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フィリピンのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、フィリピンのサトウキビ生産量は1961年の17,460,000トンから毎年変動を見せつつ、2023年には21,650,938トンとなりました。生産量のピークは1976年の38,714,000トンで、その後は減少と回復を繰り返しています。直近では2021年の26,277,402トンに比べて2023年は減少しています。長期的な推移を見れば、生産量には地政学的要因、気候変動、農業技術の進展などの影響が反映されていると推測されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 21,650,938
-7.69% ↓
2022年 23,455,404
-10.74% ↓
2021年 26,277,402
7.7% ↑
2020年 24,398,941
17.76% ↑
2019年 20,719,291
-16.22% ↓
2018年 24,730,820
-15.56% ↓
2017年 29,286,893
30.92% ↑
2016年 22,370,546
-2.42% ↓
2015年 22,926,437
-8.4% ↓
2014年 25,029,880
1.81% ↑
2013年 24,584,842
-6.86% ↓
2012年 26,395,915
-6.98% ↓
2011年 28,376,518
58.27% ↑
2010年 17,929,269
-21.82% ↓
2009年 22,932,819
-13.79% ↓
2008年 26,601,384
19.64% ↑
2007年 22,235,297
-8.67% ↓
2006年 24,345,106
6.23% ↑
2005年 22,917,674
-10.41% ↓
2004年 25,579,214
6.68% ↑
2003年 23,978,373
11.96% ↑
2002年 21,417,288
-1.34% ↓
2001年 21,708,722
2.29% ↑
2000年 21,223,438
-10.74% ↓
1999年 23,777,828
37.18% ↑
1998年 17,333,372
-22.18% ↓
1997年 22,273,095
-3.76% ↓
1996年 23,142,220
30.2% ↑
1995年 17,774,401
-28.02% ↓
1994年 24,695,188
7.77% ↑
1993年 22,915,065
9.09% ↑
1992年 21,005,573
-3.75% ↓
1991年 21,824,490
-14.35% ↓
1990年 25,482,000
0.87% ↑
1989年 25,263,000
30.9% ↑
1988年 19,300,000
12.14% ↑
1987年 17,211,000
-18.01% ↓
1986年 20,991,000
-8.1% ↓
1985年 22,842,000
-33.41% ↓
1984年 34,300,000
19.51% ↑
1983年 28,700,000
-19.83% ↓
1982年 35,800,000
13.29% ↑
1981年 31,600,000
2.27% ↑
1980年 30,900,000
-3.1% ↓
1979年 31,888,000
4.34% ↑
1978年 30,562,000
-12.23% ↓
1977年 34,820,000
-10.06% ↓
1976年 38,714,000
7.93% ↑
1975年 35,868,000
2.85% ↑
1974年 34,875,008
24.71% ↑
1973年 27,965,008
12.76% ↑
1972年 24,800,000
-10.27% ↓
1971年 27,640,000
5.74% ↑
1970年 26,140,000
18.93% ↑
1969年 21,980,000
0.55% ↑
1968年 21,860,000
2.73% ↑
1967年 21,280,000
10.75% ↑
1966年 19,215,008
-9.15% ↓
1965年 21,150,000
-3.79% ↓
1964年 21,984,000
6.67% ↑
1963年 20,610,000
6.46% ↑
1962年 19,360,000
10.88% ↑
1961年 17,460,000 -

フィリピンのサトウキビ生産量は、農業分野において重要な指標の一つです。1961年に17,460,000トンを記録して以降、生産量は一貫して増える傾向にあったものの、1976年の38,714,000トンを頂点に、その後減少と回復を繰り返していることが分かります。特に1987年には17,211,000トンと急激に落ち込みましたが、これは国内外の経済停滞や政治的不安定が主要因であると考えられます。

1990年代以降のデータをみると、生産量は比較的安定を取り戻したものの、過去のピーク値には及んでいません。この背景には、気候変動による農業環境の不安定化や、効率的な農業技術への移行の遅れが想定されます。また、フィリピン国内の土地利用効率やインフラ不足も影響し、生産の最適化が進みにくい状況があると考えられます。

さらに、近年のデータ、特に2021年から2023年の動きを見ると、生産量が再び下降傾向にあることが確認されます。これは、2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が物流チェーンの混乱や労働力不足を引き起こし、農業分野にも影響を及ぼしたことと関連している可能性があります。また、近年、極端な気候現象である台風や旱魃がフィリピンに大きな被害をもたらし、サトウキビの栽培に適した土壌が侵食されたり破壊されたりしている問題も存在します。

これを他国の状況と比較すると、フィリピンが依然として東南アジアの中ではインドネシアやタイに次ぐ主要なサトウキビ生産国である一方で、生産量と生産効率の点では依然として課題が残る状況です。例えば、インドは世界的に見てもサトウキビ生産において大きなシェアを占め、生産技術やインフラの進展がその背景に存在します。日本と比較すると、国内のサトウキビ生産規模ははるかに小さい一方、離島部を含む生産管理の効率化に成功しています。

中長期的な視点で見れば、フィリピンのサトウキビ産業はいくつかの挑戦に直面しています。例えば、農業従事者の高齢化は生産量の維持を難しくしています。これに加えて、気候変動によって今後より一層激しい台風頻発や海水面の上昇が予想され、サトウキビ生産地が脅威にさらされる可能性が高いです。また、地政学的緊張や貿易政策の変化も、国際的なサトウキビ市場に影響を与え、フィリピンの輸出戦略を困難にする可能性があります。

こうした課題に対応するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。たとえば、農業技術の革新を進めることが急務です。ドローンの利用による農地管理の効率化や、耐病性および耐気候性のある作物の研究開発を推進することで、気候変動の影響を最小限に抑えることができます。また、地域間協力の強化も重要です。他国の成功事例から学び、共有プラットフォームを用いて知識を広めることで、生産の底上げが期待できます。

さらに、雇用環境の改善と教育支援による若者の農業分野への参入促進も、長期的な解決策となります。政府は農業分野でのインセンティブを提供し、従事者を増やすための政策を採ることが必要です。このような包括的な取り組みによって、フィリピンのサトウキビ産業は将来的に持続可能かつ競争力のある成長を実現できる可能性があります。