国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新データによると、カナダのキノコ・トリュフ生産量は、1961年の7,800トンから2023年の140,787トンにまで増加しています。この期間中、全体として一貫した上昇傾向を示しつつ、一部の年には生産量が落ち込む時期も見られました。特に2008年以降は10万トンを超え、その後も堅調な成長を続けています。このデータは、カナダがキノコやトリュフの生産を拡大するための取り組みや、世界市場への対応力を示す重要な指標と言えます。
カナダのキノコ・トリュフ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 140,787 |
1.22% ↑
|
2022年 | 139,090 |
0.94% ↑
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2021年 | 137,796 |
3.93% ↑
|
2020年 | 132,589 |
0.36% ↑
|
2019年 | 132,114 |
5.22% ↑
|
2018年 | 125,565 |
4.42% ↑
|
2017年 | 120,253 |
1.3% ↑
|
2016年 | 118,711 |
3.51% ↑
|
2015年 | 114,683 |
-6.04% ↓
|
2014年 | 122,057 |
1.58% ↑
|
2013年 | 120,155 |
-3.74% ↓
|
2012年 | 124,826 |
2.17% ↑
|
2011年 | 122,173 |
6.33% ↑
|
2010年 | 114,895 |
0.38% ↑
|
2009年 | 114,459 |
-1.63% ↓
|
2008年 | 116,354 |
39.7% ↑
|
2007年 | 83,289 |
-6.71% ↓
|
2006年 | 89,279 |
11.5% ↑
|
2005年 | 80,071 |
-5.45% ↓
|
2004年 | 84,682 |
-3.7% ↓
|
2003年 | 87,937 |
17.13% ↑
|
2002年 | 75,075 |
-13.06% ↓
|
2001年 | 86,357 |
7.62% ↑
|
2000年 | 80,241 |
15.82% ↑
|
1999年 | 69,280 |
-4.94% ↓
|
1998年 | 72,880 |
7.14% ↑
|
1997年 | 68,020 |
14.49% ↑
|
1996年 | 59,410 |
-5.23% ↓
|
1995年 | 62,690 |
10.74% ↑
|
1994年 | 56,610 |
3.55% ↑
|
1993年 | 54,670 |
1.81% ↑
|
1992年 | 53,700 |
1.28% ↑
|
1991年 | 53,020 |
1.49% ↑
|
1990年 | 52,240 |
0.13% ↑
|
1989年 | 52,170 |
3.15% ↑
|
1988年 | 50,576 |
10.63% ↑
|
1987年 | 45,718 |
-11.11% ↓
|
1986年 | 51,431 |
14.06% ↑
|
1985年 | 45,093 |
7.68% ↑
|
1984年 | 41,878 |
11.76% ↑
|
1983年 | 37,472 |
5.22% ↑
|
1982年 | 35,612 |
8.88% ↑
|
1981年 | 32,709 |
11.77% ↑
|
1980年 | 29,264 |
18.2% ↑
|
1979年 | 24,759 |
6.55% ↑
|
1978年 | 23,236 |
11% ↑
|
1977年 | 20,934 |
5.41% ↑
|
1976年 | 19,859 |
2.91% ↑
|
1975年 | 19,298 |
10.71% ↑
|
1974年 | 17,431 |
-4.12% ↓
|
1973年 | 18,180 |
-0.3% ↓
|
1972年 | 18,234 |
24.7% ↑
|
1971年 | 14,622 |
24.33% ↑
|
1970年 | 11,761 |
12.7% ↑
|
1969年 | 10,436 |
-0.38% ↓
|
1968年 | 10,476 |
7.03% ↑
|
1967年 | 9,788 |
13.22% ↑
|
1966年 | 8,645 |
0.97% ↑
|
1965年 | 8,562 |
3.08% ↑
|
1964年 | 8,306 |
-1.12% ↓
|
1963年 | 8,400 |
5% ↑
|
1962年 | 8,000 |
2.56% ↑
|
1961年 | 7,800 | - |
カナダのキノコ・トリュフ生産量データに基づくと、1961年から2023年までの約60年以上にわたり、生産量が20倍近くに増加していることが明らかです。この増加は、農業技術の進展、農場規模の拡大、気候条件の利用、そして世界市場における需要の高まりに対応した結果と考えられます。
1960年代から1970年代にかけては、生産量が安定して低い水準から徐々に引き上げられ、1978年には初めて2万トンを超えます。その後、1980年代半ばから1990年にかけて、年間生産量は急増し、これはキノコの栽培技術の発展と食文化の多様化が要因とされます。しかし、1987年から1989年の間や2002年、2007年など、いくつかの年で減少に転じる時期もありました。これらの変動は、国内外の市場ニーズや気候条件、病害虫の影響、経済的な要因などが複合的に影響したと推測されます。
特に2008年以降は、年間生産量が10万トンを上回るようになりました。この時期は、カナダが輸出市場をより積極的に開拓し、ヨーロッパ、アジア、北米市場でのシェアを広げたことが大きく関与しています。また、2018年以降、文化的な楽しみ方や健康志向な食材としてのキノコの人気が世界的に高まっており、特にCOVID-19の影響で健康食品需要が増えた2020年以降は、安定した増加を見せています。最新のデータである2023年には、過去最高記録である140,787トンを達成しました。
このような成果にもかかわらず、いくつかの課題が残されています。一つは、気候変動による影響です。カナダの一部地域では気温と湿度の変化が、キノコの生産環境に悪影響を与える可能性があります。さらに、病害虫や真菌病の制御、水資源の持続可能な利用、農業従事者の労働力確保も無視できない問題です。例えば、2023年の11月現在、農産物を巡る国際的な競争が激化しているため、輸出市場への対応力をさらに強化する必要があります。
今後の提言として、以下の具体的な対策が考えられます。第一に、気候変動に対する適応力を強化するための研究と取り組みを進めることが重要です。例えば、耐性品種の開発や生産環境を調整するための施設装備の導入を推進するべきです。また、デジタル技術やAIを活用したスマート農業を導入することで、生産の効率化と品質向上が期待されます。第二に、地域間協力を強化し、国際市場での競争力を高めるために貿易交渉やマーケティング投資を行うべきです。第三に、国内外の食文化や健康志向に応じた高付加価値製品の開発も一つの方向性となるでしょう。
カナダのキノコ・トリュフ生産は成長を遂げ、世界市場において注目すべき地位を築いています。しかし、持続可能な発展のためには、環境的、経済的、社会的な課題を適切に解決していく努力が求められます。カナダ政府や関連機関は、これらの方向性を基にした政策設計や支援プログラムを拡充し、国内の農業コミュニティを支えることが不可欠です。