国連食糧農業機関(FAO)の2024年更新データによると、北マケドニアの鶏卵生産量は1992年の25,800トンからスタートし、2023年には9,097トンを記録しました。全体的な推移を見ると減少傾向が顕著ですが、一部の年には一時的な増加も見られます。特に2000年代以降の生産量の減少が顕著であり、2020年代以降も安定した成長には至っていない状況です。
北マケドニアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 9,097 |
25.1% ↑
|
2022年 | 7,271 |
13.35% ↑
|
2021年 | 6,415 |
-28.52% ↓
|
2020年 | 8,974 |
29.63% ↑
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2019年 | 6,923 |
-22.28% ↓
|
2018年 | 8,907 |
-19.06% ↓
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2017年 | 11,005 |
26.52% ↑
|
2016年 | 8,699 |
-12.72% ↓
|
2015年 | 9,966 |
-19.7% ↓
|
2014年 | 12,410 |
3.42% ↑
|
2013年 | 12,000 |
-9.77% ↓
|
2012年 | 13,300 |
-19.88% ↓
|
2011年 | 16,600 |
-11.8% ↓
|
2010年 | 18,820 |
22.61% ↑
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2009年 | 15,350 |
-0.84% ↓
|
2008年 | 15,480 |
-13.9% ↓
|
2007年 | 17,980 |
-2.86% ↓
|
2006年 | 18,510 |
-2.68% ↓
|
2005年 | 19,020 |
1.71% ↑
|
2004年 | 18,700 |
20.65% ↑
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2003年 | 15,500 |
-20.1% ↓
|
2002年 | 19,400 |
-12.61% ↓
|
2001年 | 22,200 |
-12.94% ↓
|
2000年 | 25,500 |
22.01% ↑
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1999年 | 20,900 |
-2.79% ↓
|
1998年 | 21,500 |
-10.05% ↓
|
1997年 | 23,903 |
10% ↑
|
1996年 | 21,730 |
-10.21% ↓
|
1995年 | 24,200 |
-5.1% ↓
|
1994年 | 25,500 |
-0.62% ↓
|
1993年 | 25,660 |
-0.54% ↓
|
1992年 | 25,800 | - |
北マケドニアの鶏卵生産量は、1990年代初頭には25,800トンと比較的安定していましたが、その後徐々に減少し、2023年には約9,097トンとなっています。この大きな生産量の変動は、農業環境の変化、政策の影響、気候、国際市場の動向、そして地政学的課題が複雑に絡み合っていることが背景にあります。
1990年代、同国は旧ユーゴスラビアの解体を経て独立を果たし、経済基盤の整備に取り組む中で、農業部門も調整段階にありました。この時期、鶏卵の生産も安定していたように見えますが、1995年以降は減少傾向が始まり、2000年代には特に顕著です。これは、土壌や気候条件などの自然要因だけでなく、インフラ整備や農業従事者の減少などの社会的要因も影響しています。
2003年から2016年にかけて、10,000トンを割り込むような低い生産量を記録することが目立ちましたが、この背景には国際市場価格の変動や国内経済の不安定さが影響を与えた可能性があります。また、農村地域の人口減少により、鶏卵生産を担う労働力が不足していることも生産減少の一因と考えられます。一方で、2020年代以降、2023年には9,097トンとわずかに回復の兆しが見られることは、農業政策の改善や新しい技術の導入の影響が部分的に表れていると推測されます。
一般的に、鶏卵生産量は家禽の飼養状況やエサ、衛生状態、地域の気候条件に強く依存します。北マケドニアの場合、小規模農家が主にこのセクターを支えていますが、資本や人材投入が不十分であることが問題となっています。また地政学的背景として、バルカン半島での経済・政治不安定性が、鶏卵の生産と流通にも影響を与えてきました。
これらの課題を克服するため、政府と国際機関にはいくつかの対策を求めたいです。まず、持続可能な農業開発への投資を進めることが重要です。例えば、小規模農家を支援するための助成金の拡大や、効率的な家禽管理技術の普及プログラムを実施することが考えられます。また、教育や訓練を通じて農村部の若年層を農業分野に取り込む政策も有用です。さらに、農産物の国内需要と輸出市場を拡充するため、バルカン諸国間の地域協力強化やサプライチェーンの最適化が必要です。
最近では気候変動の影響も無視できなくなっています。特に、異常気象が飼料や水の供給にどのような影響を与えるかは慎重にモニタリングし、必要に応じた適応策を取らなければなりません。気候変動対策として、エコ農法の導入やエネルギー効率改善への支援は、長期的な生産安定に寄与すると考えられます。
結論として、北マケドニアの鶏卵生産量の減少は、多様な要因が複雑に絡み合った結果です。生産量の回復と持続的な成長を実現するためには、短期的な技術支援と長期的な政策改革の双方をバランスよく進める必要があります。国際機関と地域協力枠組みの活用を通じて、安定した農業経済の基盤を構築していくことが期待されます。