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北マケドニアの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、北マケドニアの牛乳生産量は、1992年から約30年間で大きな増減を繰り返しながら推移しています。1992年の約18万トンから始まり、2007年には約45万トンのピークを迎え、その後も増減を繰り返して2022年には約38万8千トンとなっています。このデータは、農業生産の技術的進歩、経済的要因、気候変動、そして国際的・地域的需要の変化など、多くの要因の影響を示しています。

年度 生産量(トン)
2022年 387,967
2021年 389,208
2020年 461,141
2019年 456,142
2018年 477,544
2017年 462,131
2016年 477,350
2015年 429,909
2014年 449,344
2013年 442,282
2012年 415,329
2011年 429,753
2010年 418,308
2009年 407,268
2008年 452,296
2007年 451,790
2006年 315,029
2005年 275,407
2004年 282,597
2003年 251,319
2002年 257,563
2001年 255,856
2000年 268,206
1999年 247,760
1998年 226,900
1997年 196,797
1996年 197,782
1995年 203,967
1994年 182,672
1993年 183,549
1992年 181,239

北マケドニアの1992年から2022年にかけての牛乳生産量データは、同国の農業セクターの発展の歴史を物語っています。1992年には約18万トンだった生産量は、1990年代後半から着実に増加し、2007年には約45万1千トンという最高値を記録しました。この急増は、家畜の改良や農業生産技術の進歩、またEU市場基準に対応する取り組みが影響したものと考えられます。しかし、それ以降は急激な変動を伴う推移が見られ、2022年には38万8千トンまで減少しています。

このデータから、数点について考察が可能です。まず、生産量の急激な増加とその後の減少は、技術的および制度的な変化、国内外の需給バランスに大きく関連しているといえます。とりわけ2007年のピーク以降の変動は、世界金融危機の影響や、気候変動による異常気象が飼料生産に悪影響を及ぼした可能性が否定できません。また、2021年から2022年にかけての減少は、牛乳生産のためのインフラが老朽化していることや、新型コロナウイルス感染拡大による労働力不足、物流の停滞が影響を与えた可能性も考えられます。

さらに2007年以降の生産量データを他国と比較すると、北マケドニアのような中小規模の畜産業主体の国においては、国内政策の安定性や国際市場への依存度が生産量の変化に大きく関連していることが窺えます。例えば、EU加盟国であるドイツでは、技術革新と規模拡大の恩恵を受けて総生産量が一定以上を維持しています。一方、北マケドニアのような非加盟国では、市場アクセスの制限と財政リソースの不足が生産規模の抑制要因となっている可能性があります。

一方、牛乳生産量の推移にはいくつかの課題も浮かび上がっています。まず、気候変動の影響が農業および畜産業に与える影響を軽減するための持続可能な農業戦略が必要です。また、小規模酪農家への技術指導や労働環境改善を通じて、生産の効率化と品質向上を図る努力は急務です。そして、EUや他国市場への輸出拡大のためには、食品の安全基準に適合させるためのさらなる投資や対策も求められます。

将来を見据えると、北マケドニアの牛乳生産を安定させるためには、政府および国際団体の協力が重要となります。例えば、気候変動対策として耐寒性や耐暑性のある家畜品種の導入、スマート農業技術の普及、そして地域間協力の枠組みづくりを進めるべきです。また、小規模農家を支援するための補助金や、輸出市場を広げるための外交的努力、EU加盟に向けた基盤整備も求められます。新型コロナウイルスによる打撃からの回復も含め、これらの具体的な対策を通じて、牛乳生産量の持続的な拡大と地域経済の発展が期待されます。

このように、北マケドニアの牛乳生産量の推移は、単なる数値の変化にとどまらず、同国の農業経済や国際市場での立ち位置を示しています。今後の政策的努力が、持続可能な農業発展のカギを握ることでしょう。