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ベトナムのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータによると、ベトナムのサトウキビ生産量は1961年に1,415,900トンからスタートし、1990年代後半から2000年代初頭にかけて急激に増加しました。1999年には17,760,300トンのピークを迎えました。その後、生産量は増減を繰り返しながら安定し、しかし2020年以降に急激な減少を記録しました。2023年には若干回復して11,843,773トンに達しています。これらのデータは、国内外の農業政策、気候変動、国際市場、また地政学的な要因が複合的に影響していることを示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,843,773
6.86% ↑
2022年 11,083,015
3.19% ↑
2021年 10,740,873
-6.88% ↓
2020年 11,534,589
-26.46% ↓
2019年 15,685,618
-12.59% ↓
2018年 17,945,204
-2.24% ↓
2017年 18,356,398
12.53% ↑
2016年 16,313,145
-11.04% ↓
2015年 18,337,227
-7.49% ↓
2014年 19,822,851
-1.52% ↓
2013年 20,128,588
5.86% ↑
2012年 19,015,231
8.41% ↑
2011年 17,539,572
8.53% ↑
2010年 16,161,700
3.55% ↑
2009年 15,608,300
-3.33% ↓
2008年 16,145,500
-7.19% ↓
2007年 17,396,700
4.05% ↑
2006年 16,719,500
11.85% ↑
2005年 14,948,700
-4.48% ↓
2004年 15,649,300
-7.15% ↓
2003年 16,854,700
-1.55% ↓
2002年 17,120,000
16.81% ↑
2001年 14,656,900
-2.58% ↓
2000年 15,044,300
-15.29% ↓
1999年 17,760,300
25.97% ↑
1998年 14,099,389
18.27% ↑
1997年 11,920,900
4.29% ↑
1996年 11,430,300
6.71% ↑
1995年 10,711,100
41.87% ↑
1994年 7,550,100
24.12% ↑
1993年 6,082,700
-5.5% ↓
1992年 6,437,000
4.99% ↑
1991年 6,130,900
13.42% ↑
1990年 5,405,600
1.14% ↑
1989年 5,344,600
-6.23% ↓
1988年 5,699,600
4.25% ↑
1987年 5,467,400
10.09% ↑
1986年 4,966,400
-10.67% ↓
1985年 5,559,700
-15.33% ↓
1984年 6,566,600
15.42% ↑
1983年 5,689,500
24.31% ↑
1982年 4,576,900
15.45% ↑
1981年 3,964,400
-9.07% ↓
1980年 4,359,800
24.89% ↑
1979年 3,490,900
27.77% ↑
1978年 2,732,100
-3.01% ↓
1977年 2,816,800
-5.68% ↓
1976年 2,986,400
52.67% ↑
1975年 1,956,100
34.9% ↑
1974年 1,450,000
11.54% ↑
1973年 1,300,000
3.17% ↑
1972年 1,260,000
14.55% ↑
1971年 1,100,000
4.55% ↑
1970年 1,052,100
18.71% ↑
1969年 886,300
-11.37% ↓
1968年 1,000,000
-23.08% ↓
1967年 1,300,000
-17.13% ↓
1966年 1,568,700
-14.99% ↓
1965年 1,845,400
6.67% ↑
1964年 1,730,000
8.13% ↑
1963年 1,600,000
8.11% ↑
1962年 1,480,000
4.53% ↑
1961年 1,415,900 -

ベトナムのサトウキビ生産量は、国家の農業開発の変遷や外部要因の影響を色濃く反映した指標です。この統計の推移を見ると、1960年代は1,400,000トン台で始まり、その後数年間で緩やかな増加を見せました。しかし、1967年から1969年の期間には生産量が急激に減少し、1,300,000トン台から1,000,000トンを切るまでに至りました。この背景には、当時のベトナム戦争と、それに伴う農業インフラの損壊や社会の混乱があると考えられます。

1970年代半ばから生産量は徐々に回復し、1976年には戦争終結を経て再建が進み、生産量が2,986,400トンまで回復しました。それ以降、1980年代には農業技術の進展や政策転換の影響で急速な上昇を見せ、1999年には17,760,300トンとピークを記録しました。この時期の生産増加は、ドイモイ政策による市場経済化が生産性向上に寄与したこと、さらに国内外の需要増加により輸出が拡大したことが一因です。

2000年代に入ると、15,000,000〜17,000,000トン程度で若干の変動があるものの比較的安定的な生産量を維持しました。しかし近年、特に2020年以降、11,534,589トンにまで大幅な減少が見られます。この減少には、複数の要因が絡んでいると考えられます。まず、気候変動が農業への影響を深刻化させており、特にベトナムのように温暖な気候帯にある国では乾燥化や洪水といった異常気象が作物生産量に影響を及ぼしています。さらに、国際市場における価格競争の激化が見られました。例えばタイやブラジルなどが生産効率を向上させる一方で、ベトナムの競争力が相対的に低下した可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症による生産活動の制限や輸送問題も負の影響を及ぼしたと考えられます。

地政学的な点に着目すると、サトウキビの国際的な需給バランスや物流の寸断が、ベトナムの輸出産業に影響を及ぼしている可能性が高いです。他の主要生産国、例えばブラジルやインドとの競争において、効率的な生産と多方面での供給網の確保が今後の課題とされています。輸入関税の変更、FTA(自由貿易協定)の導入や見直しなどの貿易政策も影響を受けています。

今後の課題として、気候変動への適応策が喫緊の課題となります。適正で持続可能な灌漑システムの導入や、耐性品種の開発を進める必要があります。また、国内農家の生産意欲を高めるための支援策として、価格安定の仕組みの導入や補助金制度の強化が重要です。さらに、地政学的な影響を軽減するために、他国との協調体制を通じて輸出先の多様化を図るべきです。

2023年には若干の回復傾向(11,843,773トン)が見られますが、これは必ずしも長期的な増加を示唆するものではありません。持続的な生産量増加を実現するには、政府、農業関連団体、研究機関が一体となり、戦略的な施策を講じることが必要です。また、適切な国際協力の枠組みの中で、アジアや世界全体の農業ネットワークの一翼を担うことが期待されます。このような取り組みを継続することによって、ベトナムのサトウキビ産業は、経済全体の安定化と国際的な競争力の向上に寄与するでしょう。