国際連合食糧農業機関(FAO)が最新の2024年データで報じた北マケドニアの大麦生産量の推移を分析すると、過去30年以上にわたり生産量の増減が見られます。最も高い生産量は2008年の162,779トンで、最も低いのは2003年の83,245トンです。近年のトレンドでは、2020年代に再び増加傾向が見られ、2021年には151,435トンと高い水準に到達する一方、2023年はわずかに減少し145,019トンとなりました。
北マケドニアの大麦生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 145,019 |
5.32% ↑
|
2022年 | 137,691 |
-9.08% ↓
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2021年 | 151,435 |
2.52% ↑
|
2020年 | 147,711 |
6.69% ↑
|
2019年 | 138,453 |
6.48% ↑
|
2018年 | 130,028 |
38.82% ↑
|
2017年 | 93,666 |
-35.33% ↓
|
2016年 | 144,832 |
42.44% ↑
|
2015年 | 101,677 |
-33.57% ↓
|
2014年 | 153,055 |
21.89% ↑
|
2013年 | 125,565 |
38.92% ↑
|
2012年 | 90,384 |
-30.21% ↓
|
2011年 | 129,509 |
2.53% ↑
|
2010年 | 126,315 |
-13.7% ↓
|
2009年 | 146,372 |
-10.08% ↓
|
2008年 | 162,779 |
52.65% ↑
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2007年 | 106,635 |
-21.04% ↓
|
2006年 | 135,053 |
-1.34% ↓
|
2005年 | 136,891 |
-8.72% ↓
|
2004年 | 149,963 |
80.15% ↑
|
2003年 | 83,245 |
-35.18% ↓
|
2002年 | 128,430 |
40.36% ↑
|
2001年 | 91,500 |
-16.93% ↓
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2000年 | 110,145 |
-12.98% ↓
|
1999年 | 126,574 |
-10.79% ↓
|
1998年 | 141,879 |
18.28% ↑
|
1997年 | 119,950 |
22.66% ↑
|
1996年 | 97,792 |
-35.85% ↓
|
1995年 | 152,449 |
2.02% ↑
|
1994年 | 149,424 |
44.44% ↑
|
1993年 | 103,454 |
-18.76% ↓
|
1992年 | 127,350 | - |
北マケドニアの大麦生産量データを詳細に見ると、1992年以降、一定の波がありつつも全体的な安定化や増加基調が見られます。1990年代前半では、大麦生産量は127,350トンから開始し、1995年の152,449トンをピークとして特定の環境的・経済的要因による減少期を含む周期的変動が発生しました。この国の農業は多くの要因に大きく依存しており、気象条件、政策の影響及び地域的地政学的要因などが特に重要です。
2000年代では2003年の83,245トンという著しい低下が確認されます。これには干ばつや資源管理の課題が影響した可能性が考えられます。その後、2008年の162,779トンと顕著な回復を見せ、当時最高値を記録しました。しかし、この回復も安定的なものではなく、2012年や2015年にはそれぞれ90,384トン、101,677トンといった低い水準を記録しています。
一方で、2020年代に入り、生産量の変動はやや小幅になり再び増加基調が見られます。2020年の147,711トン以降、2022年には若干減少していますが、直近の2023年時点では145,019トンと比較的安定した水準を維持しています。この増加基調が持続する背景には、北マケドニア政府と地域機関による農業支援政策の強化が関連している可能性があります。具体的には、気候変動への適応や灌漑技術の整備などが挙げられます。
この地域は地政学的に観ても、バルカン半島特有の課題を抱えています。たとえば、近隣諸国の情勢や、複雑な貿易関係が同国の農業経済に直接的な影響を与えることがあります。また、国際市場では大麦の需要が食品産業や飼料産業で安定している一方、不確実な輸出市場に支えられています。そのため、輸出競争力の向上と国内需要の適切なマネジメントが求められるでしょう。
さらに、新型コロナウイルスのパンデミックが農業労働力や物流に与えた影響も指摘されています。これにより2020年前後の生産効率や市場の安定性は一時的に低下したものの、その後の回復は早かったと評価できます。また異常気象や干ばつのリスクは依然として存在し、持続可能な農業手法の導入が重要です。
未来に向けた課題としては、まず気候変動に対するより広範な適応策が挙げられます。たとえば、乾燥地帯で効果を発揮する品種の導入や灌漑技術の高度化が期待されます。また、小規模農家の支援や国際市場での価格基準の改善も重要です。さらに、近隣諸国との農業協力を通じて地域貿易の安定化を図ることが効果的でしょう。
結論として、北マケドニアの大麦生産は長期間にわたり環境的・経済的課題に直面しながらも、適切な施策を講じることで克服の可能性を十分に秘めています。同国の農業政策責任者や国際機関は、こうしたデータを基に、さらに持続可能で安定的な生産体制を実現するための具体的な施策を展開することが重要です。これにより、北マケドニアの大麦生産は地域経済の成長を支える重要な柱となるでしょう。