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チャドのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、チャドにおけるサトウキビ生産量は1960年代には10,000トンから22,000トン程度で推移していましたが、1970年代中盤以降、劇的に増加しました。2023年の生産量は453,951トンとなり、ピークだった2022年の481,392トンに比べるとやや減少している状況です。この背景には、地政学的要因や気候、農業技術導入の影響があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 453,951
-5.7% ↓
2022年 481,392
0.69% ↑
2021年 478,100
11.81% ↑
2020年 427,600
29.58% ↑
2019年 330,000
-19.1% ↓
2018年 407,903
-5.81% ↓
2017年 433,055
-5.95% ↓
2016年 460,437
1.29% ↑
2015年 454,586
1.95% ↑
2014年 445,875
1.79% ↑
2013年 438,025
1.33% ↑
2012年 432,280
1.8% ↑
2011年 424,618
-3.86% ↓
2010年 441,681
-0.75% ↓
2009年 445,000
9.88% ↑
2008年 405,000
3.85% ↑
2007年 390,000
0.26% ↑
2006年 389,000 -
2005年 389,000
16.47% ↑
2004年 334,000
-8.74% ↓
2003年 366,000
3.1% ↑
2002年 355,000
1.43% ↑
2001年 350,000
6.06% ↑
2000年 330,000
19.15% ↑
1999年 276,966
-6.21% ↓
1998年 295,289
0.6% ↑
1997年 293,524
-17.03% ↓
1996年 353,787
7.25% ↑
1995年 329,873
1.41% ↑
1994年 325,302
-6.24% ↓
1993年 346,935
18.12% ↑
1992年 293,713
3.93% ↑
1991年 282,601
-6.16% ↓
1990年 301,142
2.45% ↑
1989年 293,940
13.09% ↑
1988年 259,922
8.53% ↑
1987年 239,500
0.2% ↑
1986年 239,023
0.01% ↑
1985年 239,004
15.06% ↑
1984年 207,717
-8.63% ↓
1983年 227,328
14.2% ↑
1982年 199,058
2.35% ↑
1981年 194,497
-9.54% ↓
1980年 215,000 -
1979年 215,000
30.3% ↑
1978年 165,000
-2.94% ↓
1977年 170,000
17.24% ↑
1976年 145,000
590.48% ↑
1975年 21,000
5% ↑
1974年 20,000 -
1973年 20,000
11.11% ↑
1972年 18,000
-14.29% ↓
1971年 21,000
-6.67% ↓
1970年 22,500
-4.66% ↓
1969年 23,600
7.27% ↑
1968年 22,000
4.76% ↑
1967年 21,000
10.53% ↑
1966年 19,000
11.76% ↑
1965年 17,000
13.33% ↑
1964年 15,000
15.38% ↑
1963年 13,000
30% ↑
1962年 10,000 -
1961年 10,000 -

チャドのサトウキビ生産量は1960年代には毎年10,000トンから22,000トン程度と非常に控えめな水準にありました。当時のチャドでは農業全般において、インフラ整備不足と技術力の低さが生産量に大きく影響を与えていました。しかし1975年ごろから生産量が急激に拡大し、1976年には145,000トンと急成長を遂げました。この成長には、農地拡大や灌漑技術の導入が寄与したと考えられます。また、1970年代後半には200,000トンを超える年もあり、農業政策の改革も一部で効果を発揮していたと言えるでしょう。

1980年代から1990年代にかけて、さらにその規模を拡大し、1989年には293,940トン、1993年に346,935トンを記録しました。この時期には国際市場への輸出を目指した生産拡大政策が推進されていたと見られます。一方で、1990年代後半には一部の年に停滞や若干の減少が見られます。1999年には276,966トンに落ち込みましたが、これは主に不安定な降雨量や国内の紛争による農業基盤の脆弱化が原因とされています。

2000年代以降は、再び生産量が増加傾向にあり、2008年には405,000トン、2009年には445,000トンに達しました。この背景には、新技術の採用や国際的な農業支援プロジェクトの影響があると推測されます。ただし、2017年から2020年にかけて一時的に減少し、2019年には330,000トンと再び低調な水準に戻りました。この期間には気候変動による深刻な干ばつが報告されており、それが収穫量に大きな打撃を与えた可能性があります。

2021年には478,100トンと大幅な回復を見せ、その後2022年にこれまでの最高値である481,392トンを記録しました。この伸びは、気候の改善や農業政策強化、高収量品種の導入が寄与したと考えられます。しかし最新の2023年のデータでは453,951トンとやや減少しており、これには天候の変動や地政学的な背景が絡んでいる可能性があります。

今後の課題としては、チャド特有の気候リスクへの対応が挙げられます。近年、気候変動の影響で異常気象が頻発しており、その影響を受けた農作物の生産安定化が喫緊の課題となっています。また、農業技術のさらなる向上と持続可能な農業政策の推進が求められます。他国と比較すると、たとえばブラジルのようなサトウキビ主要生産国では、生産効率向上のために先進的な農業技術や機械化が幅広く採用されています。これに対してチャドでは、農業現場での技術伝播が限定されており、これが生産効率の低さにつながっています。

さらに、地政学的背景も軽視できません。チャド国内の政情不安定さや資源を巡る周辺国との競争は、農業経済の発展に直接的かつ長期的な影響を与えています。このようなリスクを軽減するための取り組みとして、国際機関による人道支援や地域協力の促進が重要です。

結論として、チャドのサトウキビ生産量は確実な成長を見せつつも、気候リスクや技術的課題を抱えた状況です。これらを克服するには、技術と政策を併用して持続可能性を強化する必要があります。具体的には、高収量で耐干ばつ性のある品種の開発、灌漑設備の整備、地域住民への農業支援教育の拡充が効果的と考えられます。