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北マケドニアのさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に公開したデータによると、北マケドニアのさくらんぼ生産量は1990年代には年間3,000~4,000トン台を推移していましたが、2000年代後半から大きな伸びを見せ、ピーク時の2014年には6,324トンを記録しました。一方で、2023年には再び3,928トンまで減少し、不安定な動向が見られています。この時期の農業生産は、気候変動や経済状況、農業政策、地政学的リスクの影響を強く受けています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,928
-31.9% ↓
2022年 5,768
22.31% ↑
2021年 4,716
-24.64% ↓
2020年 6,258
3.52% ↑
2019年 6,045
3.79% ↑
2018年 5,824
43.41% ↑
2017年 4,061
-27.14% ↓
2016年 5,574
-10.79% ↓
2015年 6,248
-1.2% ↓
2014年 6,324
4.75% ↑
2013年 6,037
8.99% ↑
2012年 5,539
-7.97% ↓
2011年 6,019
5.58% ↑
2010年 5,701
2.04% ↑
2009年 5,587
-0.78% ↓
2008年 5,631
13.39% ↑
2007年 4,966
6.89% ↑
2006年 4,646
6.61% ↑
2005年 4,358
8.49% ↑
2004年 4,017
44.39% ↑
2003年 2,782
-12.52% ↓
2002年 3,180
32.5% ↑
2001年 2,400
-28.27% ↓
2000年 3,346
-10.17% ↓
1999年 3,725
5.37% ↑
1998年 3,535
23.95% ↑
1997年 2,852
-18.02% ↓
1996年 3,479
4.07% ↑
1995年 3,343
-4.46% ↓
1994年 3,499
2.31% ↑
1993年 3,420
-23.4% ↓
1992年 4,465 -

北マケドニアのさくらんぼ生産量のデータを振り返ると、1992年から2000年までの期間は概ね3,000トン台で安定していました。ただ1997年や2001年のように大きく減少する年もあり、特に2001年に2,400トンという低水準を記録していることは注目されます。この減少の背景には、この時期の気候条件や旧ユーゴスラビア紛争後の農業インフラへの影響が関連している可能性があります。

2000年代中盤からさくらんぼ生産量は増加傾向を示し、2008年には初めて5,000トンを超え、2014年には6,000トンを超えるピークを迎えました。この成長は、国内外の需要増加に加え、政府の農業振興政策や農業技術の改善が寄与したと考えられます。また、2007年の北マケドニアのEU加盟候補国承認も、農業支援金やインフラ改善に影響を与えている可能性があります。

しかし2017年、生産量が約4,000トンまで減少した点は見逃せません。この減少は、欧州全域での異常気象や霜害が影響したとみられています。翌年の2018年には再び増加し、5,824トンに達しましたが、2023年には3,928トンという大幅な減少が記録されました。この急激な変動は、近年の地球温暖化や気象異常が直接的な影響として考えられるほか、新型コロナウイルスがもたらした物流の混乱や労働力不足も要因として挙げられます。

さらに北マケドニアの地政学的状況も無視できません。バルカン半島は歴史的に地政学的競争や不安定な経済環境の影響を受けやすい地域であり、これも農業の持続可能性に影響を与えている可能性があります。特に周辺諸国との経済連携が強まる一方で、輸出品目の競争力や物流体制の整備が課題とされています。

こうした状況に対しては、いくつかの具体的な対策が考えられます。第一に、農業技術のさらなる近代化を進め、特に気象異常や病害虫への耐性を持つ品種の研究と導入を支援することが重要です。第二に、持続可能な農業を支えるため、灌漑や貯水施設といったインフラの整備・強化を推進する取組みが求められます。また、地域間や国際的な市場への輸出を促進するため、効率的な物流ネットワークの整備が必要になります。最後に、EU加盟を見据えた農業政策の調整と国際連携の強化が鍵となります。

北マケドニアのさくらんぼ生産量は、経済基盤としても地域文化の一部としても重要な資源のひとつです。今後もその発展を持続させるため、国内政策の改善に加え、気候変動への対応や国際協力の強化が不可欠と言えるでしょう。このような取り組みを通じて、さくらんぼ生産が安定し、地域経済全体へのポジティブな影響が期待されます。