国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、北マケドニアのサワーチェリー生産量は1990年代に減少傾向を示し、その後2000年代から浮き沈みのある傾向を見せています。2018年には10,538トンを記録しピークに達しましたが、2023年には6,144トンと再び減少しています。一方で、全体的な長期トレンドとしては、気候変動や農業インフラの発展に伴い、生産量が安定化に向かう兆しも見られます。
北マケドニアのサワーチェリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 6,144 |
-29.58% ↓
|
2022年 | 8,725 |
4.22% ↑
|
2021年 | 8,372 |
-15.37% ↓
|
2020年 | 9,892 |
13.77% ↑
|
2019年 | 8,695 |
-17.49% ↓
|
2018年 | 10,538 |
139.07% ↑
|
2017年 | 4,408 |
-45.39% ↓
|
2016年 | 8,072 |
-4.84% ↓
|
2015年 | 8,483 |
5.48% ↑
|
2014年 | 8,042 |
-9.3% ↓
|
2013年 | 8,867 |
9.11% ↑
|
2012年 | 8,127 |
24.76% ↑
|
2011年 | 6,514 |
25.1% ↑
|
2010年 | 5,207 |
-40.04% ↓
|
2009年 | 8,684 |
-1.68% ↓
|
2008年 | 8,832 |
25.56% ↑
|
2007年 | 7,034 |
16.51% ↑
|
2006年 | 6,037 |
9.13% ↑
|
2005年 | 5,532 |
-24.47% ↓
|
2004年 | 7,324 |
98.48% ↑
|
2003年 | 3,690 |
15.31% ↑
|
2002年 | 3,200 |
6.67% ↑
|
2001年 | 3,000 |
-8.9% ↓
|
2000年 | 3,293 |
-42.97% ↓
|
1999年 | 5,774 |
13.02% ↑
|
1998年 | 5,109 |
66.58% ↑
|
1997年 | 3,067 |
-33.69% ↓
|
1996年 | 4,625 |
-12.74% ↓
|
1995年 | 5,300 |
-12.5% ↓
|
1994年 | 6,057 |
-11.45% ↓
|
1993年 | 6,840 |
-21.73% ↓
|
1992年 | 8,739 | - |
北マケドニアはバルカン半島に位置し、その地理的環境と気候条件は果物栽培に適していると言われています。その中でもサワーチェリーの生産は、農業部門における重要な分野の一つとして知られています。FAOのデータを参照すると、北マケドニアのサワーチェリー生産量は1992年の8,739トンから1997年の3,067トンという最小値へ下降し、その後は上下を繰り返しながら徐々に変動しています。2018年には最大値である10,538トンに達しましたが、2023年には6,144トンまで落ち込んでいます。
こうした過去30年以上の推移を分析すると、1990年代後半の急激な減少の背景には、経済危機や農業技術の停滞、さらには地政学的要因が大きな影響を与えた可能性があります。この時期、東ヨーロッパ全体で政治的混乱が進行しており、北マケドニアもその余波を受けたと考えられます。一方で1998年以降の緩やかな回復からは、農地管理の改善や国際支援、そして農業分野への投資強化の成果が見てとれます。特に2010年代にかけては、農業技術の進化や品種改良、新たな栽培手法の導入により、生産量の平均値が上昇傾向にあることが示されています。
2023年のデータを改めて見てみると、近年の気候変動の影響や農村地域の人口減少が、サワーチェリーの生産高減少の主要因として考えられます。北マケドニアは気温上昇による影響を受けやすい地域にあり、これにより栽培条件が悪化した可能性があります。また、新型コロナウイルスの流行も生産と物流の両面で地域経済に負の影響を与えたことは見逃せません。
長期的な視点で見ると、北マケドニアが安定したサワーチェリーの生産を確保するためには、いくつかの課題を解決する必要があります。第一に、気候変動への適応策として、耐乾性や病害抵抗性の高い品種の導入を検討するべきです。第二に、生産者を支援する政府の助成金制度を強化し、小規模農家が持続可能な生産を行える環境を整える必要があります。また、輸出の拡大を目指した品質管理の強化も有効です。他国との比較では、例えばアメリカやフランスは同分野で豊富な技術を有しており、それらを参考にした技術協力プログラムの立案も現実的な解決策として挙げられます。
さらに地政学的背景を考慮すると、地域の安定が農業発展の鍵です。長い間続いてきた西バルカン半島での緊張の影響を和らげるため、北マケドニアは周辺諸国との連携や国際的な協定を深化させる必要があります。EU加盟交渉において農業政策を一つの柱としつつ、地域間協力の枠組みを築くことが重要です。
将来に向けて、北マケドニアのサワーチェリー生産を維持・増加させるためには、農業技術の革新、地域協力の強化、そして持続可能な政策の実施が求められます。これにより、農村の雇用創出や地域開発もさらに促進されるでしょう。生産者への直接的な支援のみならず、流通インフラの改善や国際市場へのアクセス強化も、目標達成を可能にする一助となるはずです。