Skip to main content

フィリピンのカシューナッツ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が公開した最新データによると、フィリピンのカシューナッツ生産量は1961年に7,500トンであったのに対し、2023年には136,264トンまで増加しました。しかし、これまでの推移を見ると、一度は急激な増加傾向を示したものの、近年は生産量が大きく減少していることがわかります。特に2022年から2023年にかけて約47%の減少が見られ、これは注目すべき傾向です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 136,264
-37.37% ↓
2022年 217,583
-14.98% ↓
2021年 255,931
0.01% ↑
2020年 255,915
5.61% ↑
2019年 242,329
6% ↑
2018年 228,612
2.73% ↑
2017年 222,541
2.84% ↑
2016年 216,398
5.29% ↑
2015年 205,531
20.3% ↑
2014年 170,853
16.79% ↑
2013年 146,289
10.37% ↑
2012年 132,541
-0.63% ↓
2011年 133,388
-0.96% ↓
2010年 134,681
20.26% ↑
2009年 111,993
-0.3% ↓
2008年 112,334
-0.2% ↓
2007年 112,558
-0.45% ↓
2006年 113,071
-2.97% ↓
2005年 116,533
-0.32% ↓
2004年 116,910
5.05% ↑
2003年 111,291
0.06% ↑
2002年 111,223
0.06% ↑
2001年 111,153
0.12% ↑
2000年 111,019
-0.14% ↓
1999年 111,170
-34.05% ↓
1998年 168,559
-2.7% ↓
1997年 173,241
181.25% ↑
1996年 61,596
-59.89% ↓
1995年 153,567
24.1% ↑
1994年 123,748
25.62% ↑
1993年 98,509
-0.61% ↓
1992年 99,112
0.84% ↑
1991年 98,283
0.62% ↑
1990年 97,674
2486.02% ↑
1989年 3,777
-38.22% ↓
1988年 6,114
14.28% ↑
1987年 5,350
25.15% ↑
1986年 4,275
10.21% ↑
1985年 3,879
4.98% ↑
1984年 3,695
6.55% ↑
1983年 3,468
-9.1% ↓
1982年 3,815
0.77% ↑
1981年 3,786
2.85% ↑
1980年 3,681
-2.85% ↓
1979年 3,789
-10.53% ↓
1978年 4,235
-10.84% ↓
1977年 4,750
6.79% ↑
1976年 4,448
19.35% ↑
1975年 3,727
0.51% ↑
1974年 3,708
-21.87% ↓
1973年 4,746
-11.77% ↓
1972年 5,379
7.28% ↑
1971年 5,014
-20.6% ↓
1970年 6,315
18.37% ↑
1969年 5,335
-4.08% ↓
1968年 5,562
0.94% ↑
1967年 5,510
15.61% ↑
1966年 4,766
-12.95% ↓
1965年 5,475
-0.45% ↓
1964年 5,500
-15.38% ↓
1963年 6,500
-18.75% ↓
1962年 8,000
6.67% ↑
1961年 7,500 -

データはフィリピンにおけるカシューナッツ生産量の長期的な変化を示すものであり、そのトレンドから複数の重要なポイントを読み取ることができます。まず、1960年代から1980年代半ばにかけて、生産量は5,000トン前後で推移していました。その後、1990年から一気に増加に転じ、約10万トン以上の生産量となりましたが、この急増は1995年の153,567トン、1997年の173,241トンなどさらに顕著になりました。この時期の増産は、農業技術の向上や輸出需要の急増に対応した結果である可能性があります。

2000年代に入ると生産は比較的安定し、2004年以降、約110,000トン程度で推移しました。しかし2010年代後半に再び生産が拡大し、2019年には242,329トン、2020年には255,915トンと過去最高を記録しました。このような増加は国内外でのカシューナッツ需要の高まりや、栽培面積の拡大などを反映していると考えられます。しかし、2022年から2023年にかけて生産量が激減し、255,931トンから136,264トンへとほぼ半減しました。この急減は天候不順、病害の発生、生産効率の低下などさまざまな要因による可能性があります。

減少の背景にはいくつかの課題が存在します。まず、近年の気候変動がカシューナッツの主要生産地域に影響を及ぼしています。フィリピンは熱帯性気候を持つため、台風や豪雨などの自然災害が頻発しており、これが収穫量の不安定性につながっていると考えられます。また、農業用インフラの整備状況が不十分であることや、生産者が使用できる技術や資源が限られていることも大きな要因です。さらに、2020年以降の新型コロナウイルスのパンデミックに関連した輸出市場の変動や供給チェーンの混乱も影響を与えたと推測されます。

今後の課題として、フィリピンが安定的にカシューナッツの生産を拡大していくためには、生産効率を向上させる施策が重要です。まず、農業技術の普及や、病害に強い品種の開発が急務です。また、気候変動の影響を軽減するために、耐水性の高い栽培技術や水管理システムの導入も検討すべきです。これに加えて、持続可能な農業の実現に向けた政府の支援や、農産物流通の改善も求められます。例えば、生産者が直接市場につながる仕組みを強化することで、生産から販売までの効率性を高めることが可能です。

さらに、地政学的な背景も無視できません。フィリピンのカシューナッツ産業は地域経済に密接に関係していますが、紛争や政治的な不安定さが農業に与える影響も考慮が必要です。また、他国、特に世界のカシューナッツ主要生産国であるインドやベトナムと比較した場合、フィリピンの競争力を維持・強化するには、生産の質や国際的な信頼性の向上が鍵となるでしょう。

これらを踏まえると、フィリピンのカシューナッツ産業を再活性化するためには、国のみならず、国際機関や地域組織との連携が効果的です。具体的には、地域間で農業のベストプラクティスを共有する枠組み作りや、国際輸出市場へのアクセスを支援する政策を強化することが求められます。また、自然災害や感染症の流行に備えたリスク管理計画を策定し、安定的な生産を目指すことが重要です。

結論として、フィリピンのカシューナッツ生産量の急増と急減は、自然環境、経済政策、国際市場の変化が複雑に絡み合った結果といえます。持続的な成長の鍵は、今ある課題に積極的に対処し、変化する環境に柔軟に対応していくことです。これを達成するために、技術、政策、国際協力を組み合わせた総合的なアプローチが必要となるでしょう。

キーワード検索
楽天おすすめ