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フィリピンのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表した最新のデータによると、フィリピンにおけるカリフラワーとブロッコリーの生産量は、長期間にわたり変動を続けています。1990年の3,282トンから1997年の13,331トンまで急増し、その後は概ね高水準で推移しました。しかし、2005年以降、一部の年で減少傾向が見られるようになり、最近の2023年には13,819トンと減少傾向を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 13,819
-1.34% ↓
2022年 14,007
-6.32% ↓
2021年 14,952
-2.42% ↓
2020年 15,323
3.54% ↑
2019年 14,799
3.97% ↑
2018年 14,234
-6.48% ↓
2017年 15,220
4.96% ↑
2016年 14,501
-1.86% ↓
2015年 14,776
-0.18% ↓
2014年 14,803
-0.03% ↓
2013年 14,808
1.22% ↑
2012年 14,630
1.15% ↑
2011年 14,464
4.8% ↑
2010年 13,801
4.21% ↑
2009年 13,244
-0.87% ↓
2008年 13,361
6.73% ↑
2007年 12,518
-1.85% ↓
2006年 12,753
0.32% ↑
2005年 12,713
-7.63% ↓
2004年 13,764
-1.64% ↓
2003年 13,993
0.54% ↑
2002年 13,918
0.1% ↑
2001年 13,905
1.12% ↑
2000年 13,751
1% ↑
1999年 13,615
1.32% ↑
1998年 13,437
0.79% ↑
1997年 13,331
7.72% ↑
1996年 12,376
46.84% ↑
1995年 8,428
19.98% ↑
1994年 7,025
5.64% ↑
1993年 6,650
-7.73% ↓
1992年 7,207
74.71% ↑
1991年 4,125
25.69% ↑
1990年 3,282 -

フィリピンにおけるカリフラワーとブロッコリーの生産動向は、国の農業政策、気候条件、地政学的背景など、さまざまな要因の影響を受けながら推移してきました。1990年から2000年にかけては顕著な増加が見られ、特に1996年には12,376トン、1997年には13,331トンと、ほぼ急激な成長を遂げました。この増加は、フィリピン国内での野菜需要の増大や農業技術の改善に伴うものと考えられます。

一方、2005年以降は緩やかな停滞あるいは一部減少の傾向が目立つ年も存在します。特に、2022年以降は14,000トンを下回り始め、2023年には13,819トンという低調な値に落ち着きました。この減少傾向の背景には、気候変動による降水量や温度の変化が作物の成長に悪影響を与えていることや、都市化による農地の減少、さらには新型コロナウイルスのパンデミックによる農業労働力不足、生産コストの上昇などの要因が挙げられます。

フィリピンにおけるカリフラワーとブロッコリーの生産は国内の需要に特化したものであるため、輸出量は限定的ですが、近隣諸国である中国やインド、または消費傾向の高い日本、アメリカと比較しても、生産規模や効率の点で依然として課題が多い状態です。これらの国々は、技術革新や気候適応型農業政策に積極的に取り組んでいます。これに対し、フィリピンではそのような高度な技術活用が遅れており、気象条件への適応にも限界があることから、持続可能な農業の推進が急務となっています。

この状況を打開するためには、まず生産インフラの整備を進める必要があります。具体的には、気候変動の影響を緩和するための灌漑設備や温室技術の導入、また耐病性や熱耐性を持つ新しい品種の開発が重要です。同時に、これらの施策を実現するためには、日本やアメリカなど農業技術で先んじている国々との国際連携や技術移転が有効です。さらに、農業労働者の減少に対応するため、農業用機械の普及やデジタル農業を活用した効率合理化も検討する必要があります。

また、地政学的な背景も生産量に影響を及ぼしています。例えば、フィリピン周辺の海上領有権問題や地域紛争が農業貿易や輸送路にリスクをもたらす可能性があります。これらの問題への対応として、他国との地域協力を強化することが重要です。貿易路を多様化すると同時に、国内自給率を高めることで外的リスクの軽減を図るべきです。

これらの対策を講じることで、フィリピンはカリフラワーとブロッコリーの生産量を安定化させるだけでなく、地域への供給能力を高め、農業の持続可能性を実現することが期待されます。国際社会や国内の多様な関係者と連携し、未来に向けた農業振興政策を策定・実行することが必要です。