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フィリピンのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が提供した最新データによると、フィリピンのパパイヤ生産量は1961年から徐々に増加し、2008年に182,907トンで過去最高を記録しました。しかし、2010年以降は全体的に減少傾向を辿っており、2023年時点では156,521トンとなり、この15年間のピークから18%近く下回る水準となっています。この減少には、自然災害や新型コロナウイルスの影響、農業インフラの未整備などが影響している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 156,521
-1.67% ↓
2022年 159,173
-4.06% ↓
2021年 165,912
1.6% ↑
2020年 163,299
-1.72% ↓
2019年 166,164
-1.76% ↓
2018年 169,143
1.26% ↑
2017年 167,043
2.81% ↑
2016年 162,481
-5.89% ↓
2015年 172,650
0.01% ↑
2014年 172,628
3.78% ↑
2013年 166,336
0.86% ↑
2012年 164,913
4.44% ↑
2011年 157,907
-4.86% ↓
2010年 165,981
-6.04% ↓
2009年 176,656
-3.42% ↓
2008年 182,907
11.37% ↑
2007年 164,234
4.53% ↑
2006年 157,120
7.16% ↑
2005年 146,628
9.53% ↑
2004年 133,876
2.38% ↑
2003年 130,764
2.42% ↑
2002年 127,680
-0.08% ↓
2001年 127,787
5.34% ↑
2000年 121,304
7.48% ↑
1999年 112,862
5.38% ↑
1998年 107,096
-2.74% ↓
1997年 110,112
-3.39% ↓
1996年 113,974
5.13% ↑
1995年 108,409
3.99% ↑
1994年 104,250
6.88% ↑
1993年 97,537
3.8% ↑
1992年 93,968
1.3% ↑
1991年 92,764
9.32% ↑
1990年 84,855
-13.09% ↓
1989年 97,630
3.25% ↑
1988年 94,560
1.13% ↑
1987年 93,500
-0.81% ↓
1986年 94,264
4.38% ↑
1985年 90,312
3.46% ↑
1984年 87,291
8% ↑
1983年 80,824
-11.96% ↓
1982年 91,800
-12.14% ↓
1981年 104,487
9.76% ↑
1980年 95,195
12.42% ↑
1979年 84,675
-2.1% ↓
1978年 86,488
0.15% ↑
1977年 86,362
10.26% ↑
1976年 78,326
27.44% ↑
1975年 61,459
15.92% ↑
1974年 53,019
0.3% ↑
1973年 52,860
-3.79% ↓
1972年 54,940
-0.11% ↓
1971年 55,000
-9.03% ↓
1970年 60,462
18.77% ↑
1969年 50,906
-0.65% ↓
1968年 51,239
-16.85% ↓
1967年 61,623
6.26% ↑
1966年 57,993
-1.3% ↓
1965年 58,755
12.99% ↑
1964年 52,000
0.94% ↑
1963年 51,516
1.7% ↑
1962年 50,653
6.19% ↑
1961年 47,699 -

フィリピンのパパイヤ生産の歴史は、国内農業の成長とともに推移してきました。1960年代には年間生産量が50,000トン前後で推移していましたが、1970年代後半以降、国内の農業技術の進展や生産地域の拡大により急激な増加を見せ、1981年には100,000トンを突破しました。その後も安定的に生産が拡大し、2005年以降は150,000トンを超える年が頻発し、特に2008年には182,907トンと最も多い生産量を記録しました。この時期のパパイヤ生産の増加は、フィリピンの気候条件が果樹栽培に適していることや、輸出市場の需要増大が後押ししたと考えられます。

しかし2010年以降、パパイヤ生産量は一転して減少傾向に転じています。2023年には156,521トンとなり、2008年のピークから約18%減っています。この減少には、いくつかの要因が関与していると推察されます。まず、台風や豪雨といった自然災害が生産地に大きな影響を及ぼしたことが挙げられます。特にフィリピンは東南アジアの中で自然災害の被害が著しい国の一つであり、パパイヤはこのような過酷な気象条件に弱い作物です。また近年、新型コロナウイルスの流行により農業労働力や供給チェーンが分断されたことも生産量の減少に拍車をかけたと考えられます。

さらに、生産減少の背景には国内農業政策の課題も潜んでいます。フィリピンのパパイヤ農家は、小規模農業が中心であり、十分な資金援助や技術指導が行き届いていない場合が多いです。適切な灌漑設備や害虫駆除の技術が十分に行き渡っていないことが生産効率の向上を妨げている要因と言えます。他国と比較してみると、例えばインドやタイはより効率的で集約的な農業体制を整えています。その結果、これらの国々はフィリピンよりも生産量や輸出量を拡大しています。

未来を見据えた場合、フィリピンのパパイヤ産業にはいくつかの対策が必要です。一つは、農業技術の進化とそれを支える教育や資金援助の拡充です。使用する肥料や品種改良、適切な灌漑技術の普及により、より収益性の高い農業を実現することができます。加えて、台風などの自然災害に対する防御策として、作物の耐久性を向上させる遺伝子改良やパパイヤ栽培地域の災害リスクマッピングを進めるべきです。また、国内消費だけでなく輸出向けの加工食品市場を開拓し、収益を多様化する方法も有効です。地域間協力を活用し、隣国のタイやベトナムとの技術共有や共同研究を進めることも効果的でしょう。

地政学的にも、フィリピンの農業輸出品は地域紛争や国際関係の動向に影響を受けています。平和的な地域協力や貿易関係を維持し、市場へのアクセスを安定させることが重要です。たとえば、近年の食料安全保障に関する国際的な関心を活用し、持続可能な農業としてフィリピンのパパイヤ製品をアピールするマーケティング戦略も有益な方向性と考えられます。

結論として、フィリピンのパパイヤ生産の推移は、国内農業の課題と強みを象徴しています。自然災害や労働力問題などの課題に直面している一方で、適切な対策が実施されれば将来の成長余地があります。国の政策や農業インフラを改善し、外部市場と連携しながら持続可能な形での発展を目指すことが、フィリピンの農業全体、そしてパパイヤ産業にとって鍵となるでしょう。

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