を築き、国際的な支援を受けることが、これらの課題に取り組む鍵となるでしょう。
結論として、ギニアビサウのサトウキビ生産量はこれまでの努力と政策により持続的に改善されてきましたが、近年見られる停滞や減少は、気候変動や地域的課題など多面的な問題の結果といえます。未来に向けては、持続可能な農業政策や地域間協力の強化が求められます。国際機関やNGOとの連携を深めながら、効率的で環境に配慮した生産体制を構築することが、ギニアビサウ農業の次なる発展への道筋となるでしょう。