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カナダのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の発表による最新データでは、2023年のカナダのブドウ生産量は104,016トンとなっており、長期的には安定的な増加傾向を示しています。ただし、各年における数値は気候変動や農業政策の影響を受けて大きな変動を経てきました。特に近年では2017年に131,112トンと記録的な生産量に達したものの、それ以降はやや減少傾向にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 104,016
15.34% ↑
2022年 90,182
-13.46% ↓
2021年 104,203
-0.48% ↓
2020年 104,709
-13.83% ↓
2019年 121,511
12.1% ↑
2018年 108,398
-17.32% ↓
2017年 131,112
23.74% ↑
2016年 105,956
31.32% ↑
2015年 80,683
-0.47% ↓
2014年 81,068
-23.38% ↓
2013年 105,801
12.84% ↑
2012年 93,762
3.27% ↑
2011年 90,794
20.1% ↑
2010年 75,598
11.98% ↑
2009年 67,508
-16.62% ↓
2008年 80,962
6.92% ↑
2007年 75,723
-4.95% ↓
2006年 79,664
76.19% ↑
2005年 45,216
-42.12% ↓
2004年 78,120
41.49% ↑
2003年 55,214
-21.5% ↓
2002年 70,339
4.6% ↑
2001年 67,243
4.76% ↑
2000年 64,188
-7.88% ↓
1999年 69,681
15.38% ↑
1998年 60,392
7.75% ↑
1997年 56,048
-3.1% ↓
1996年 57,839
0.91% ↑
1995年 57,315
16.55% ↑
1994年 49,178
16.34% ↑
1993年 42,270
-22.68% ↓
1992年 54,668
-3.49% ↓
1991年 56,646
1.27% ↑
1990年 55,936
9.65% ↑
1989年 51,015
-39.97% ↓
1988年 84,979
-0.85% ↓
1987年 85,704
-3.94% ↓
1986年 89,218
16.42% ↑
1985年 76,636
-18.65% ↓
1984年 94,208
11.11% ↑
1983年 84,791
14.4% ↑
1982年 74,118
1.5% ↑
1981年 73,026
-2.44% ↓
1980年 74,854
2.1% ↑
1979年 73,313
-13.02% ↓
1978年 84,290
32.16% ↑
1977年 63,781
-20.95% ↓
1976年 80,682
5.09% ↑
1975年 76,774
6% ↑
1974年 72,430
20.96% ↑
1973年 59,881
6.12% ↑
1972年 56,425
-19.63% ↓
1971年 70,209
7.12% ↑
1970年 65,543
16.33% ↑
1969年 56,344
2.16% ↑
1968年 55,152
-9.33% ↓
1967年 60,830
9.44% ↑
1966年 55,581
-2.76% ↓
1965年 57,158
5.37% ↑
1964年 54,247
12% ↑
1963年 48,434
15.52% ↑
1962年 41,927
8.44% ↑
1961年 38,663 -

カナダのブドウ生産は1960年代以降、基本的には成長を続けています。1961年には38,663トンだった生産量が2023年には3倍近い104,016トンに達しており、特に2000年以降、この増加は顕著です。この長期的な増加の背景には、気候変動の影響による温暖化がカナダの主要ブドウ生産地であるオンタリオ州やブリティッシュコロンビア州の栽培条件を改善したことが挙げられます。さらに、ブドウ生産における栽培技術の革新や、カナダ産ワインの需要増加も寄与していると言えます。

しかし、データを細かく分析すると、必ずしも一貫した成長が見られたわけではありません。特に1980年代末と1990年代初頭には、生産量が大幅に減少しています。この時期は国内の農業政策の転換や北米自由貿易協定(NAFTA)の締結による市場調整が影響を与えました。さらに、1989年の51,015トンや1993年の42,270トンという低い数値は、冷害やその他の天候要因も原因だったとされています。

また、近年では2017年には131,112トンと過去最高の生産量を達成しましたが、その後2018年以降は安定しながらも2017年のピークには達しておらず、2022年には90,182トンと一時的に低下しています。これには気候変動に伴う異常気象や地域ごとの農業用水の利用制限が影響している可能性があります。近年の生産量減少が一時的なものか、長期的な問題に直面しているのかを見極めることが重要です。

地域課題として挙げられるのは、カナダの農業における地政学的背景や気候変動の影響です。ブリティッシュコロンビア州では山火事の増加や干ばつなど、気候リスクが高まっています。また、オンタリオ州では都市化が農地を圧迫しており、持続可能な土地利用が求められています。他国との比較では、アメリカや中国、フランスのような伝統的なブドウ生産国では、大規模な灌漑システムと技術革新が生産量の安定に寄与していますが、カナダではこれらの導入が遅れる場合、競争力が低下するリスクがあります。

将来的な展望として、気候変動への対応策がカナダのブドウ産業の安定性において鍵となります。具体的には、気候適応型のブドウ品種の研究・開発を進めたり、農業用水の効率的利用技術を導入することが優先課題です。また、農家が市場の変化に柔軟に対応できるよう、政府の助成金や教育プログラムの強化も必要となるでしょう。

結論として、カナダのブドウ生産はこれまでの推移から成長の余地があることが明らかです。一方で、気候変動や地域ごとの課題に対応するため、国や地方自治体、農家が一体となった取り組みが必要です。国際機関と連携し、温室効果ガスの削減や気候変動への適応策を推進することで、持続可能なブドウ産業の構築が期待されます。