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ウルグアイのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ウルグアイにおけるサトウキビ生産量は2023年に約54万2千トンと記録されました。この数値は、2018年から2023年にかけて増加傾向を示しており、ここ数年の持続的な回復が明らかです。一方で、生産量は長期的には大きな変動があり、特に1980年代後半のピークと1990年代の急激な減少の後、安定性を欠いていることが見受けられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 542,000
5.24% ↑
2022年 515,000
11.47% ↑
2021年 462,000
10.79% ↑
2020年 417,000
0.02% ↑
2019年 416,900
16.94% ↑
2018年 356,500
2.53% ↑
2017年 347,700
-5.44% ↓
2016年 367,700
-17% ↓
2015年 443,000
-8.09% ↓
2014年 482,000
30.98% ↑
2013年 368,000 -
2012年 368,000
-12.38% ↓
2011年 420,000
34.06% ↑
2010年 313,300
5.67% ↑
2009年 296,500
-11.25% ↓
2008年 334,100
13.95% ↑
2007年 293,200
102.88% ↑
2006年 144,519
-16.07% ↓
2005年 172,200
11.67% ↑
2004年 154,200
32.7% ↑
2003年 116,200
-38.09% ↓
2002年 187,700
6.35% ↑
2001年 176,500
18.06% ↑
2000年 149,500
8.49% ↑
1999年 137,800
-17.6% ↓
1998年 167,228
-19.69% ↓
1997年 208,240
9.48% ↑
1996年 190,200
-5.75% ↓
1995年 201,800
-6.66% ↓
1994年 216,200
-22.76% ↓
1993年 279,900
-45.87% ↓
1992年 517,100
11.18% ↑
1991年 465,100
-31.88% ↓
1990年 682,800
14.02% ↑
1989年 598,834
21.05% ↑
1988年 494,714
-17.51% ↓
1987年 599,729
-5.87% ↓
1986年 637,115
8.7% ↑
1985年 586,149
6.23% ↑
1984年 551,755
0.13% ↑
1983年 551,045
14.87% ↑
1982年 479,730
14.16% ↑
1981年 420,222
-6.2% ↓
1980年 447,981
38.85% ↑
1979年 322,640
-32.13% ↓
1978年 475,399
-23.55% ↓
1977年 621,879
90.63% ↑
1976年 326,224
-13.16% ↓
1975年 375,651
56.57% ↑
1974年 239,931
-26.66% ↓
1973年 327,132
43.81% ↑
1972年 227,480
-1.16% ↓
1971年 230,148
43.25% ↑
1970年 160,662
27.28% ↑
1969年 126,225
19.59% ↑
1968年 105,550
-22.67% ↓
1967年 136,485
-25.87% ↓
1966年 184,123
-10.07% ↓
1965年 204,731
2.45% ↑
1964年 199,830
12.81% ↑
1963年 177,137
16.74% ↑
1962年 151,733
44.37% ↑
1961年 105,102 -

1961年に約10.5万トンから始まったウルグアイのサトウキビ生産は、1970年代後半から1980年代半ばにかけて急激な成長を見せ、1990年には68万トン以上の過去最高の生産量を達成しました。しかし、その後1990年代に急激な減少が見られ、2000年代前半まで不安定な推移が続きました。具体的には、1993年には約27.9万トン、1999年には約13.8万トンへと減少し、生産基盤や経済的な構造問題が影響していると考えられます。

この長期的な変動には、多様な要因が影響したと推測されます。ウルグアイは農畜産業が主要産業の国であり、サトウキビ以外の作物や畜産と生産資源の競合が頻繁に発生します。また、国内のインフラや政策の変化、気候変動による降水量や気温の変動が、作物の生産性に直接的な影響を与える可能性も否定できません。さらに、世界市場の砂糖価格の影響も見逃せない要素です。国際的な砂糖価格が低下すれば、生産の利益率が低下し、労働力や投資のリソース配分が農業内で再編されることが予想されます。

近年では、2010年代から徐々に回復に転じています。2023年には約54.2万トンと、過去5年間で増加傾向にあることが確認されています。この増加の要因には、農業技術の向上や気候管理が含まれるでしょう。また、地元政府や国際的な農業団体による支援プログラムも、生産の復活に貢献していると考えられます。

ウルグアイのサトウキビ生産量を見るにあたり、いくつかの課題が浮かび上がります。まず、長期的な気候変動と市場依存の影響を克服するためには、安定的な灌漑システムや気候耐性種の開発が重要です。加えて、市場価格の変動に対して収益を安定化させるため、加工産業やバイオエネルギー事業のようなサトウキビ関連の付加価値分野の拡大にも注力する必要があるでしょう。これにより、農業以外の収益機会が創出でき、生産基盤の持続性が高まると考えられます。

また、近年の生産回復の背景には、エネルギー産業との統合があると考えられます。ブラジルのようにサトウキビをバイオ燃料に活用している国々はその成功事例といえます。ウルグアイでもこれをモデルとして、地域内の協力枠組みを強化し、南米全体でエネルギーと農業分野を統合する体制を築くことが推奨されます。

最後に、国内外の地政学的不安定性がサトウキビ輸出に影響する可能性もあるため、ウルグアイ政府と農業セクターは地域紛争や国際貿易関係についても敏感である必要があります。特に、近年の世界的なパンデミックや輸送障害などが示したように、供給網の適応力を向上させることが生産の回復をさらに後押しするでしょう。

このように、ウルグアイのサトウキビ生産は近年の回復基調を維持しつつ、持続可能性や付加価値拡大への取り組みを強化することが求められます。そのためには、気候変動への対応策や市場多様化、国際的な協力体制のさらなる推進が不可欠となるでしょう。