国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、北マケドニアの牛乳生産量は長期的な増減を経て、2023年には245,478トンと大幅に減少しました。このデータを振り返ると、1990年代初頭から徐々に生産量が増加し、2007年の385,290トンで大きな成長を示しました。その後も2018年にはピークの416,357トンを記録しましたが、2021年から生産量が減少に転じ、2023年には2010年代初頭の生産量を下回る水準に戻っています。
北マケドニアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 245,478 |
-26.51% ↓
|
2022年 | 334,019 |
-0.68% ↓
|
2021年 | 336,319 |
-19.42% ↓
|
2020年 | 417,374 |
3.66% ↑
|
2019年 | 402,630 |
-3.3% ↓
|
2018年 | 416,357 |
2.56% ↑
|
2017年 | 405,964 |
-2.21% ↓
|
2016年 | 415,135 |
11.62% ↑
|
2015年 | 371,904 |
-6.7% ↓
|
2014年 | 398,618 |
1.65% ↑
|
2013年 | 392,157 |
8.85% ↑
|
2012年 | 360,262 |
-7.05% ↓
|
2011年 | 387,579 |
5.14% ↑
|
2010年 | 368,637 |
4.34% ↑
|
2009年 | 353,300 |
-7.1% ↓
|
2008年 | 380,294 |
-1.3% ↓
|
2007年 | 385,290 |
59.38% ↑
|
2006年 | 241,749 |
18.86% ↑
|
2005年 | 203,388 |
-7.25% ↓
|
2004年 | 219,285 |
11.15% ↑
|
2003年 | 197,279 |
-3.48% ↓
|
2002年 | 204,384 |
-1.23% ↓
|
2001年 | 206,931 |
-8.78% ↓
|
2000年 | 226,851 |
8.72% ↑
|
1999年 | 208,660 |
16.63% ↑
|
1998年 | 178,900 |
30.49% ↑
|
1997年 | 137,100 |
-0.5% ↓
|
1996年 | 137,785 |
3.74% ↑
|
1995年 | 132,819 |
11.26% ↑
|
1994年 | 119,381 |
-2.2% ↓
|
1993年 | 122,068 |
0.81% ↑
|
1992年 | 121,083 | - |
北マケドニアの牛乳生産量は1992年から2023年までの31年間にわたり、いくつかの重要な変化を経験してきました。この期間中、農業政策や経済状況、気候の変動、そして地政的な影響など、さまざまな要因が生産量に影響を与えています。1992年には121,083トンだった生産量は、その後の経済改革や農業技術の改善、乳牛の飼育が拡大したことにより2000年代に大きく成長を遂げました。特に2007年には385,290トンと高い生産量を記録しており、これは国内市場および輸出市場の需要増加による恩恵を反映していると考えられます。
2018年に記録した416,357トンというピークは、北マケドニアの畜産業にとって重要な節目となりました。この伸びは、飼料の供給が安定したことや、近隣諸国(例:ギリシャやブルガリア)への輸出が増加した結果と関連している可能性があります。しかし2021年以降、牛乳生産量は急激に減少しており、これはいくつかの課題を示唆しています。
まず、大きな影響要因として新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響が挙げられます。人々の移動や物流が制限されたことにより、多くの小規模農家が飼料の調達や製品の販売に困難を感じた可能性があります。また、2020年以降、全世界的な食料価格の変動や肥料・飼料価格の高騰が北マケドニアの生産コストを上昇させたとも言えます。この影響は特に2023年の大幅な減少に顕著に表れており、生産量は245,478トンと1990年代後半のレベルまで低下しました。
気候変動の影響も見逃せない点です。干ばつや異常気象が牧草地の生産性を低下させたほか、乳牛の健康や生乳の品質に影響を与えている可能性があります。さらに、国内農業政策の課題や農家の高齢化、小規模農場の維持困難などの構造的な問題も生産量減少に寄与していると考えられます。
将来的な課題としては、持続可能な生産を目指すための政策改善が必要です。具体的には、乳牛の健康管理や生産技術の向上を支援する農業補助金制度の整備が急務です。また、小規模農家の競争力を強化するため、地域協力をベースに共有施設や共同出荷システムの構築を促進することも効果的です。このような取り組みは特にEU加盟国や近隣諸国の成功例から学ぶことができるでしょう。
さらに、気候変動への対応策を講じることも重要です。耐干ばつ性のある飼料作物の導入や、水資源管理の向上を目指した政策を推進するべきです。また、経済的な側面としては、農業製品の価格安定を図るため、国内市場だけでなく輸出市場にも目を向ける必要があります。この点では、北マケドニアの他の農産物との連携を強化し、牛乳生産が国全体の食料戦略の中で効果的に位置付けられるようにすることが求められます。
結論として、北マケドニアの牛乳生産量の推移は、国内外の状況や政策が直接的に影響を与えていることを示しています。2023年の低迷を経て、産業全体としての持続的発展を目指すためには、生産者への支援を強化し、環境や市場変動への対応力を向上させることが重要です。これにより、再び過去のピークを超えるような振興を実現できる可能性が高まるでしょう。