国連食糧農業機関(FAO)が提供する最新データ(2024年7月更新)によると、北マケドニアのアーモンド生産量は、過去30年の間に大きな変動を見せてきました。特に、1990年代から2000年代を通じて生産量が大幅に上下する傾向が見られ、2003年には1,478トンと最も高い記録を達成しました。一方で、最新の2023年のデータでは411トンと、生産量が大幅に減少しています。この推移は、気候変動、農業技術の発展、政策の影響、または地政学的要因による可能性が考えられます。
北マケドニアのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 411 |
-48.69% ↓
|
2022年 | 801 |
26.54% ↑
|
2021年 | 633 |
-20.97% ↓
|
2020年 | 801 |
41.02% ↑
|
2019年 | 568 |
-1.05% ↓
|
2018年 | 574 |
7.69% ↑
|
2017年 | 533 |
-20.68% ↓
|
2016年 | 672 |
-25.83% ↓
|
2015年 | 906 |
74.23% ↑
|
2014年 | 520 |
-31.22% ↓
|
2013年 | 756 |
-11.79% ↓
|
2012年 | 857 |
-4.67% ↓
|
2011年 | 899 |
-10.64% ↓
|
2010年 | 1,006 |
22.83% ↑
|
2009年 | 819 |
31.67% ↑
|
2008年 | 622 |
-54.8% ↓
|
2007年 | 1,376 |
100.88% ↑
|
2006年 | 685 |
34.05% ↑
|
2005年 | 511 |
-56.51% ↓
|
2004年 | 1,175 |
-20.5% ↓
|
2003年 | 1,478 |
610.58% ↑
|
2002年 | 208 |
-48% ↓
|
2001年 | 400 |
-50.12% ↓
|
2000年 | 802 |
12.08% ↑
|
1999年 | 716 |
55.56% ↑
|
1998年 | 460 |
-49.06% ↓
|
1997年 | 903 |
6.24% ↑
|
1996年 | 850 |
121.35% ↑
|
1995年 | 384 |
-44.35% ↓
|
1994年 | 690 |
6.15% ↑
|
1993年 | 650 |
1.72% ↑
|
1992年 | 639 | - |
北マケドニアは中欧と南欧をつなぐ内陸国であり、地中海性気候に近い温暖な環境に恵まれています。こうした気候条件はアーモンドの栽培に適しており、これまでの生産量の推移を眺めると、特定の年では大きな成果を上げています。ただし、このデータが示しているように、アーモンド生産量は1992年以降、大きな変動を繰り返しており、安定した成長基調には至っていません。
例えば、1996年に850トン、2003年に1,478トンといった高い生産量が記録される一方で、1995年の384トンや2002年の208トンなど、生産が著しく落ち込む年も確認されています。こうした変動要因には、極端な気候条件や病害虫の流行、農業インフラの未成熟、さらに市場需要の不安定などが挙げられます。また、2023年の411トンという低い数値は、新型コロナウイルスや気候変動による影響が引き続き残っている可能性を示唆しています。
過去のデータを分析すると、ある時期では持続可能性の欠如が生産量の低下に大きく寄与していることがわかります。たとえば、灌漑技術の未発達や適切な肥料の不足が、農地の効率的な利用を制限してきました。また、農業政策の安定性が欠如していた点も、アーモンドのような特定の作物の生産に悪影響を与えた可能性があります。
近年では、2020年及び2022年に801トンと比較的安定した生産量が確認されていますが、この安定性を維持するためには、いくつかの課題が依然として残っています。他国の例を参考にすると、例えばアメリカやスペインは、アーモンド生産において水資源管理技術や遺伝子改良による品種改良、また輸出市場の多様化を推進しています。北マケドニアとして取るべき手法としては、これら先進国の技術や経験を積極的に吸収し、地域条件に適合させることが挙げられます。
さらに、地政学的背景も無視できない要素です。北マケドニアはヨーロッパの中でも小国であり、地理的な利点がある一方、経済成長や資金力には限界が見られます。このため、国際機関や隣国との協力を進めることが持続的発展への鍵となるでしょう。
将来的には、以下の具体的な対策が必要です。まず、アーモンドの生産において持続可能な技術(例えば、灌漑設備の最新化や有機農法の推進)の導入を検討するべきです。また、農業分野への投資を促進し、生産者が新しい市場や輸出相手国を開拓できるような政策が求められます。気候変動の影響が今後も予想されるため、特に乾燥耐性のある品種の研究開発が重要です。さらに、農業教育プログラムや地域の協力体制を強化し、農家自身が管理能力を向上させることが必要不可欠です。
2023年の生産量の減少から学べることは、外部要因に左右されるだけでなく、国内の制度や取り組みが重要な役割を果たしているという点です。この教訓を踏まえ、北マケドニアは持続可能なアグリビジネスへの転換を目指し、包括的な再構築を進めていくことが期待されます。この変革により、アーモンド生産量の安定化のみならず、農業全体の経済的基盤強化も達成することができます。