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モーリシャスのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

モーリシャスのサトウキビ生産量は、1960年代から1980年代にかけて安定していたものの、その後徐々に減少傾向に転じています。特に2000年代以降、減少が顕著になり、2020年代には最も低い生産水準が記録されています。1961年の4,942,981トンから2023年には2,452,653トンとなり、約半分以下まで減少しました。この推移は、気候変動、農業政策、労働力不足、土地利用の変化など、さまざまな要因によって影響を受けています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,452,653
8.68% ↑
2022年 2,256,806
-15.46% ↓
2021年 2,669,667
1.86% ↑
2020年 2,620,874
-23.03% ↓
2019年 3,405,250
7.95% ↑
2018年 3,154,515
-15.05% ↓
2017年 3,713,331
-2.24% ↓
2016年 3,798,448
-5.26% ↓
2015年 4,009,232
-0.87% ↓
2014年 4,044,422
5.99% ↑
2013年 3,815,782
-3.33% ↓
2012年 3,947,285
-6.69% ↓
2011年 4,230,173
-3.11% ↓
2010年 4,365,833
-6.46% ↓
2009年 4,667,235
2.96% ↑
2008年 4,533,000
7.02% ↑
2007年 4,235,849
-10.8% ↓
2006年 4,748,973
-4.72% ↓
2005年 4,984,058
-5.61% ↓
2004年 5,280,370
1.56% ↑
2003年 5,199,384
6.68% ↑
2002年 4,873,900
-15.86% ↓
2001年 5,792,300
13.36% ↑
2000年 5,109,500
31.6% ↑
1999年 3,882,597
-32.84% ↓
1998年 5,781,095
-0.1% ↓
1997年 5,787,070
10.02% ↑
1996年 5,260,138
1.96% ↑
1995年 5,159,244
7.18% ↑
1994年 4,813,454
-10.9% ↓
1993年 5,402,401
-6.54% ↓
1992年 5,780,722
2.84% ↑
1991年 5,621,110
1.31% ↑
1990年 5,548,291
2.06% ↑
1989年 5,436,122
-1.46% ↓
1988年 5,516,869
-11.46% ↓
1987年 6,230,700
3.41% ↑
1986年 6,024,962
7.91% ↑
1985年 5,583,367
11.47% ↑
1984年 5,008,774
-4.68% ↓
1983年 5,254,665
-20.16% ↓
1982年 6,581,862
24.13% ↑
1981年 5,302,564
16.17% ↑
1980年 4,564,400
-27.7% ↓
1979年 6,313,103
0.84% ↑
1978年 6,260,483
3.96% ↑
1977年 6,022,287
-5.94% ↓
1976年 6,402,277
48.34% ↑
1975年 4,316,027
-27.63% ↓
1974年 5,963,655
-4.47% ↓
1973年 6,242,631
-1.14% ↓
1972年 6,314,762
20.15% ↑
1971年 5,255,570
2.65% ↑
1970年 5,119,995
-12.09% ↓
1969年 5,824,244
13.04% ↑
1968年 5,152,489
-11.39% ↓
1967年 5,814,468
20.06% ↑
1966年 4,842,915
-19.08% ↓
1965年 5,984,489
36.79% ↑
1964年 4,375,014
-23.87% ↓
1963年 5,746,672
24.27% ↑
1962年 4,624,500
-6.44% ↓
1961年 4,942,981 -

モーリシャスは、インド洋に位置する小さな島国であり、土壌の肥沃さと気候条件に恵まれ、かつてはサトウキビ生産が国内農業や経済の中心的な役割を果たしていました。特に1960年代から1980年代にかけて、生産量は年間5,000,000トンを超えることが一般的で、最大6,581,862トン(1982年)に達したこともありました。しかし、1990年代以降、生産量は変動しつつも減少傾向が顕著となり、2022年には2,256,806トンまで落ち込みました。2023年には若干回復し2,452,653トンとなりましたが、過去と比較すると依然として低水準にとどまっています。

この長期的な減少の背景にはいくつかの要因が挙げられます。まず、気候変動の影響が深刻です。モーリシャスは熱帯性のサイクロンによる雨量の変動や気温の上昇などの影響を強く受け、干ばつや洪水による農地のダメージが生産に悪影響を与えています。また、農業分野での機械化が進まないまま労働力不足が慢性化しており、伝統的な方法でのサトウキビ栽培が難しくなっています。さらに、都市化の進行とともに農地が観光開発や住宅建設に転用され、生産の基盤が弱体化しています。加えて、国際市場での砂糖価格の変動と競争激化により、モーリシャス産の砂糖が経済的に採算を取りにくくなったことも問題です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も無視できません。2020年から2021年にかけて、物流の問題や農業従事者の不足が生じ、サトウキビの収穫や輸出にも支障が出ました。これにより、ただでさえ減少傾向にあった生産量にさらなる打撃が加わったのです。

このような現状に対応するために、いくつかの具体的な対策が提案されています。まず第一に、気候変動への適応策として耐乾性の高いサトウキビ品種への移行や大規模灌漑システムの導入が避けられません。次に、農業技術の革新を支えるために国際的な技術協力を強化し、若年層の農業分野への参加を積極的に促す施策が必要です。教育や補助金制度を通じて、持続可能な農業を推進することが求められています。さらに、観光セクターと農業のシナジーを創出する取り組みも有効でしょう。例えば「砂糖観光」として、製糖工場や農場の見学ツアーを観光資源化するアイデアが考えられます。

国際連合食糧農業機関(FAO)をはじめとする国際機関との協力や地域の連携も重要です。特に、アフリカやインド洋諸国との共同事業を立ち上げることで、情報や資源の共有を図ることが可能です。サトウキビはモーリシャスの伝統的な農産物であり、持続可能な形でその文化的・経済的価値を維持していく必要があります。これを実現するためには、国際的な地政学リスクや市場の動向も慎重に見極める必要があるでしょう。

結論として、モーリシャスの近年のサトウキビ生産量の減少は、多様な課題が絡み合った結果だと言えます。ただし、適切な政策と国際的な協力を通じて、持続可能な生産と経済の再興は十分可能です。この課題に取り組むことは、地域の安定と繁栄だけでなく、世界中の農業や食品安全にも良い影響を与えると考えられます。