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北マケドニアのジャガイモ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、北マケドニアのジャガイモ生産量は、1992年から2022年にかけて変動をしつつも全体的には増加傾向を示しています。1992年には137,682トンだった生産量が、その後増加や減少を繰り返しながら、2022年には196,886トンに達しました。2000年代には全体として安定した増加を見せる一方で、2010年代後半からはやや変動幅が大きくなっています。このデータは北マケドニアの農業セクターや食糧自給率におけるジャガイモの重要性を示唆するとともに、生産の安定性の課題を浮き彫りにしています。

年度 生産量(トン)
2022年 196,886
2021年 179,815
2020年 193,426
2019年 190,527
2018年 181,931
2017年 178,951
2016年 198,529
2015年 190,406
2014年 199,651
2013年 190,878
2012年 169,976
2011年 193,858
2010年 202,325
2009年 207,152
2008年 191,106
2007年 180,887
2006年 188,146
2005年 186,653
2004年 199,000
2003年 174,511
2002年 183,140
2001年 173,000
2000年 164,486
1999年 169,258
1998年 180,135
1997年 158,411
1996年 156,612
1995年 156,436
1994年 133,637
1993年 107,763
1992年 137,682

北マケドニアのジャガイモ生産量は30年間にわたり増減を繰り返してきたものの、全体的な傾向としては上昇しています。1992年の137,682トンという水準から、2022年の196,886トンという約43%の増加を記録しました。この生産量の変化は、地域の農業政策の改善、作付け技術の進化、気候や経済的要因の影響など、多くの要因が絡んだ結果と考えられます。

その中でも特筆すべきは、2000年代のほぼ安定した成長軌道です。特に2004年、北マケドニアのジャガイモ生産量は199,000トンに達し、2009年には207,152トンという最高潮を迎えました。これらの年には穀物価格の上昇や、収量を増加させるための農業技術の採用が影響した可能性があります。しかし、2012年以降は169,976トンまで減少した年もあり、2017年や2021年のように再び生産量が下がる年も見られます。このような変動は、気候変動の影響や農業資材価格上昇、さらには土地利用の変化が背景にあるかもしれません。

ジャガイモは、北マケドニアにおいて主要な作物であり、自給率向上および地域経済の発展に寄与する重要な物資です。そのため、安定した生産を保つことは、国内の食糧供給と農業従事者に安定した収益をもたらすためにも欠かせない課題です。他国との比較で見ると、日本ではジャガイモの生産が約2,316,000トン(農林水産省データ)と北マケドニアの10倍以上であり、規模では異なりますが、特定の地域や作物に依存した農業が気候や経済の急変に弱い点は共通のリスクといえます。加えて、インドや中国のように世界最大のジャガイモ生産国では、作物の病害防除や持続可能な農業技術の普及が促進され、安定した大規模生産を維持している点に注目する必要があります。

今後の課題として、気候変動により干ばつや豪雨の頻度が高まる中、北マケドニアのような小規模農業国がその影響を回避するためには、適切な灌漑(かんがい)システムや耐性品種の導入が求められます。また、国際市場における価格競争や輸出先の多様化も、長期的な農業の持続可能性を確実にするために重要です。この地域においては地政学的リスクも無視できません。周辺諸国間の経済関係や関税の動向が、作物の流通や収益に影響を与えるため、地域間の協力フレームワークが欠かせないでしょう。

具体的な提言として、政府および国際機関は次のような政策を採用すべきです。第一に、農家が新しい灌漑技術や気候変動に強い品種を迅速に採用できるよう、補助金や技術的支援を強化するべきです。第二に、ジャガイモ生産者がより多様な市場にアクセスし、輸出の可能性を広げるための貿易インフラの整備が必要です。第三に、周辺国やEUとの協力枠組みを通じて、技術交流や輸出入ルートの改善を進めることが求められます。

結論として、北マケドニアのジャガイモ生産は過去において増加の兆しを見せながらも、気候変動や経済変動に対応した新しい対策が求められています。政府、農家、そして国際社会が連携し、環境に配慮しながら収量を安定的に維持する体制を築くことが、より持続可能な農業への道筋を示すものとなるでしょう。