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北マケドニアのナシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、北マケドニアのナシ生産量は1992年に16,527トンと記録されましたが、その後長期的に減少傾向を示しました。特に2000年代中盤から2010年代にかけて生産量は7,000トン前後で低迷する年が多く、2023年の生産量は6,075トンと依然振るわない状況です。しかし、例外的に2022年には10,327トンと大幅な増加が見られたものの、翌年には再び減少に転じました。これらのデータは、北マケドニアのナシ生産が長期的に不安定であることを示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,075
-41.17% ↓
2022年 10,327
55.74% ↑
2021年 6,631
-24.56% ↓
2020年 8,790
9.22% ↑
2019年 8,048
-0.09% ↓
2018年 8,055
59.44% ↑
2017年 5,052
-29.9% ↓
2016年 7,207
-20.06% ↓
2015年 9,016
45.54% ↑
2014年 6,195
-14.73% ↓
2013年 7,265
4.73% ↑
2012年 6,937
-7.01% ↓
2011年 7,460
-1.66% ↓
2010年 7,586
-8.75% ↓
2009年 8,313
0.64% ↑
2008年 8,260
0.3% ↑
2007年 8,235
-15.35% ↓
2006年 9,728
9.4% ↑
2005年 8,892
27.58% ↑
2004年 6,970
16.56% ↑
2003年 5,980
-22.34% ↓
2002年 7,700
18.46% ↑
2001年 6,500
-27.37% ↓
2000年 8,949
-9% ↓
1999年 9,834
6.16% ↑
1998年 9,263
12.61% ↑
1997年 8,226
-35.38% ↓
1996年 12,730
39.61% ↑
1995年 9,118
-21.61% ↓
1994年 11,632
-17.6% ↓
1993年 14,116
-14.59% ↓
1992年 16,527 -

北マケドニアのナシ生産量のデータを見ると、1992年には16,527トンを記録し、これは同国の果物生産における重要な役割を果たしていたことを示しています。しかし、それ以降、生産量は一貫して低下し、特に1994年から1997年にかけての急激な減少が顕著です。この減少は、多くの場合、気候変動や栽培技術の停滞、あるいは市場競争力の低下など複合的な要因により引き起こされた可能性があります。2000年代以降も一時的な増加を見せるものの、長期的には低迷が続き、近年では5,000トンから9,000トンの範囲で推移しています。

注目すべき点は2022年の生産量が10,327トンに達したことです。これは過去20年間で数少ない「異常値」とも言える急上昇であり、この年の気象条件が他の年より有利だった可能性が考えられます。また、この急上昇は農業政策の改善や技術的な進歩の成果を反映している可能性もあるため、より詳細な調査が求められます。ただし、一過性の増加で終わるのではなく、この成功を持続可能な成長に結び付けることが不可欠です。翌年の生産量が再び6,075トンと大きく減少したことは、この課題がいまだ解決されていないことを示唆しています。

北マケドニアにおけるナシ生産の不安定さには、いくつかの原因があると考えられます。一つは気候変動の影響です。特に夏季の高温や異常気象は、果物の品質や収穫量に直接的な悪影響を与えます。さらに、農業用のインフラや灌漑設備が十分に整備されていない場合、気候の変動に対応することが難しく、安定的な生産が損なわれます。また、農業従事者の高齢化や若年層の農業離れが生産力の減少に拍車をかけている可能性もあります。これらの問題は北マケドニアだけでなく、近隣のバルカン諸国にも共通する課題でもあります。

解決策として、まずは灌漑施設の適切な整備と気象リスクへの対応能力の強化が重要です。これには、国の農業政策を見直すだけでなく、国際的な支援や技術移転を活用することも含まれます。例えば、日本のように精密農業を導入し、効率的な水資源管理や病害虫対策を行うことで、生産性の向上が期待できるでしょう。また、農家への補助金の拡充や市場開拓の支援など、経済的なインセンティブを与えることで、若い世代の農業参入を促進することも必要です。

さらに広域的な視点では、バルカン地域全体での農業協力を進め、気候変動に対応したノウハウや新しい品種改良技術の共有が重要です。地域間での協力を強化することで、競争力を高めるとともに市場アクセスの改善も可能となります。

地政学的リスクについても見過ごせません。北マケドニアはバルカン半島の一部であり、長年の歴史的な紛争や近隣諸国との緊張関係が経済状況や農業生産に影響を与えてきました。特に、この地域で発生するエネルギー供給の不安定さは農業コストを引き上げ、生産性を損なう要因となり得ます。将来的には、これらの地政学的要因を踏まえた安定的な農業基盤の構築が求められるでしょう。

2024年以降、北マケドニアがナシ生産の安定化と持続可能性を追求するには、国内外の制度や資源を最大限に活用する必要があります。また、気候危機などによる予期せぬ生産低下に備えたリスク管理を徹底することも重要です。同時に、地域連携を通じた競争力の強化と、技術革新を中心に据えた長期的な戦略を立てることが、同国の農業および経済全般の発展につながるでしょう。