Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、北マケドニアのラズベリー生産量は2002年の50トンから大幅に増加し、2021年に484トンでピークを迎えました。2022年と2023年にはそれぞれ382トンおよび354トンと減少傾向が見られましたが、長期的には顕著な成長が見られる産業であることが確認できます。この増加の背景には、生産技術の向上や農業政策の影響があると考えられますが、直近の減少については気候変動や市場需給の変動が関与している可能性があります。
北マケドニアのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 354 |
-7.33% ↓
|
2022年 | 382 |
-21.07% ↓
|
2021年 | 484 |
44.05% ↑
|
2020年 | 336 |
12.75% ↑
|
2019年 | 298 |
33.04% ↑
|
2018年 | 224 |
33.33% ↑
|
2017年 | 168 |
82.61% ↑
|
2016年 | 92 |
-41.4% ↓
|
2015年 | 157 |
9.03% ↑
|
2014年 | 144 |
-19.1% ↓
|
2013年 | 178 |
47.11% ↑
|
2012年 | 121 |
47.56% ↑
|
2011年 | 82 |
811.11% ↑
|
2010年 | 9 |
-89.53% ↓
|
2009年 | 86 |
14.5% ↑
|
2008年 | 75 |
1.4% ↑
|
2007年 | 74 |
3.83% ↑
|
2006年 | 71 |
6.29% ↑
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2005年 | 67 |
-2.17% ↓
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2004年 | 69 |
2.13% ↑
|
2003年 | 67 |
34.36% ↑
|
2002年 | 50 | - |
北マケドニアは、ヨーロッパ南東部に位置し、地中海性気候と大陸性気候が融合した環境にあります。こうした気候条件が果実栽培、特にラズベリーの生産に適していると考えられます。ラズベリーは市場的な需要が高く、特に冷凍果実や食品加工業向けに重宝されるため、多くの国々で重要な輸出品目となっています。
生産量の推移を見てみると、北マケドニアのラズベリー生産量は2002年の50トンという小規模な生産からスタートしました。その後、ほぼ一貫して上昇傾向を示し、2010年や2016年のような一時的な減少を挟みつつも、2021年には484トンに達しました。この増加傾向は、農業技術の進化、EU市場との貿易の拡大、農業従事者への支援政策が実施されたことが要因と考えられます。また、2012年以降は特に急激な成長が見られ、わずか7年で約3倍に生産量が増加したことからも、この分野への関心が高まっていることがうかがえます。
しかしながら、2021年をピークに2022年、2023年と連続して生産量が減少しており、それぞれ382トン、354トンとなっています。この減少の背景を考える場合、気候変動の影響が特に注目されます。例えば、2022年以降、北マケドニア周辺地域では異常気象や降水量の変動が観測されており、これがラズベリーの生育に直接的な影響を与えた可能性があります。また、国際的な経済環境や市場需給の変動も、農業にとって重要な要因として挙げられます。
現在の最大の課題は、こうした減少傾向への対応策を講じつつ、持続的な生産体制を確立することです。一つの重要なアプローチは、気候変動への適応策を農業部門全体で進めることです。例えば、灌漑システムや温室栽培などの新たな施設の導入や、耐候性のある品種の開発が有効とされます。また、国際市場との関係強化も重要です。近隣国であるセルビアやボスニア・ヘルツェゴビナ、さらにはEU諸国(特にドイツやフランス)との貿易を拡大し、生産されたラズベリーの輸出先を幅広く確保することが求められます。
また、地政学的リスクが農業分野への影響にも波及する可能性を指摘する声があります。近隣地域での深刻な政治的緊張や、エネルギー価格の高騰など、これらが生産コストに影響を及ぼす可能性があるため、これらの要因も視野に入れた政策対応が必要です。
結論として、北マケドニアのラズベリー産業は、過去20年間で大幅に成長を遂げた一方で、現在は減少傾向に転じています。これを受けて、持続可能な農業システムの構築や市場の安定化が急務となっています。国際機関や近隣諸国との協力を基盤に、多角的な政策を通じた取り組みが期待されます。とりわけ技術革新、輸出先の多様化、そして資源効率の最大化という分野に注力することで、ラズベリー産業のさらなる成長が期待できます。