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ジャマイカのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

ジャマイカのサトウキビ生産量は、1960年代初頭に400万トン以上を記録して以降、全体的に減少傾向を示しています。最も生産量が多かった1960年代半ばから70年代前半には約470万トンに達しましたが、その後、段階的に減少し続けています。2023年の最新データでは約41万トンとなり、この60年間で著しい減少が確認されています。この減少の背景には、気候変動、産業競争力の低下、経済政策の影響など、多岐にわたる要因が考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 414,769
-13.69% ↓
2022年 480,555
-3.71% ↓
2021年 499,096
-4.48% ↓
2020年 522,503
-29.79% ↓
2019年 744,165
-27.64% ↓
2018年 1,028,400
-9.09% ↓
2017年 1,131,200
0.36% ↑
2016年 1,127,100
-28.32% ↓
2015年 1,572,400
-11.63% ↓
2014年 1,779,300
26.86% ↑
2013年 1,402,600
-4.92% ↓
2012年 1,475,200
-2.84% ↓
2011年 1,518,300
9.22% ↑
2010年 1,390,100
4.16% ↑
2009年 1,334,600
-19.21% ↓
2008年 1,652,000
-16.06% ↓
2007年 1,968,000
12.76% ↑
2006年 1,745,300
27.52% ↑
2005年 1,368,700
-31.33% ↓
2004年 1,993,100
12.24% ↑
2003年 1,775,700
-9.66% ↓
2002年 1,965,500
-11.9% ↓
2001年 2,231,000
10.17% ↑
2000年 2,025,000
-12.45% ↓
1999年 2,313,000
2.35% ↑
1998年 2,260,000
-6.36% ↓
1997年 2,413,380
-8.02% ↓
1996年 2,623,915
10.62% ↑
1995年 2,372,000
-3.18% ↓
1994年 2,450,000
-7.93% ↓
1993年 2,661,000
5.39% ↑
1992年 2,525,000
-7.58% ↓
1991年 2,732,000
9.67% ↑
1990年 2,491,000
8.62% ↑
1989年 2,293,220
-11.9% ↓
1988年 2,603,120
29.26% ↑
1987年 2,013,810
-10.07% ↓
1986年 2,239,370
-2.48% ↓
1985年 2,296,270
-6.26% ↓
1984年 2,449,700
4.24% ↑
1983年 2,350,120
-7.81% ↓
1982年 2,549,270
2.28% ↑
1981年 2,492,370
-11.32% ↓
1980年 2,810,390
-5.95% ↓
1979年 2,988,200
-17.92% ↓
1978年 3,640,600
11.94% ↑
1977年 3,252,376
-10.36% ↓
1976年 3,628,315
1.36% ↑
1975年 3,579,544
-6.95% ↓
1974年 3,846,765
5.46% ↑
1973年 3,647,620
-11.75% ↓
1972年 4,133,279
0.67% ↑
1971年 4,105,846
-0.37% ↓
1970年 4,121,087
1.3% ↑
1969年 4,068,252
-9.98% ↓
1968年 4,519,377
-0.95% ↓
1967年 4,562,951
-8.07% ↓
1966年 4,963,390
3.94% ↑
1965年 4,775,421
1.18% ↑
1964年 4,719,538
2.54% ↑
1963年 4,602,693
10.33% ↑
1962年 4,171,889
-6% ↓
1961年 4,438,093 -

国際連合食糧農業機関(FAO)による最新データによれば、ジャマイカのサトウキビ生産量は、過去60年間にわたり一貫して低迷を続けています。1960年代には定期的に400万トン以上の生産量を維持していたにもかかわらず、2023年にはわずか約41万トンにまで墜落しました。この推移を理解するために、複数の要因について深く考察する必要があります。

まず、サトウキビはジャマイカ経済の歴史的な柱の一つとして輸出市場を支えてきました。しかし、1970年代以降、国内外の状況が変化し、生産量が急激に落ちこむようになりました。この減少の背景として、最も挙げられるのは気候変動の影響です。ジャマイカは熱帯性気候であるものの、洪水や干ばつ、熱帯低気圧などの極端な気象現象が頻発しており、それが農地や作物に大きな打撃を与えています。

さらに、国際市場における価格競争も深刻な影響を与えています。サトウキビの主産地であるブラジルやインドなどの規模の大きな生産国との競争が激化し、コスト構造の厳しいジャマイカの生産者にとって大きな負担となっています。また、国際貿易協定の変更により、ジャマイカはかつて享受していた優遇関税の恩恵を受けられなくなり、輸出における収益性も低下しています。

労働力の流出と産業基盤の老朽化も見逃せない要因です。農業従事者の高齢化や若年労働人口の減少により、農業分野での労働力確保が難しくなっています。それに加えて、農業機械や生産設備の老朽化が進行し、生産効率の低下を招いています。

生産量の低迷は、地域社会や農家の経済基盤に直結しています。貧困のさらなる悪化や地方の荒廃を防ぐためには、農業分野での大規模な改革が必要です。たとえば、気候変動に適応できる新しい農業技術の導入や、灌漑システムの強化による安定的な生産環境の確保が急務です。また、労働力確保のために農業分野の魅力を高める政策が求められます。具体的には、農業教育の拡充や補助金制度の充実によって、将来的な世代の農業参加を促進することが挙げられます。

地政学的には、ジャマイカは位置的にアメリカ市場へのアクセスの利点がありますが、これを活用するためには、輸出品の多様化と付加価値型製品への転換が重要です。原料としてのサトウキビ輸出に依存するのではなく、精製段階を国内で行うことや、バイオエタノールなどの次世代エネルギー需要を見据えた産業転換を進めるべきです。これにより、国内の雇用も創出され、地域活性化に繋がる可能性があります。

さらに、政府および国際機関が主導する形で、気候変動に対応するための資金援助や技術支援を強化することも有効です。たとえば、気象リスクの高い地域への防災インフラの整備支援や、サトウキビ以外の換金作物への転換を促進する政策も検討する価値があります。

結論として、このデータが指し示す現状は、ジャマイカが抱える農業の課題を明確に映し出しています。この長期的な減少傾向を反転させるためには、一国単位での対策にとどまらず、国際社会と連携した包括的な取り組みが欠かせません。今後の政策においては、持続可能な農業発展の実現が鍵となり、そのための投資が重要な課題であると言えるでしょう。