ホンジュラスのサトウキビ生産量推移（1961年～2023年）

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した最新データによると、ホンジュラスのサトウキビ生産量は1961年で約80万トンでしたが、2022年には約547万トンに達し、過去60年以上で大幅な増加を示しました。一方、近年では自然災害や経済的課題などの影響から生産量の増減が顕著で、2020年以降の年次データでは明確な減少傾向が見られるものの、2022年には一定の回復を遂げています。

ホンジュラスにおけるサトウキビ生産量は、1960年代以降、長期的に増加してきました。1961年の約80万トンから1970年代前半にかけて着実に増え、1,400万～1,500万トン台に達しました。そして、1970年代後半から1980年代初頭には大幅な増産が記録され、1980年には2,900万トンを超えました。この成長は、国内のサトウキビ産業の拡充や、糖を含むエタノール生産などの需要増が主な要因とされています。一方で、1980年代後半以降には減少傾向が一時的に見られ、1990年代初頭には2,500万トンから3,000万トン台での推移となり、市場や輸出関連の課題が指摘されました。

2000年代にかけては再び生産量が増加し、特に2003年以降急激な拡大がみられました。2003年には5,360万トンを超え、その後は一部の年で減少を経験するものの、2007年には6,080万トン、2009年には6,895万トンと過去最高水準に達しました。これは、政府や民間セクターが共同で進めた農業技術の向上や市場拡大政策の成果であり、世界市場における競争力が高まったことを示しています。

しかし、2010年以降には変動が激しく、特に2020年からの新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動による干ばつ、洪水などの影響を大きく受けました。2020年には5,030万トンと前年度を大きく下回り、これは生産の中断や輸送インフラの不足、労働力の確保難が原因とされています。この時期の減少は地域経済に深刻な打撃を与え、輸出競争力の低下や雇用の減少を招きました。ただし、2022年には前年度を上回る5,474万トンまで回復し、生産体制の改善や輸出市場の安定化へ向けた努力が一定の成果を上げていることがわかります。

今後の課題として、まず気候変動対策が挙げられます。ホンジュラスは自然災害リスクの高い地域であり、定期的に発生する干ばつや洪水被害を最小限に抑えるための農業インフラの整備や技術投資が不可欠です。また、農業分野の機械化や労働者の教育により長期的な競争力を向上させる必要があります。さらに、輸出市場の多角化や自由貿易協定の活用を通じて、国内市場への依存度を減らすことも重要です。

また、エネルギー政策との関連性を考えると、糖を原料としたバイオ燃料の開発や国内消費拡大に向けた投資は、サトウキビ生産の持続可能性を支える重要な要素となります。これにより、エネルギー自給率の改善や国際市場への影響力拡大が期待できます。加えて、地域間協力の枠組みづくりや、国際支援の活用も、自然災害や経済的リスクに対する対応策として有効です。

結論として、ホンジュラスのサトウキビ産業は基本的に成長傾向を維持しており、2022年の回復も含め、将来にはさらなる拡大の可能性が存在します。ただし、安定した生産基盤の構築には気候対策や技術の導入、国際協力の深化が欠かせません。これらの具体的な取り組みを政府や産業界が進めることで、サトウキビ生産を中心とした持続可能な農業成長を実現できるでしょう。