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カナダのさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新によるデータを見ると、カナダのさくらんぼ生産量は1961年の6,934トンから2023年の22,350トンに増加しました。長期的には、生産量は年ごとの変動が大きいものの、特に2010年代以降は大幅な増加傾向が見られます。近年では2017年の26,797トンがピークとなり、それ以降は若干の減少が見られる一方、安定した生産量を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22,350
21.83% ↑
2022年 18,345
11.83% ↑
2021年 16,404
-15.25% ↓
2020年 19,355
-12.34% ↓
2019年 22,079
-15.67% ↓
2018年 26,182
-2.3% ↓
2017年 26,797
46.26% ↑
2016年 18,321
1.34% ↑
2015年 18,078
12.73% ↑
2014年 16,036
30.26% ↑
2013年 12,311
-24.56% ↓
2012年 16,319
45.52% ↑
2011年 11,214
12.34% ↑
2010年 9,982
-33.61% ↓
2009年 15,036
111% ↑
2008年 7,126
-19.92% ↓
2007年 8,899
0.2% ↑
2006年 8,881
6.73% ↑
2005年 8,321
4.65% ↑
2004年 7,951
-2.05% ↓
2003年 8,117
46.73% ↑
2002年 5,532
-24.27% ↓
2001年 7,305
57.2% ↑
2000年 4,647
0.93% ↑
1999年 4,604
-22.47% ↓
1998年 5,938
64.67% ↑
1997年 3,606
-2.62% ↓
1996年 3,703
-26.18% ↓
1995年 5,016
-12.12% ↓
1994年 5,708
94.55% ↑
1993年 2,934
14.34% ↑
1992年 2,566
-41.46% ↓
1991年 4,383
14.5% ↑
1990年 3,828
-38.93% ↓
1989年 6,268
5.93% ↑
1988年 5,917
-24.69% ↓
1987年 7,857
97.76% ↑
1986年 3,973
-54.28% ↓
1985年 8,690
6.65% ↑
1984年 8,148
-3.17% ↓
1983年 8,415
131.69% ↑
1982年 3,632
-49.69% ↓
1981年 7,219
-20.84% ↓
1980年 9,119
-13.26% ↓
1979年 10,513
17.27% ↑
1978年 8,965
-11.76% ↓
1977年 10,160
16.49% ↑
1976年 8,722
-30.36% ↓
1975年 12,525
47.75% ↑
1974年 8,477
-18.76% ↓
1973年 10,434
43.84% ↑
1972年 7,254
-33.78% ↓
1971年 10,954
25.45% ↑
1970年 8,732
15.63% ↑
1969年 7,552
-3.2% ↓
1968年 7,802
-35.33% ↓
1967年 12,065
28.8% ↑
1966年 9,367
71.37% ↑
1965年 5,466
-56.89% ↓
1964年 12,678
41.92% ↑
1963年 8,933
-6.56% ↓
1962年 9,560
37.87% ↑
1961年 6,934 -

FAO(国際連合食糧農業機関)が提供する最新データを分析すると、カナダのさくらんぼ生産量は1961年から2023年にわたる62年間で劇的な変化を経てきました。初期の1960年代から1980年代の生産量は年間3,000〜12,000トンの間で推移し、一定の不安定さを抱えていました。特に悪天候や収穫技術の未熟さ、栽培面積の不足などが要因と考えられます。しかし、2000年代に入ると生産技術の改善や市場需要の拡大に伴い、安定的な成長が見られるようになりました。

2010年代に入ると特に顕著な増加がみられました。2012年には16,319トンに達し、2017年には過去最高の26,797トンを記録しました。このような急成長の背景には、カナダ国内での栽培地域の拡大、気候変動による栽培適地拡大、輸出需要の増加が挙げられます。一方で、2020年から2022年にかけてはコロナ禍の影響や異常気象などにより一時的に生産量が減少しました。例えば、労働力の不足やサプライチェーンの混乱が影響を及ぼした可能性が高いです。

地域的には、特にブリティッシュコロンビア州がカナダのさくらんぼ生産の中心地となっています。この地域は温暖な気候と適切な降雨量に恵まれ、良質な果樹栽培に適しています。また、気候変動による気温の上昇が一部の地域では栽培条件を改善し、生産拡大をもたらしたという側面もあります。ただし、気候変動は一方で極端な気象条件を引き起こす可能性もあり、長期的な安定性を確保するための対策が求められます。

さらに、国際市場との関係もさくらんぼ生産に影響を及ぼしています。特にアジア市場における高品質果物の需要が増加しており、中国や日本などの国に向けた輸出が経済面で重要な役割を果たしています。これに伴い、品質管理や輸送技術の向上が求められる一方で、貿易摩擦や地政学的リスクが障害となる可能性も懸念されます。

これまでのデータから見ると、カナダのさくらんぼ生産が好調に推移してきた一方で、いくつかの課題も浮かび上がります。一つは気候変動への対応です。気温上昇が短期的には生産地を拡大させる可能性がある一方で、予測不可能な異常気象や旱魃(かんばつ)、洪水などのリスクが伴います。これに対して、耐性が高い品種の開発や、水資源管理の強化が一つの解決策として考えられます。また、収穫から輸出までのサプライチェーンを強化し、特に国際市場での競争力を維持するための物流基盤の整備が今後の優先課題となるでしょう。

さらに、収穫期における人手不足の問題がここ数年深刻化しています。この問題を解決するためには、移民労働者の受け入れの拡大や、自動化技術の導入が有効です。こうした政策は農業のみならず、国全体の生産性向上にも寄与する可能性があります。

結論として、カナダのさくらんぼ生産は過去数十年間で大きく発展しましたが、今後も成長を維持するためには気候変動、生産効率の向上、国際関係の安定という課題への対応が重要となります。これらの課題に取り組むことで、カナダの農業セクター全体がより強固で持続可能なものとなることが期待されます。