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フィリピンのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関によるデータによれば、フィリピンのジャガイモ生産量は1961年には10,159トンに過ぎませんでしたが、その後段階的に増加し、1987年には60,738トンまで伸びました。1991年から1994年にかけては一時的に150,000トン前後という急激な上昇を見せましたが、1995年以降は85,302トン程度への大きな減少が見られ、その後も上下動を繰り返しています。2007年には再び118,497トンに達した一方、2020年代にかけては減少傾向が続き、2021年には103,058トンと減少しました。2022年には107,416トンと若干の回復を見せていますが、長期的には安定した成長とは言い難い状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 100,055
-6.85% ↓
2022年 107,416
4.23% ↑
2021年 103,058
-9.25% ↓
2020年 113,562
-2.15% ↓
2019年 116,061
-1.16% ↓
2018年 117,423
-0.18% ↓
2017年 117,637
0.73% ↑
2016年 116,783
-1.43% ↓
2015年 118,479
-0.55% ↓
2014年 119,140
1.2% ↑
2013年 117,722
-1.55% ↓
2012年 119,570
-0.83% ↓
2011年 120,574
-3.29% ↓
2010年 124,671
4.63% ↑
2009年 119,159
-1.77% ↓
2008年 121,311
2.37% ↑
2007年 118,497
70.6% ↑
2006年 69,461
-1% ↓
2005年 70,160
1.01% ↑
2004年 69,456
2.07% ↑
2003年 68,050
0.76% ↑
2002年 67,540
2.31% ↑
2001年 66,016
3.92% ↑
2000年 63,524
-0.09% ↓
1999年 63,584
-1.97% ↓
1998年 64,863
-27.04% ↓
1997年 88,907
4.66% ↑
1996年 84,946
-0.42% ↓
1995年 85,302
-42.14% ↓
1994年 147,425
4.56% ↑
1993年 140,998
-9.39% ↓
1992年 155,611
4.06% ↑
1991年 149,537
156.56% ↑
1990年 58,286
16.31% ↑
1989年 50,112
-6.96% ↓
1988年 53,860
-11.32% ↓
1987年 60,738
20.61% ↑
1986年 50,360
12.74% ↑
1985年 44,670
17.86% ↑
1984年 37,900
-6.88% ↓
1983年 40,699
0.05% ↑
1982年 40,677
9.57% ↑
1981年 37,125
0.63% ↑
1980年 36,893
15.51% ↑
1979年 31,939
59.33% ↑
1978年 20,046
6.62% ↑
1977年 18,802
-0.17% ↓
1976年 18,834
-7.78% ↓
1975年 20,424
-19.62% ↓
1974年 25,409
10.87% ↑
1973年 22,918
-6.91% ↓
1972年 24,618
10.59% ↑
1971年 22,261
10.73% ↑
1970年 20,104
9.4% ↑
1969年 18,377
49.97% ↑
1968年 12,254
-27.73% ↓
1967年 16,956
0.59% ↑
1966年 16,856
6.07% ↑
1965年 15,892
-10.04% ↓
1964年 17,665
17.19% ↑
1963年 15,074
43.14% ↑
1962年 10,531
3.66% ↑
1961年 10,159 -

フィリピンのジャガイモ生産量は、過去60年にわたるデータから分析するといくつかの重要な特徴と課題が浮かび上がります。まず、全体的な傾向として1960年代から1980年代後半にかけての増加、その後の1990年代の大幅な変動、そして2000年代以降の比較的安定したものの全体として減少傾向にある推移が観察されます。具体的な背景として、フィリピン国内の農業政策や技術発展、気候変動、そして国際的な農作物市場の影響が挙げられます。

1980年代における生産の伸びは、農業技術の普及や農地開発の進展が寄与したと考えられます。しかし、1991年から1994年にかけての急激な増加の要因は、地元での政策変更や輸出の増加など、特殊な事態が影響している可能性があります。一方で1995年以降の大幅な減産については、気候変動に伴う天候不順や、農業資材不足、土地の劣化による収穫減少が主因と考えられます。またフィリピン特有の地政学的リスク、例えば自然災害が農業に及ぼす影響も軽視できません。

2000年代以降の生産量に関しては一定の回復傾向が見られましたが、2019年以降は再び減少傾向が続いています。これは特に近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサプライチェーンの混乱、輸送の制限、農作業人材の不足が影響したと推測されます。さらに、クライメート・チェンジ(気候変動)によるフィリピンの台風被害といった自然災害が、生産基盤に一層の負担をかけていることも要因と言えるでしょう。

フィリピンのジャガイモの生産に関連する課題を克服するためには具体的な対策が求められます。一つの施策として、気候変動に強い品種を導入することで、自然災害の影響を最小限に抑える努力が必要です。また適切な灌漑システムを整備し、農地の土壌管理を改善することも生産効率の向上につながるでしょう。さらに、農村部での教育やトレーニングプログラムを通じて農業従事者の技術向上を支援することも見過ごせません。

他国との比較では、例えば中国やインドといった主要農業国では、ジャガイモ生産が世界的に重要な役割を果たしており、生産技術やインフラにおいてフィリピンよりも進んでいます。この点において、フィリピンは、地域間協力や知識の共有を通じて、他国の技術を取り入れることが可能です。具体的には、ジャガイモ製造業で成功しているドイツやフランスから先進的な栽培技術やマーケティング戦略を学ぶことが有効です。

今後、フィリピンのジャガイモ生産を長期的に安定させるためには、地政学的課題だけでなく、農業技術の進展や市場の国際化、さらに政府による一貫性のある支援が求められます。また、地元の経済を支えるジャガイモ農家が豊かになるような持続可能な枠組みの構築が、その生産量を回復・拡大させるための鍵になるでしょう。このような包括的なアプローチによって、フィリピンのジャガイモ農業はさらなる成長の可能性を秘めていると考えられます。