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カナダのほうれん草生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、カナダのほうれん草生産量は1961年の5,224トンから長期にわたり不安定な推移を見せつつも、2022年には6,721トンに達しています。1960年代から1990年代にかけて低水準で推移していた生産量は2000年代以降増加傾向が見られ、特に近年の2021年以降で急上昇しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,407
-4.67% ↓
2022年 6,721
4.91% ↑
2021年 6,406
54.21% ↑
2020年 4,154
-9.83% ↓
2019年 4,607
-4.66% ↓
2018年 4,832
-12.19% ↓
2017年 5,503
-5.53% ↓
2016年 5,825
-6.56% ↓
2015年 6,234
2.18% ↑
2014年 6,101
46.34% ↑
2013年 4,169
-11.79% ↓
2012年 4,726
34.41% ↑
2011年 3,516
-38.24% ↓
2010年 5,693
7.27% ↑
2009年 5,307
34.56% ↑
2008年 3,944
-1.35% ↓
2007年 3,998
18.64% ↑
2006年 3,370
2.06% ↑
2005年 3,302
-26.28% ↓
2004年 4,479
-8.48% ↓
2003年 4,894
39.03% ↑
2002年 3,520
-15.49% ↓
2001年 4,165
9.55% ↑
2000年 3,802
10.62% ↑
1999年 3,437
11.37% ↑
1998年 3,086
12.38% ↑
1997年 2,746
-4.65% ↓
1996年 2,880
4.5% ↑
1995年 2,756
12.54% ↑
1994年 2,449
-7.83% ↓
1993年 2,657
5.98% ↑
1992年 2,507
-16.15% ↓
1991年 2,990
0.5% ↑
1990年 2,975
-3.5% ↓
1989年 3,083
6.53% ↑
1988年 2,894
-11.63% ↓
1987年 3,275
33.95% ↑
1986年 2,445
-37.02% ↓
1985年 3,882
-16.1% ↓
1984年 4,627
33.65% ↑
1983年 3,462
6.56% ↑
1982年 3,249
23.35% ↑
1981年 2,634
-18.1% ↓
1980年 3,216
-10.94% ↓
1979年 3,611
1.92% ↑
1978年 3,543
71.49% ↑
1977年 2,066
-32.37% ↓
1976年 3,055
24.14% ↑
1975年 2,461
-2.5% ↓
1974年 2,524
22.58% ↑
1973年 2,059
-38.74% ↓
1972年 3,361
32.17% ↑
1971年 2,543
6.14% ↑
1970年 2,396
-2.48% ↓
1969年 2,457
-39% ↓
1968年 4,028
41.63% ↑
1967年 2,844
-42.52% ↓
1966年 4,948
-2.17% ↓
1965年 5,058
-10.02% ↓
1964年 5,621
13.81% ↑
1963年 4,939
-0.24% ↓
1962年 4,951
-5.23% ↓
1961年 5,224 -

カナダのほうれん草の生産量は、1960年代から90年代にかけて年間2,000~3,000トンという低い水準で推移していました。この時期は、国土の広大さや寒冷な気候条件がほうれん草の生産に適していなかったことが背景にあります。特に1967年、1969年、1970年の生産量は3,000トンを大きく下回り、2,000トン台にまで減少しています。これらの減少は、農業技術の未発展や市場需要の限定的な状況を反映しています。しかし1990年代後半頃から徐々に生産量は回復傾向を見せ、2000年代に入ると4,000トンを超えることも増えました。

2009年には5,307トンと記録的な生産量を達成しましたが、その後短期間の減少を経て、2009年以降再び増加を続けています。21世紀以降の増産傾向の背景には、温室栽培技術の普及や農業効率化に向けた科学的アプローチの進展が寄与した可能性があります。また、ほうれん草は栄養価が高く、健康志向の高まりとともに需要が上昇してきたことも要因の一つと考えられます。

2021年以降、カナダのほうれん草生産量は一段と大きな伸びを見せ始め、2022年には過去最高の6,721トンを達成しました。この増加は、国内外の市場需要の高まりに応える形で生産拡大を図った政策的要因と、栽培技術の進化が結びついた結果と考えられます。一方で、これらの進展には環境への負荷の増加や気候変動のリスクという新たな課題も同時に浮上しています。特に、温室栽培にはエネルギー消費の増大や水資源の確保といった問題が含まれるため、持続可能な農業への転換が求められています。

同時に、地政学的な背景もほうれん草産業に少なからず影響を及ぼしています。ウクライナ危機や米中貿易摩擦などの国際的な不安定要因が農産物全般の輸出入に影響を及ぼし、カナダ国内の生産拡大がこれらのリスクに対する重要な備えとしても捉えられています。一方で、広大な国土を持つカナダでは、地域間で見ると農業インフラやノウハウの格差が大きいことも課題となっています。

将来に向けては、地域ごとの生産基盤を整備し、特に気候変動に適応した新しい栽培技術の導入が避けては通れません。例えば、高効率で省エネルギー型の温室システムや、干ばつや寒冷地条件に強いほうれん草品種の開発が進めば、より安定的かつ持続可能な生産を実現できるでしょう。また、隣国アメリカやアジア市場との貿易関係の強化や、国際協定を通じた農産物の輸出促進も重要になってきます。

総じて、カナダのほうれん草生産はここ数十年で著しい成長を遂げてきましたが、将来的には気候変動や環境負荷への配慮、さらにグローバル市場変化への柔軟な対応が成功の鍵を握るでしょう。カナダ政府や農業関連機関がこれらの課題を解決に導く政策を強化することで、持続可能で競争力のあるほうれん草産業の発展が期待されます。