中国、台湾 中国省のサトウキビ生産量推移（1961年～2023年）

Food and Agriculture Organization (国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点の最新データによると、中国、台湾 中国省のサトウキビの生産量は、1960年代の約800～900万トンをピークに、長期的な減少傾向をたどっています。2023年の生産量は約42万トンと、最も高かった1977年の約1130万トンに比べ大幅に減少しています。この下降傾向は特に2000年代に入り顕著に現れており、近年では50万トン以下に低迷する年も少なくありません。

中国、台湾 中国省のサトウキビの生産量は、過去約60年間にわたり著しい変動を見せてきました。1960年代から1970年代にかけては、年間800万トンを超える生産量を維持しており、特に1977年の約1130万トンは記録的な数字でした。この時期の高生産量は、農業技術の向上や国内市場での糖分需要の高まりによるものと考えられます。しかしながら、その後、生産量は減少の一途をたどり、2000年代初頭には100万トンを大きく下回る状況となりました。

2000年代以降の生産量の低下は、以下のような複合的な理由が挙げられます。まず、農業労働力の減少や高齢化が進行し、サトウキビ栽培が十分に維持されていないことが影響しています。サトウキビは労働集約型の作物であるため、人手不足や高齢化は生産に直接的な打撃を与えます。また、都市化が進むことで農地が縮小し、特に希少な耕作地をサトウキビ以外の作物に割り当てる優先性が高まったことも理由の一つです。加えて、国際的な砂糖市場の価格競争が激化し、収益性の低下からサトウキビ栽培離れが進んだ可能性も指摘されています。

さらに近年においては、気候変動の影響がサトウキビ生産に大きな課題をもたらしています。サトウキビは比較的高温多湿な気候を好む作物ですが、天候不順や干ばつといった極端な気象条件の増加が成長に悪影響を及ぼしています。同様に、新型コロナウイルス感染症の流行によるサプライチェーンの混乱も、農業資材の流通遅延や市場の縮小という形で間接的な影響を与えました。また、国際的な土地利用や農業政策の転換も台湾に影響を及ぼしていると考えられます。具体的には、輸出用農産物の生産よりも、食糧自給率を向上させる政策が優先されることが背景にあるかもしれません。

今後の課題としては、まずサトウキビ農業の労働力問題を解決する必要があります。これは、若年層への農業教育プログラムの導入や農業技術の自動化・省力化による効率化で対応が可能です。また、都市化が進行する地域でも、農地を維持するための土地利用政策の細分化や税制上のインセンティブが求められます。同時に、気候変動への対策として灌漑システムの充実や気候に適応した品種改良を促進することも重要です。さらに、国内市場や近隣国との輸出のための新たな流通経路を確保することで、経済的な持続可能性を高めるべきです。

この地域におけるサトウキビ農業は、かつては経済にとって重要な基盤の一つでしたが、現在では大きな転換点にあります。国や地域間での協力的な枠組み（たとえば、農業技術の共有や共同市場の構築）の構築によって、回復の可能性を図ることが期待されています。また、世界全体としても糖分消費や代替甘味料への関心が高まる中、持続可能な作物経済の再設計が必要不可欠となっています。これらの政策が実施されれば、今後の持続可能なサトウキビ農業の発展が見込まれるでしょう。