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デンマークのオート麦生産量推移(1961年~2023年)

デンマークのオート麦生産量を見ると、1960年代には年間80万トンを超えていましたが、1970年代には急速に減少し、80年代後半から90年代にかけては年間10万から20万トン程度を推移しました。2000年代に入ってからやや回復し、2010年代には30万トン台を記録する年もありましたが、2023年には20万トン程度に再び低下しています。2020年には一時的に42万トンと高い水準に復活しましたが、この増加が一時的であったことは2023年のデータから明らかです。この変動には、気候、政策、世界的な農業市場の動向が影響しているとみられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 208,100
-40.9% ↓
2022年 352,100
6.36% ↑
2021年 331,060
-22.22% ↓
2020年 425,660
72.14% ↑
2019年 247,280
-13.71% ↓
2018年 286,560
-18.17% ↓
2017年 350,200
16% ↑
2016年 301,900
30.47% ↑
2015年 231,400
6.69% ↑
2014年 216,900
-30.75% ↓
2013年 313,200
3.54% ↑
2012年 302,500
34.56% ↑
2011年 224,800
-18.08% ↓
2010年 274,400
-12.94% ↓
2009年 315,200
-2.14% ↓
2008年 322,100
3.37% ↑
2007年 311,600
13.68% ↑
2006年 274,100
-12.98% ↓
2005年 315,000
1.65% ↑
2004年 309,900
19.36% ↑
2003年 259,633
-5.78% ↓
2002年 275,556
-5.52% ↓
2001年 291,657
25.2% ↑
2000年 232,946
79.43% ↑
1999年 129,828
-19.32% ↓
1998年 160,915
3.88% ↑
1997年 154,900
-5.72% ↓
1996年 164,300
3.72% ↑
1995年 158,400
-22.99% ↓
1994年 205,700
48.52% ↑
1993年 138,500
74.85% ↑
1992年 79,213
-31.46% ↓
1991年 115,566
3.98% ↑
1990年 111,141
-3.36% ↓
1989年 115,000
-40.13% ↓
1988年 192,093
138.5% ↑
1987年 80,541
-19.98% ↓
1986年 100,656
-33.98% ↓
1985年 152,457
-3.31% ↓
1984年 157,676
84.55% ↑
1983年 85,438
-52% ↓
1982年 177,981
1.13% ↑
1981年 176,000
10.75% ↑
1980年 158,923
-2.24% ↓
1979年 162,558
-21.07% ↓
1978年 205,952
-23.82% ↓
1977年 270,343
2.85% ↑
1976年 262,853
-28.39% ↓
1975年 367,066
-22.35% ↓
1974年 472,736
6.35% ↑
1973年 444,489
-30.21% ↓
1972年 636,893
-9.18% ↓
1971年 701,273
11.09% ↑
1970年 631,239
-17.52% ↓
1969年 765,284
-11.33% ↓
1968年 863,036
-4.52% ↓
1967年 903,893
4.69% ↑
1966年 863,407
10.71% ↑
1965年 779,883
-4.98% ↓
1964年 820,747
22.36% ↑
1963年 670,741
10.18% ↑
1962年 608,788
-10.92% ↓
1961年 683,402 -

デンマークのオート麦生産量データは、同国の農業動向を理解するうえで非常に重要です。1960年代の生産量は80万トンを超え、特に1967年では約90万トンを記録しました。しかし1970年代に入ると、10年の間に生産量が80%以上減少し、1979年には約16万トンにまで縮小しました。この大幅な減少の背景には、農業技術の変化や農地利用の転換が関係していると考えられます。デンマークが他の主要穀物や家畜生産に注力し始めたことも、このデータに見られる変化の一因と見られます。

1980年代から1990年代初頭にかけては生産量が低迷しており、特に1983年には約8万5千トンと記録的な低水準を記録しました。これには、オート麦の需要の低下や、新しい穀物の栽培技術の導入による作付面積の減少が影響を与えた可能性があります。しかし2000年代に入ると、グローバル市場への対応や国内農業政策の影響で、生産量はやや回復する傾向を示しています。2004年以降は30万トン以上の生産を維持した年が多いことから、安定的な構造変化が進んでいることがうかがえます。

2020年の42万トンという記録的な生産量は、異常気象や特定の需要増加による一時的な増加であると考えられます。しかしその後は再び減少し、2023年には約20万8千トンに留まっています。この大幅な減少は、既存の気候変動や地政学的影響を反映している可能性があります。近年、気候変動による異常気象がデンマークの農業に与える影響が頻繁に報告されており、これがオート麦生産の不安定化に寄与していると指摘されています。

また、オート麦は栄養価が高く健康志向食品としての需要が高まりつつある一方で、飼料用作物としての地位は縮小しています。そのため、特に輸出市場での価格競争力の低下が見られる可能性があります。他方で、日本やアジア主要国(中国、韓国など)におけるデンマーク産のオート麦が食品原料として注目されつつある点は今後の展望として期待できます。

課題としては、まず気候変動への適応が挙げられます。異常気象に対応するための新しい農業技術の導入や耐性品種の開発が不可欠となります。また、輸出市場で競争力を維持するために、オート麦製品の付加価値化や認知度向上を図ることも重要です。この点については、有機農業の推進や品質管理を徹底することで、デンマーク産のブランド価値を高める戦略が考えられます。

さらに、多国間協力の強化も重要です。たとえば北欧諸国やEU全体での協調的な農業政策を構築し、研究や開発、技術移転を進めるべきです。これにより、地域全体の生産効率を向上させ、同時に市場競争力を強化することが期待されます。

結論として、デンマークのオート麦生産量は長い間減少傾向が続いたものの、2000年代に一定の回復を記録しました。しかし直近のデータでは再び低下が見られることから、気候変動や市場動向に応じた柔軟な対応が求められています。国や国際機関が連携し、技術開発や政策支援に取り組むことが、未来の持続可能な生産システムの構築に不可欠です。デンマーク産オート麦の付加価値を高め、国際市場での地位を確立するため、この分野への投資が期待されます。