Food and Agriculture Organizationの最新データによると、ブルンジのサトウキビ生産量は1970年代には年間5,000トン前後とほぼ停滞状態が続いていましたが、1980年代後半から急激に増加し、一時は20万トンを超えました。その後、2000年以降の生産量は安定しない状態が続きましたが、2011年から2013年にかけてピークを迎え、2019年以降はおおむね19万トン台に回復傾向が見られます。しかし、2020年代においても変動が続いており、地政学的リスクや気候影響が課題となっています。
ブルンジのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 195,666 |
3.85% ↑
|
2022年 | 188,417 |
3.86% ↑
|
2021年 | 181,418 |
-4.52% ↓
|
2020年 | 190,000 |
-5% ↓
|
2019年 | 200,000 |
12.08% ↑
|
2018年 | 178,439 |
-17.05% ↓
|
2017年 | 215,118 |
-1.37% ↓
|
2016年 | 218,115 |
2.34% ↑
|
2015年 | 213,130 |
3.14% ↑
|
2014年 | 206,644 |
-13.73% ↓
|
2013年 | 239,519 |
8.71% ↑
|
2012年 | 220,326 |
8.06% ↑
|
2011年 | 203,883 |
54.77% ↑
|
2010年 | 131,730 |
8.18% ↑
|
2009年 | 121,767 |
3.47% ↑
|
2008年 | 117,681 |
1.62% ↑
|
2007年 | 115,807 |
-0.87% ↓
|
2006年 | 116,825 |
-7.04% ↓
|
2005年 | 125,666 |
2% ↑
|
2004年 | 123,199 |
2.18% ↑
|
2003年 | 120,575 |
-4.91% ↓
|
2002年 | 126,799 |
1.93% ↑
|
2001年 | 124,395 |
5.56% ↑
|
2000年 | 117,840 |
-32.66% ↓
|
1999年 | 175,000 |
-8.12% ↓
|
1998年 | 190,476 |
8.84% ↑
|
1997年 | 175,000 |
9.78% ↑
|
1996年 | 159,406 |
19.93% ↑
|
1995年 | 132,920 |
10.19% ↑
|
1994年 | 120,632 |
-17.47% ↓
|
1993年 | 146,174 |
-3.05% ↓
|
1992年 | 150,771 |
14.15% ↑
|
1991年 | 132,079 |
51.65% ↑
|
1990年 | 87,092 |
14.36% ↑
|
1989年 | 76,154 |
69.45% ↑
|
1988年 | 44,942 |
532.99% ↑
|
1987年 | 7,100 |
1.43% ↑
|
1986年 | 7,000 | - |
1985年 | 7,000 |
16.67% ↑
|
1984年 | 6,000 | - |
1983年 | 6,000 | - |
1982年 | 6,000 | - |
1981年 | 6,000 |
20% ↑
|
1980年 | 5,000 | - |
1979年 | 5,000 | - |
1978年 | 5,000 | - |
1977年 | 5,000 | - |
1976年 | 5,000 | - |
1975年 | 5,000 | - |
1974年 | 5,000 | - |
1973年 | 5,000 | - |
1972年 | 5,000 | - |
1971年 | 5,000 | - |
1970年 | 5,000 | - |
ブルンジのサトウキビ生産は長年安定していない傾向がみられます。1970年代は経済成長や農業インフラが十分でなかったこともあり、生産量は年間5,000トンに留まりました。その後1980年代後半から90年代初期に急増し、特に1988年から1992年にかけて約150,000トン以上の生産量を記録しました。この急激な増加は、政府による農業投資や灌漑技術の改善、さらに外部援助が寄与した可能性があります。しかし、その後は内戦や政治的不安定性が影響し、生産量が停滞し、減少する期間をたびたび迎えました。
2000年代以降、生産量はおおむね10万~20万トンの範囲で推移していますが、自然災害や気候変動、人員不足などがその原因と考えられます。特に2000年と2018年には生産量が大きく落ち込み、それぞれ117,840トンおよび178,439トンを記録しました。一方で、2011年から2013年には約20万トン以上の生産量を記録し、国内農業の持続可能性向上の兆しが見えましたが、この成長が継続的ではなかったため、抜本的な課題解決が求められていることが明らかです。
直近のデータでは、2023年には生産量が195,666トンに達しており、過去数年に比べれば徐々に回復基調にあります。しかし、2020年代初頭において新型コロナウイルス感染症の影響で農業従事者の確保や国内輸送網が制約されたこと、加えてブルンジ特有の地政学的不安定性が課題として残されています。これらの課題が農業全体、特にサトウキビ生産に与える影響は無視できません。
今後、サトウキビ生産を安定化させ、さらに成長させるためには、いくつかの具体的な施策が挙げられます。一つ目は、灌漑システムのさらなる整備による干ばつ対策の強化です。現在のブルンジでは、気候変動による降雨パターンの不安定化が深刻化しており、それに対応する形で効率的な灌漑技術の導入が必要とされています。二つ目は、農業教育や労働力の確保です。これにより従事者の技能向上と持続可能な農業経営が可能となり、雇用創出にもつながります。そして三つ目は、政府および国際機関による資金援助プログラムの確立です。例えば、日本、中国、インドといった農業分野の先進的技術や資金を持つ国々との協力は、ブルンジのサトウキビ生産の潜在力を引き出すための有益な手段です。
また、国際的な視点で見ても、ブルンジのサトウキビ生産の振興は重要な課題です。サトウキビは砂糖やバイオエタノールの原料として、特に世界のエネルギー市場や食品業界において需要が高まっています。例えば、ブラジルやインドではバイオ燃料政策の一環としてサトウキビ生産が国家的に支援されています。ブルンジもこのようなエネルギー戦略を一部参考にし、地域の経済発展と自給率向上に役立てることが考えられます。
農業はブルンジの主要産業の一つであり、特に農村部の生活向上において極めて重要です。そのため、今後のブルンジの成長戦略において、安定したサトウキビ生産を実現することは重要な柱となるでしょう。長期的には、地域協力の強化や技術移転の促進により、持続可能な生産システムを確立し、ブルンジの農業全体の競争力を向上させることが求められます。