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北マケドニアの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、北マケドニアの桃(モモ)・ネクタリン生産量は、1992年から2023年にかけて大きな変動を見せてきました。特に注目すべき点として、1990年代には大きな生産量の上下が確認されており、2000年代以降はおおむね10,000~12,000トンの安定した水準が続いている一方で、2021年と2023年に再び顕著な減少が見られました。2023年の生産量は6,157トンと、直近10年間の平均を大きく下回る結果となりました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,157
-49.99% ↓
2022年 12,311
98.4% ↑
2021年 6,205
-51.39% ↓
2020年 12,765
6.35% ↑
2019年 12,003
-8.57% ↓
2018年 13,128
14.07% ↑
2017年 11,509
-4.95% ↓
2016年 12,108
0.85% ↑
2015年 12,006
3.88% ↑
2014年 11,558
4.75% ↑
2013年 11,034
22.78% ↑
2012年 8,987
-0.58% ↓
2011年 9,039
-11.48% ↓
2010年 10,211
-0.54% ↓
2009年 10,266
-8.76% ↓
2008年 11,252
7.56% ↑
2007年 10,461
-0.67% ↓
2006年 10,532
-4.61% ↓
2005年 11,041
-4.84% ↓
2004年 11,602
59.48% ↑
2003年 7,275
15.48% ↑
2002年 6,300
36.96% ↑
2001年 4,600
-51.64% ↓
2000年 9,512
5.65% ↑
1999年 9,003
31.95% ↑
1998年 6,823
92.47% ↑
1997年 3,545
-51.72% ↓
1996年 7,343
69.47% ↑
1995年 4,333
-19.83% ↓
1994年 5,405
2.12% ↑
1993年 5,293
-36.88% ↓
1992年 8,386 -

北マケドニアは、地中海性気候の影響を強く受けた農作物生産に適した国であり、桃やネクタリンはその代表例のひとつです。FAOが2024年7月に発表したデータによれば、同国の桃・ネクタリンの生産量は長期にわたって変動を続けています。1992年には8,386トンの生産量を記録しましたが、1993年には5,293トンへと減少し、さらに1997年には3,545トンまで落ち込みました。その後、1999年以降、生産量は回復基調に転じ、2004年には11,602トンと、一つのピークを迎えることとなりました。

近年は比較的安定した生産量を維持していましたが、2021年から再び急激な減少が観察され、2023年には6,157トンまで下落しました。このような変動は、地域の気象条件、農業技術、地政学的状況、そして輸出市場の需要動向など、多岐にわたる要因によって影響を受けています。

その中でも2021年と2023年の減少は特に注目に値します。この時期、北マケドニアのみならず多くの国が新型コロナウイルス感染症の影響に直面し、農業労働力の確保や物流に支障をきたしました。また、2023年に関しては、ヨーロッパ全体での異常気象の影響が報告されており、極端な高温や降水不足が桃の生産に悪影響を与えた可能性が高いです。これに加え、隣国間の経済的・政治的な緊張が農業輸出の障害となったことも、見過ごせない要因として考えられます。

これらの問題を踏まえると、北マケドニアの桃・ネクタリン生産は、地政学的リスクおよび気候変動の影響を強く受けやすいことが明らかです。桃やネクタリンの栽培は、天候に大きく依存しており、突然の気象変動に対して脆弱です。特に、洪水や干ばつといった極端な気象現象への耐性を高めるための防災・農業インフラ整備が求められます。また、持続可能な農業技術の導入による収穫効率向上も、安定的な生産量確保には重要です。

さらに、経済面でも課題があります。国内供給に加え、海外輸出を重要な収益源としている北マケドニアにとって、市場開拓や輸出時のトラブル回避策が肝要です。ヨーロッパ市場の需要を的確に把握し、競争力を高めるために物流効率を上げる技術導入や、農産品ブランド化の推進が考えられます。

今後、同国が安定した生産を保ち、気象変動や地政学的リスクに対応するためには、いくつかの対策が必要と言えます。その一つが、気候変動に強い品種の開発・普及です。これは生産の安全性を確保するために有効です。また、生産者と研究機関、政府が協力し、防災および肥沃度管理技術を強化することも不可欠でしょう。加えて、近隣諸国との協力体制を再構築し、輸出ルートを多様化することは、地政学的リスクの軽減に繋がります。

結論として、北マケドニアの桃・ネクタリン生産量は、地域および地球規模の諸課題と密接に結びついています。今後、気候変動への対応力を強化しつつ、持続可能な農業モデルに移行することで、安定した生産量を維持し、国民の生計向上や国際市場での競争力強化を実現する道筋を描くことが期待されます。