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フィリピンのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、フィリピンのレモン・ライム生産量は1961年の800トンから始まり、年ごとに増減を繰り返しつつも、長期的には増加傾向にあります。2023年には1,174トンを記録しています。特に1980年代には急激な増加が見られましたが、その後は伸びが鈍化し、近年は比較的安定した水準で推移しています。一方で、全体的なトレンドの中で、1987年や1999年には生産量が2,000トンを超えるなど、一時的なピークも確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,174
4.98% ↑
2022年 1,119
6.94% ↑
2021年 1,046
1.35% ↑
2020年 1,032
0.89% ↑
2019年 1,023
1.71% ↑
2018年 1,006
3.16% ↑
2017年 975
3.42% ↑
2016年 943
-2.34% ↓
2015年 965
-3.45% ↓
2014年 1,000
-3.7% ↓
2013年 1,038
-4.29% ↓
2012年 1,085
-8.9% ↓
2011年 1,191
-15.12% ↓
2010年 1,403
-17.66% ↓
2009年 1,704
-17.92% ↓
2008年 2,076
-15.44% ↓
2007年 2,455
9.02% ↑
2006年 2,252
4.69% ↑
2005年 2,151
10.14% ↑
2004年 1,953
1.62% ↑
2003年 1,922
-8.5% ↓
2002年 2,100
-0.31% ↓
2001年 2,107
0.37% ↑
2000年 2,099
-15.56% ↓
1999年 2,486
5.07% ↑
1998年 2,366
36.84% ↑
1997年 1,729
2.05% ↑
1996年 1,694
4.83% ↑
1995年 1,616
0.39% ↑
1994年 1,610
4.94% ↑
1993年 1,534
-3.03% ↓
1992年 1,582
5.26% ↑
1991年 1,503
-26.48% ↓
1990年 2,044
6.68% ↑
1989年 1,916
-21.09% ↓
1988年 2,428
-6.04% ↓
1987年 2,584
101.4% ↑
1986年 1,283
8.82% ↑
1985年 1,179
122.45% ↑
1984年 530
48.04% ↑
1983年 358
12.23% ↑
1982年 319
36.32% ↑
1981年 234
-48% ↓
1980年 450
-31.92% ↓
1979年 661
-3.92% ↓
1978年 688
-19.06% ↓
1977年 850
1.43% ↑
1976年 838
39.67% ↑
1975年 600
4.71% ↑
1974年 573
27.33% ↑
1973年 450
0.22% ↑
1972年 449
87.08% ↑
1971年 240
-46.9% ↓
1970年 452
-9.6% ↓
1969年 500
-31.69% ↓
1968年 732
-8.5% ↓
1967年 800
-9.4% ↓
1966年 883
3.88% ↑
1965年 850
1.07% ↑
1964年 841
-29.74% ↓
1963年 1,197
26% ↑
1962年 950
18.75% ↑
1961年 800 -

フィリピンのレモン・ライム生産量は過去数十年間に顕著な変動を示し、複雑な背景のもとで推移してきました。1961年から1970年代までの生産量は比較的低水準のままで、500トンから1,000トン間を推移していましたが、この時期は主に地元生産者の規模が小さく、農業技術や輸送インフラが整備されていなかったことが原因と考えられます。その後、1980年代に入ると、生産量が急増し、1987年には2,584トンを記録しました。この成長は、農業技術の改善や国内需要の増加、さらに都市部への供給ルートの整備が進んだことによると考えられます。

1990年代以降は生産の伸びが鈍化し、2000年代中盤になると、再び生産量は低迷しました。これはフィリピンの気候変動や自然災害の影響、農業セクターの政策における優先順位の低下、そして輸出用農産物の多様化が関連している可能性があります。また、この時期には主要な農産物であるバナナやマンゴーなどに注力することで、レモン・ライム製品が影響を受けたことも考えられます。

2010年代以降においては、世界全体の健康志向の高まりを受け、レモンやライムがスーパーフードとして注目されています。これに伴い、国内外での需要が増加し、少しずつ高い水準を維持するようになりました。ただし、フィリピンの生産量が依然として2,000トンを大きく下回っている点は、他国との比較において見劣りのする側面です。例えば、中国やインドではそれぞれ巨大な国内市場に対応すべく、数万トン単位での生産が行われています。一方で、気候条件が近いタイやベトナムは輸出に力を入れており、特にASEAN諸国との競争が激化しています。

地域課題としては、気候変動の影響が挙げられます。特にフィリピンは台風、干ばつ、洪水などの自然災害が多発する国であり、これが安定的な農産物生産を妨げています。また、農業従事者の高齢化や若年層の離農も問題視されています。これらは農業生産性を低下させ、長期的な供給能力の弱さにつながっています。

そのため、未来に向けてはいくつかの具体的な対策が必要になります。一つは、気候変動に対応した耐病害性・耐候性の強い品種の開発や普及です。これにより、自然災害に見舞われやすい現状でも一定の生産量を確保することができます。また、農家への教育や技術支援、特に若い世代への農業支援プログラムの強化が急務です。さらに、地域間協力を推進し、ASEAN地域内での技術共有や市場開拓を進めることで、生産体制や輸出競争力を向上させることが期待されます。

結論として、フィリピンのレモン・ライム生産は過去数十年間で成長を遂げる一方、自然災害や競争環境の中でまだ多くの課題が残されています。特に国内における安定供給と輸出の両立を図るため、国としての農業政策の強化が求められます。国際的な協力や市場の多様化を通じて、将来の成長を持続可能なものとする道を探ることが重要です。